採用面接で聞きづらい質問を聞くテクニック

採用面接で聞きづらい質問を聞くテクニック

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2023/01/25
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聞くことには合理的な理由が必要(写真:すとらいぷ/PIXTA)

採用面接の際、ハラスメントや人権侵害にあたる行為だと誤解されることを恐れて、なかなか踏み込んだことが聞けない……という人事担当者の声が多く聞かれます。そこで、本稿では『採用がうまくいく会社がやっていること』より一部を抜粋・編集のうえ、「健康状態」「家庭環境」「自認性格」といった聞きづらい質問を聞くテクニックについて解説します。

聞きづらい質問を聞くテクニック

個人情報保護法(平成17年4月施行)ができたあたりから、面接のときに、以前よりもいろいろ「聞いてはいけない」という風潮が強くなりました。

実は、以前は、応募者の前職場に「御社を退職した人が、当社に履歴書を送ってきましたが、どういう人でしたか」と聞くことが、ごく普通に行われていました。面接時に応募者に聞くことも、裁判の判決(三菱樹脂事件 昭和48年12月12 日)趣旨により、基本的な考え方として、「契約自由の原則を理由に、会社がいかなる理由で雇おうが、そのためにいかなる調査をしようが、違法とすべき理由はない」としています。

ただし、違法とまでは言えなくとも、現在は行政の指導等により、仕事とは関係のない内容について聞くことが制限されています。そのため会社は「どこまで聞いてもよいか」ということに対し過剰に怯えているようです。ただ、その弊害で、本来聞かなければならないことさえ聞いていません。

結論から言えば、「聞くこと」に合理的な理由があれば、違法とまでは言えません。必要なことを聞かずして「ミスマッチ」が起こっても誰も責任は取ってくれません。採用は会社の責任で行うものです。ただし、聞き方が悪いと口コミなどで会社の評判が悪くなる可能性もありますから、十分に配慮をしなければならないのも事実です。

そこで必要なのが、「我々(会社)があなた(応募者)に配慮するには、この質問と、その答えが必要です」という説明と態度です。聞く意味を真摯に伝えると、案外、快く答えてもらえるものです。

聞きづらいことを聞くには、「言葉づかい」「態度」「真摯さ」の3つが必要です。そして、それらを満たしたうえで、聞きづらいことを、相手を嫌な気持ちにさせず聞き出すには、次の2つのテクニックが必要です。

●一方的に聞かず、自ら(会社側から)開示すること。

聞きにくい情報を聞くには、聞く側(面接官)から先に自己開示します。そうすると応募者側も心を開き、答えやすくなります。

●それを話しておかないことが、自分(応募者)にとって損だと思わせること。

人間誰しも、損をするのが嫌いです。話さないことが自分にとって損だと思えると、応募者側から気持ちよく話してくれます。

それでは、会社が実は聞きたいけれど聞きづらい、「健康状態」「家庭環境」「自認性格」を聞く具体的な方法について、詳しく見ていきましょう。

「健康状態」は、業務上必要なら聞いてもOK

「応募者に健康状態を聞いてもよいのですか」という質問はよく寄せられます。結論から言うと、その情報を必要とする合理的な理由があれば、違法とまでは言えないでしょう。

ちょっと考えればわかるはずです。病院などで患者のケアをする方が、現時点で心の病を持っていると、よい看護ができるとは考えにくいでしょう。

また、自動車運転の業務なら眠気がある状態で、仕事をさせることは危険を伴いますから、日頃、眠気を起こすような薬を飲んでいないほうがよいでしょう。

このように、その業務を行うにあたって、合理的な範囲で必要な情報は集めるべきです。

「健康状態」と言うと抽象的になってしまうのですが、もっと言えば「精神疾患」がないかどうかを確認したいという会社は多いと思います。会社が精神疾患の有無を聞きたいのは、精神疾患が再発しやすいものであること、再発した場合には休職などの問題が発生しやすいこと、休職期間満了後、退職に至るケースがあり、その場合に何かともめやすい、トラブルになりやすい傾向があるからです。

