【記者の目】内村航平と福岡堅樹氏に感じていた同じ「におい」

【記者の目】内村航平と福岡堅樹氏に感じていた同じ「におい」

  • 西日本スポーツ
  • 更新日:2022/01/15
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【記者の目】内村航平が劇的な展開で男子個人総合2連覇を飾った2016年リオデジャネイロ五輪。現地でその瞬間を見届ける幸運に恵まれた。ベルニャエフに0・901点の大差をつけられて迎えた最終種目の鉄棒。記者席で「負け原稿」の執筆を覚悟しながら、椅子に座って演技を待つ内村に目を移した。

両手を使って一心不乱にイメージトレーニング。全ての力を出し切ることに集中していた。対照的にベルニャエフは内村から離れた椅子に座り、頭から上着をかぶって体を揺らして落ち着かない。くぐり抜けてきた修羅場の違いに感じ入った直後の大逆転劇だった。

それ以上に激闘後の姿が目に焼き付いている。全ての取材対応を終えた直後。腰の痛みに耐えかねて顔をゆがめ、そして人目もはばからず寝転がり、天井を見つめた。キング・オブ・ジムナスト(体操の王者)の誇りと意地が伝わってきた。今振り返れば、満身創痍(そうい)の体にむち打った競技人生のピークだったのだろう。

達観したかのような淡々とした受け答え。そこには体操への熱がこもっていた。自分が決めたことからぶれない言動。才能に頼らない努力の虫。リオ五輪後は日本体操界初のプロ転向で新たな道も切り開いたチャレンジ精神。過去の栄光にとらわれず前を見据え、野球やサッカーと比べてメジャーとは言えない競技を押し上げた。

実は取材のたびに内村と同じ「におい」を感じたアスリートがいた。昨季限りで現役を退いたラグビー元日本代表の福岡堅樹さんだ。医師を目指しながら2019年のワールドカップ(W杯)日本大会の日本代表として大活躍し、ラグビーの知名度アップにも貢献した異色のスピードスター。トップアスリートが新たな境地に踏み入り、これまでにないロールモデルを示すためには何が必要か。内村への取材を通じて学んだ気がする。医師への道を歩む福岡さん同様、内村も新たなステージで輝きを放ち続けるはずだ。(大窪正一)

西日本スポーツ

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