「アイドルだと認識されて苦しかった」大塚愛(39)が明かす“デビュー直後の戸惑い”《『さくらんぼ』から19年》

「アイドルだと認識されて苦しかった」大塚愛(39)が明かす“デビュー直後の戸惑い”《『さくらんぼ』から19年》

  • 文春オンライン
  • 更新日:2022/01/16

大ヒット曲『さくらんぼ』をはじめ、『SMILY』、『プラネタリウム』など、これまで数々の楽曲を世に生み出してきたシンガーソングライターの大塚 愛さん(39)。デビューから19年、常に第一線で活躍しつづけてきた大塚さんですが、当初は“素の自分”と“世間のイメージ”とのギャップに悩んだ時期もあったと言います。

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「笑顔咲ク 君とつながってたい」と明るく元気に歌っていた大塚さんが、その裏で感じていた“苦しさ”とは――。お話を聞きました。(全2回の1回目/後編に続く

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大塚 愛さん

◆ ◆ ◆

――大塚さんは2003年、21歳のときにデビューされました。改めてそのきっかけについて教えて下さい。

大塚 きっかけはデモテープです。短大生の頃にエイベックスに送ったものが、関係者の方の目に留まって。

――デビュー前から既に何十曲も楽曲を作られていたそうですが、小さいときから音楽は身近な存在だったんでしょうか。

大塚 ピアノを4歳からやっていて、音楽はそこからですね。歌の方も、中1ぐらいからボイトレをやってました。

――そこから2003年、まずは『桃ノ花ビラ』でデビューされて、3ヶ月後には『さくらんぼ』をリリースされています。デビュー直後、早い段階でヒット曲に恵まれたことで、テレビへの露出なども一気に増えていったかと思いますが、当時はどんな心境でしたか?

大塚 ホッとしたと同時に、自分の実力不足と向き合うことにもなりました。喜びと苦しみと、ごちゃまぜな感じでしたね。

「やっぱりレベル違ったな」って

――実力不足というのは?

大塚 デビュー前は、ただ「曲を作りたい!」「楽しい!」という気持ちだけでやっていたんです。でも、結果が見えてくるようになると、そこからどうしても逃げられない部分があって。やっぱりライブだったりテレビだったり、デビューしてからは自分を客観的に見る場面が多くなったので、一気に自分自身と向き合う時間が増えたというか……。

後から映像をチェックするたびに、ああ、全然ダメだったなって落ち込むことも多かったですね。他のアーティストの方と番組でご一緒させていただいても、「やっぱりレベル違ったな」って。それは最初からずっと感じています。

――そういうときに、例えば「あの人には負けたくない!」と思ったりは?

大塚 その方がたぶん、この世界では生きていけますよね。でも私は「もうこれはかなわないな」としか思わないんです。今まで19年間やってこられたのも、たまたま運が良かったからで……。基本的に、人に見られるのがあまり好きじゃないというか、得意じゃないんです。

普段の大塚さんはどんな人?

――『さくらんぼ』をはじめ、楽曲の印象から、大塚さんに対して元気で明るく、どこか女性らしい、またはかわいらしいといったイメージを持っている方も多いと思います。そうしたイメージと比べて、普段の大塚さんはどんな方ですか?

大塚 そうですね……。どちらかというと、普段はそんなにブリブリしてないですね。人と会うと「曲のイメージと違った」って言われることも多いです。むしろ曲の中に私はいないんじゃないかっていうくらい(笑)。

――それは、具体的にはどう違ったと言われるんでしょうか?

大塚 たぶん女性らしさがないのかな。あえてそうやって振る舞うモードにしようと思わない限り、自分の中に女性らしさとか、かわいい感じってあんまりないですね。そもそも、女性らしさが何なのかちょっとよくわかってないんですけど(笑)。

――ご自身でも、曲の雰囲気と普段の自分にはギャップがあると感じますか?

大塚 きっと他のアーティストの方って、自分の内面や想いだったり、自分のシーンを曲に投影される方がほとんどだと思うんです。でも私の場合は、自分を出すというのではなくて、一つのフィクションとして、作品として世に出しているので、それが自分とイコールというのはまずないですね。自分で自分に楽曲提供してるみたいな感じなので。

ファンの方たちは、そこは最初からわかってくれていると思います。ただ、一歩踏み込んで、いろんな楽曲を聞いて、トークしてるところも見ていただいて、それで初めて「ああ、こういう人なんだ」ってわかってもらえるものだと思うので、テレビでちょっと見たことあるなくらいの人にとっては、今も『さくらんぼ』のイメージなのかなと。やっぱりヒット曲は強いですよね。

尖ったことをやってたはずなのに……

――大塚さんと言えば、かわいいイメージのPVも印象的ですが。

大塚 曲がかわいいものであれば、ビジュアルもそうしないと釣り合わないので、そこに転んでいるという感じです。ただ、そうしたイメージについては、自分でもうまくプロモーションできてなかったんだなという反省もあります。やっぱりデビューしてしばらくはアイドルだと認識されてしまった、というのが大きいんだろうなと。

――そうした反応は予想外だったんでしょうか?