持病のある方にとっては、健康状態は最も開示したくない情報です。応募者も「精神疾患があると就職に不利になる」と思うので、できれば隠したい。そう考えるのもわかります。でも、隠して入社したところで、トラブルのもとになって、会社も本人も気まずい関係になります。ですから、こういった聞きづらいことこそ、入社前に確認しておくのが、双方にとってよいのです。

そういった聞きづらいことを聞くときにおすすめなのが、口頭で答えてもらうのではなく、シート形式にして答えを記入してもらう方法です。シートにして「Yes」「No」で答えてもらうのです。回答はあくまで任意で構いません。

その際、シートに次のような文言を入れたり、口頭で説明したりするとよいです。

「健康状態だけで、面接結果が有利不利になることはありません。あなたが入社した場合に、あなたがその能力を十分に発揮できるように、会社が十分に配慮をするため健康状態の確認を行っています。差し支えない範囲で構いません。ご協力のほど、お願いします」

実際に、あなたの会社で何らかの健康状態の不安を抱えていても、今、しっかり仕事をされている方の例なども追記されていると、なおのことよいでしょう。

健康状態について、実際に確認しなかったことによるトラブルは多いです。それよりも事前に確認をして、それに応じた配慮を会社側がしていくという姿勢が今求められています。以前は就職困難者と言われた方々も、その特性に配慮して、積極的に活用していかなければ人材難は乗り越えられないのです。

会社側も意識を変えなければなりません。「〇〇があるから採用できない」ではなく、「〇〇があっても、〇〇すればうまく雇用できる」という考えが、これからの時代は求められます。会社の姿勢を応募者に伝えていくとよいでしょう。

「家庭環境」も働きやすさのために事前確認を

「家庭環境」と言っても、意味もなく家族構成などを聞いたり、父母や兄弟姉妹の職業を聞いたりすることは、行政の指導があろうがなかろうが、全く意味がありません。家庭環境を聞く目的は、入社を考えたときに必要な情報として、応募者のお子様にかかわることです。

小さなお子様がいらっしゃる場合、急な病気などが起こったとき、他に面倒を見る方がいるか否かは、会社が気になる点でしょう。残業が可能かどうか、繁忙期の休日出勤は可能かどうか、あるいは突発的な勤務が可能かどうかは確認したいところですよね。そうであれば、そのようにはっきり応募者に聞きましょう。

応募者の話を聞いて家庭の事情で「急な早退もあり得る」「残業が難しい」「休日出勤が難しい」ということなら、会社として、どのようにすれば、その方を活かした勤務をさせることができるのかを考えればよいのです。

健康状態と同様に、働いていただくにあたって必要な情報は、前もって会社も応募者も確認し合うほうが、後々の勤務、仕事が行いやすくなります。

「自認性格」からも人となりがわかる

自認性格を聞くのは、その「性格そのものが大事」だからではありません。本人が自分の性格をどう捉えているかということを知りたいためです。

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どんな性格でもよいのですが、自分の性格をネガティブに捉えていないことが大事です。たとえば、応募者が自分の性格を「暗い」と認識していたとします。その暗い性格自体が悪いことではありません。暗いという性格を、よいふうに捉えられているかということが大事なのです。

暗い性格も、考え方を変えれば「落ち着きがある」「物事を冷静に捉えることができる」「浮ついていない」などと捉えることもできます。そういった考え方ができるかどうかを見ることが大事です。

この「自認性格」の聞き方ですが、これも面接者側から自己開示をしていくとスムーズに聞き出しやすくなります。「健康状態」「家庭環境」「自認性格」といった気を遣う質問も、相手にしっかり配慮した聞き方をすれば、問題になることはありません。

一見、応募者側に不利な事情があったとしても「会社として、どのような対処をすれば、あなたの能力を十分に発揮してもらえますか」ということを伝えていきましょう。会社の器の大きさを、応募者に感じていただきましょう。

(福留 文治,児玉 里美)

福留 文治,児玉 里美

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