King Gnu、王座を掴んだ初の東京ドーム公演 “ロックのカタルシス&バンドの絆”で到達した偉大なる通過点

King Gnu、王座を掴んだ初の東京ドーム公演 “ロックのカタルシス&バンドの絆”で到達した偉大なる通過点

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  • 更新日:2022/11/25
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King Gnu(写真=伊藤滉祐)

2018年11月に行われた赤坂BLITZでのワンマンライブで、メジャーデビューを発表してからちょうど4年。2022年11月20日、King Gnuにとって初めてとなる東京ドーム公演の2日目が行われた。

(関連:King Gnu、初の東京ドーム公演レポ

オープニング映像が超巨大なLEDスクリーンに映り、満員の東京ドームに手拍子が起こる。映像が終了すると、「一途」のつんのめったイントロに雪崩れ込んだ。常田大希(Gt/Vo)と井口理(Vo/Key)の歌が重なり、東京ドームがハンドクラップで揺れる。ドレッドヘア&サングラス姿の新井和輝(Ba)がにこやかな表情でカメラに近づき、その新鮮な姿にドーム内が湧く。初の東京ドームだろうが何だろうが、いきなりフルスロットルで沸点を記録するのが絶対王者のロックバンド、King Gnuらしい。

「King Gnu始まるぜー!」という常田の開幕宣言からの「飛行艇」。一気に会場を揺らすダイナミックなイントロの後に、爆竹が鳴るという演出に痺れる。優れたアーティストは楽曲と一心同体であり、楽曲が導く場所へと誘われていくものだが、バンドがスケールアップしていくことを前提に作られた「飛行艇」がリリースから3年が経ち、東京ドームで5万人もの拳が突き上げられる中で鳴らされた光景は、まさにKing Gnuの有言実行ぶりを証明していた。

幕間を挟んだ本編。前半は「白日」と「雨燦々」で締め括られた。「白日」は言うまでもなく、日本中にKing Gnuの名を知らしめた楽曲ではあるが、ドラマティックな演出もなく、一つのライブとしてここに「白日」があることが一番自然だと思われる位置で奏でられた。アウトロからそのまま、あの福音のような旋律に突入。レクイエムのような「白日」から、苦闘しながら力強く生きる人間賛歌とも思える「雨燦々」へとバトンが渡されるというエモーショナルな展開。5万人が拳を突き上げる中、終始安定していた井口の歌が歓喜のあまり震え、楽曲をはみ出したこともこの日のひとつのピークだった。

本編ラストは2022 NHKサッカーテーマとして書き下ろされた新曲「Stardom」。ダイナミックなビートに手拍子が重なり、アスリートの不屈の闘志を積み上げていく。井口がAメロを歌い、炎が上がり、常田のラップ調の歌に突入する展開は生で見るとさらに鳥肌ものだった。炎が燃え盛る中、鬼気迫る常田のシャウトが炸裂する。初の東京ドームで初披露する最新曲が凄まじくかっこいいなんて最高だろう。常田がまるで勝利宣言のようにギターを掲げ、ギターをぶん回して投げるかと思いきや……投げない。勢喜遊(Dr/Sampler)はその様子を見て手を叩いて爆笑。その後ドラムセットから下り、おどけながら去っていった。

オーディエンスはアンコールを求める拍手をしながら、スマホライトを点灯させ、4人の再登場を待ち詫びる。充実した表情を浮かべた井口が、「アンコールありがとう!」と口にする。ここで、Srv.VinciからKing Gnuに改名した時のエピソードを話す。下北沢でのリハーサル後にキッチンオリジンで4人で食事をしながら、King Gnuというバンド名を常田が提案したそう。「ヌーの大群の王様というとても意味のある名前にその時はピンときてなかったんですが、満員の東京ドームを目にするとやっとKing Gnuになれたんじゃないかなと思います」(井口)。拍手が送られる中、常田が嬉しそうに両手を上げてバンザイのポーズをする。

井口が「しばらく名前負けしてました」と言い、占い師にKing Gnuは画数が悪いからSrv.Vinciのままが良いと言われたという話を明かすが、「占い関係ねえ! 地道にこの4人で仲良くやってきて良かった」と素直な気持ちを述べ、勢喜も「自分の人生、自分で占っていこうぜ!」とコメント。最後に井口が「こんな感じで楽屋でも和気藹々としてるバンドなんです。今後も等身大でやっていくのでついてきてください。下北沢とかのライブハウスでやっていた曲を4人でやっていこうと思います」と締め括った。

4人の密やかなハーモニーがドームに響き、原点を確認するかのように鳴った1stフルアルバム『Tokyo Rendez-Vous』収録の「McDonald Romance」に続いて、文字通り永遠の10代を歌った「Teenager Forever」へ。常田が歌う横で、井口と新井が肩を組み、嬉しそうに左右に揺れる。井口のマイクに常田と新井が近づき、3人で体を寄せ合って歌い、東京ドームに〈teenager forever〉という合唱が響く。ロックはユースカルチャーではあるが、それはいつでも鳴らせる衝動なんだーーそんな瑞々しさが爆発していた。

さらに「Tokyo Rendez-Vous」で拡声器を通した常田のやさぐれたラップがきまる。小さなライブハウスで演奏されていた曲が何十倍ものスケールの会場でも有効な強度を放つ。そもそもKing Gnuは黎明期から王様になり得るスケール感を持っていたということだ。井口がそれを裏付けるかのように、「さっきKing Gnuにやっとなれたと言いましたが、もっと広い会場でやりたいよね。もっと王様になりたいです。王様……恥ずかしいわ(笑)」と照れると、常田が「王様になりたかったんだ(笑)?」とツッコむ。井口が「今いる(観客)1人が、次は5人くらい連れてくればいいよね」とまるで楽屋で話しているかのように盛り上がると、常田が「マジで小さいライブハウスでやってた曲をそのままできてるのがありがたい」と言い、しみじみと頷き合う。

井口が「最後にみんなでライトを振って歌いましょう!」と言って、ゴスペルチックな歌声が流れ、「サマーレイン・ダイバー」で大きな盛り上がりを生み出し、ライブは幕を閉じた。

高い音楽的知識に裏打ちされた知性のもと、緻密にバンドを走らせている面はありながらも、King Gnuはロックのカタルシスとバンドの絆という何にも代えがたいものに突き動かされているのだということが伝わってきた。とても生々しく美しい物語のひとつの到達点であり、今後見せてくれるであろうさらに大きな景色に向けての偉大な通過点だった。最後、4人は肩を組んでお辞儀をしたが、常田が最後の最後までギターを掴んで放さなかったのは、このバンドサウンドで王座を掴んだんだという矜持の表れのようにも見えた。(小松香里)

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