大塚 何をもってアイドルとカテゴリーされるのかはわからないんですけど、自分の中ではもうちょっと、どっちかと言うと尖ったことをやってたはずなのに、それが「かわいい」に認定されてしまった誤差と言いますか……。毒とか、駄菓子の体に悪い感じを表現しているというスタンスだったので、まさか「かわいい」って言われるとは思ってもみなかったですね。

大人の関係を歌った“刺激的な曲”も……

――ただ、これまでの活動の中では、必ずしもかわいい曲ばかりを発表されているわけではないですよね。例えば『黒毛和牛上塩タン焼680円』は……。

大塚 あ、出た!(笑)

――こちらは男女の大人の関係を歌った、かなり刺激強めな曲だと思うのですが、どういった心境で作られたんでしょうか?

大塚 これは、大阪に毎週のように家族で行っていた焼肉屋さんがあって。そこのタンが美味しいという話です。以上です(笑)。

――(笑)。『黒毛』のカップリングには、『つくね70円』という、さらに刺激的な曲もありましたが……。

大塚 ひどいですよね、ギャップがね(笑)。意味としては、『黒毛』はベッドに寝かせられた女性の気持ちを書いた曲なんですけど、そのつながりで『つくね』は男性の……これ、どこまで言ったらいいんだろう(笑)。とにかく、『黒毛』は女性、『つくね』は男性っていう感じです!

「あぁ、すごいぶりっ子だな」

――ありがとうございます(笑)。少し話を戻しますと、デビューしてからアイドルのように認識されてしまったのは予想外だったと。ではもともとは、どういったアーティストを目指されていたんでしょうか?

大塚 自分的には、音楽を通して女性の方と共に生きていきたいんです。女の汚いところとかめんどくさいこと、醜いことも全て、女だからこそ分かったり、共感できたりするものがある中で、一緒に歩んでいける感じを楽曲に落とし込みたいというか……。

女性がちょっとでも癒されたり、勇気づけられたり、楽しくなったり。そういうことを狙ってやっていたのに、なぜか一時期男性に受けて、女性からは「マジぶりっ子だな、あいつ」みたいになってしまったのは、悲しかったですね。

――女性に寄り添うつもりが、違う形で捉えられてしまった。

大塚 とはいえ自分でも、たとえば誌面で客観的に自分の姿をチェックしたときに、「あぁ、すごいぶりっ子だな」って思うことがあるんです(笑)。映像を見ても、なんかちょっとした仕草がフニャンってなってたり、まぁ、それはそう思われるよなって。そこは、自分でもちょっと意識して動かないといけないなと反省しました。

――そうしたことは芸能界に入る前、学生時代などにもありましたか?

大塚 学生の頃は……でも、やっぱり誤解されることは多かったですね。自分では普通にしているつもりでも、同性からは仕草がぶりっ子と思われたり、男の子と話をするだけでも反感を買ってしまったり。

――そういったイメージとのギャップで、辛さを感じることはありますか?

大塚 デビュー当時は苦しかったです。でも、マネージャーから「それは年齢のせいだよ」ってなだめられまして。「いずれ年を重ねたら、誰もそんな風に言わないからさ」って。なので、今となっては、もしかわいいっていうカテゴリーに入ってるんだとしたら、そのトップを目指したいな、と思えるくらいになっています。

新アルバムは“開き直りの1枚”

――12月に発売された新アルバムにも、そうした心境の変化は反映されていますか?

大塚 今回は、すごく開き直ったアルバムだと思います。

――それは、どういう意味で?

大塚 初期からずっとイメージとのギャップで苦しんで、一番悩んだのが3枚目のアルバムくらいのときなんです。そこからちょっとずつ回復してきて、5枚目までいったんですけど、そこでやっぱり疲れてしまったので、1回出産でドロンして。そこからまたイメージ変えていこうと思って6、7、8と頑張ってきたんですが、「やっぱり変わんないな」って(笑)。それで開き直ったのが今回のアルバムという感じです。

――開き直りの1枚ということですね。ちなみに、大塚さんが「こんな人になりたいな」と思う、目標にされている方っていらっしゃるんでしょうか。

大塚 永作博美さんですね。

――永作さん。どういったところに憧れていますか?

大塚 見た目もかわいくて、ちょっと悪魔っぽさもあって、エロチックで。だけど、内面から出る潔さ、かっこよさもありますよね。

――お話を伺っていると、大塚さんにもそうした一面があるように思います。

大塚 私もそこに向かって走ってるつもりなので(笑)。そう思っていただけたら嬉しいです!

後編に続く

大塚 愛(おおつか・あい)

82年大阪府生まれ。シンガーソングライター。『さくらんぼ』『プラネタリウム』など多数のヒット曲を手がけるほか、楽曲提供や絵本制作、イラストレーション、さらには、初めての小説『開けちゃいけないんだよ』を「小説現代」(2020年9月号、講談社)に寄稿するなどマルチに活躍。2021年12月8日にオリジナルとしては約4年ぶりとなる9thアルバム『LOVE POP』をリリース。

「楽しいなんて感覚でやったことがなくて…」それでも大塚愛(39)が歌い続ける“本当の理由”《デビューから19年》へ続く

(松永 怜)

松永 怜

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