売買停止続く中国恒大が重しになる中国株ファンド、中国A株に投資するファンドに好パフォーマンス目立つ

売買停止続く中国恒大が重しになる中国株ファンド、中国A株に投資するファンドに好パフォーマンス目立つ

  • モーニングスター
  • 更新日:2021/10/14
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中国の民間不動産大手である中国恒大(エバーグランデ)グループ(香港、証券コード:03333)がデフォルト懸念をきっかけに10月4日から香港市場で売買停止の措置が取られ、中国の不動産事業への不安感が高まっている。9月末以降だけでも、新力(同:02103)、花様年(同:01777)などの不動産会社が次々に経営危機につながるような情報で売買停止となっており、この不動産危機を懸念して中国株式全体へのネガティブな見方が広がっている。ただ、中国ウオッチャーからは「中国市場は規制強化と恒大集団が市場の重しとなっていますが、魅力的な投資機会をもたらす可能性がある」(ナティクシス・インベストメントのマルチ・アセット・ポートフォリオ・マネジメント責任者ジェームス・ボモント氏)など強気の見通しも聞こえる。現在の中国株ファンドの運用成績を見ると、「中国A株」に投資するファンドが相対的に良いパフォーマンスを残していることも、今後の見通しを考えるヒントになりそうだ。

2021年9月末現在、モーニングスターカテゴリーの「国際株式・中国」に分類されるファンドでモーニングスターレーティングの付与対象となっている(3年以上の運用実績)銘柄は35銘柄ある。その中で、最高格付け5ツ星を受けているのは、「三井住友・中国A株・香港株オープン」など4銘柄だが、「中国A株」への投資比率が6割超など中国A株への投資比率が高い銘柄のパフォーマンスが相対的に高くなっている。一方、格付け下位の2ツ星の7銘柄には「DIAM中国関連株オープン(愛称:チャイニーズ・エンジェル)」や「香港ハンセン指数ファンド」など香港株式を主要な投資対象としたファンドが多い。

「中国A株」とは中国本土の上海証券取引所と深セン証券取引所に上場している株式の中で、中国人民元で取引される銘柄のことで、主として中国国民が売買取引に参加できる銘柄のこと。外国人投資家はQFII(適格外国機関投資家)の資格を得た機関投資家が認可された投資枠の中で投資するか、あるいは、一部の銘柄が香港経由で「上海・香港ストック・コネクト」や「深セン・香港ストック・コネクト」を通じて投資できるようになっている。うち、上海の中国A株は、大型国有企業など伝統的な中国企業が多く、深センの中国A株はインターネット企業など比較的新興企業が多いという特徴がある。

既存の中国株ファンドの中で、なぜ、中国A株に主に投資するファンドの運用成績が良いのかということは明確な答えを出すことは難しい。5ツ星に評価されるファンドの中でも「JPMグレーター・チャイナ・オープン」は、特に、中国A株に投資することを意識したファンドではない。一方で、「UBS 中国A株ファンド(年1回決算型)(愛称:桃源郷)」は中国A株に100%投資するファンド、「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」は中国A株が約9割を占めるファンドになっている。やはり、香港株式や中国B株という海外投資家向けの株式は、中国当局が実施しているインターネット企業への厳しい規制強化や中国恒大などのデフォルト情報などに反応して外国人投資家が中国株式の売却にいち早く動いたために株価が下落したのだろう。この結果、相対的に中国A株のパフォーマンスが良好になっているという側面があると考えられる。

実際に、5ツ星ファンドである「三井住友・中国A株・香港株オープン」と「MSCI香港(配当込み、円ベース)」のパフォーマンスを比較すると、2015年5月以降は「MSCI香港」が優位だったものが、2020年3月以降は「三井住友・中国A株・香港株オープン」が優位に転じている。この逆転現象に、中国経済に対する中国国民の信頼感と海外投資家の疑念のギャップが透けて見えるようだ。結果的に、どちらの見方が正しいのかは、今後の株価推移を見るしかない。

現在の株価水準をみると、「MSCI香港」はコロナ・ショック前の高値水準に戻ってしまっている。これは、コロナ・ショック前の高値水準からはるかに高値を更新している世界株式インデックス「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」などと比較すると大きく出遅れた株価水準といえる。出遅れ感の強まっている中国株ファンドの中で、投資効率が高いのが「中国A株」を中心に投資するファンド群であることは、今後の投資戦略を考える上で意識したい点だ。(グラフは、「三井住友・中国A株・香港株オープン」と「MSCI香港(配当込み、円ベース)」のパフォーマンス推移)

徳永 浩

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