誇るべき結果「死の組での3位通過」【U17日本代表がW杯で見せた成長と課題】(2)

誇るべき結果「死の組での3位通過」【U17日本代表がW杯で見せた成長と課題】(2)

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  • 更新日:2023/11/22
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U-17ワールドカップで若き日本代表が得た財産と課題とは何か(写真はイメージです) 撮影:中地拓也

U-17日本代表の年代別ワールドカップでの冒険が終わった。インドネシアで開催されたU-17W杯で、ラウンド16で敗れたのだ。決して満足な結果ではないだろうが、若きサムライたちにとって大事なのは、この経験をどう活かすかだ。サッカージャーナリスト後藤健生が、大会を通じて見えた成長と課題をつづる。

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■難敵ぞろいのグループ

初戦の対戦相手はポーランド。5月に行われたU-17欧州選手権では準決勝敗退の3位に終わっていたが、準決勝では優勝したドイツと3対5という撃ち合いを演じており、グループリーグから準決勝まで5試合で16得点と攻撃力を誇るチームだった。

大会前に飲酒が発覚して4選手がチームを離脱。U-17ワールドカップでは登録選手数が21名なので、ベンチの控え選手が6人しかいない状況となってしまい(うち2人はGK)、結果的には3戦全敗に終わったが、初戦で日本が対戦した時には、さすがの個人テクニックの高さとコンビネーションの良さを見せていた。

2戦目のアルゼンチンも南米予選ではブラジル、コロンビアに次いで3位だったが、アルゼンチンといえばユース年代で実績のある国。U-17世代ではまだ優勝経験はないが、U-17からU-20、オリンピックそしてフル代表と一貫指導体制が確立されている。

昨年のワールドカップではリオネル・メッシの活躍で3度目の優勝を飾ったが、メッシもすでに36歳。将来を考えれば、アルゼンチンにとって若手育成は喫緊の課題ということができる。

■高レベルだったグループD

そして、最終戦で対戦したのがセネガル。アフリカ予選にあたるU-17ネーションズカップで優勝。それも、グループリーグから決勝までの6試合で得点15、失点わずかに2という圧倒的な成績だった。U-17代表チームのキャプテンでもあるアマラ・ディウフは2006年生まれのまだ15歳。すでにA代表経験もあるという注目の選手だった。

今回、僕は日本代表の試合が行われるバンドンに滞在していたので、グループD以外にドイツ、メキシコがいるグループFの試合も観戦できたし、グループリーグ最終日にはジャカルタ会場でグループEのフランス対アメリカの試合も観戦(両国とも突破を決めた後の消化試合だったが、グループリーグ屈指の攻め合いだった)。さらに、テレビでも何試合かを見ることができたが、間違いなくグループDは最もレベルの高い試合が繰り広げられた。

なにしろ、4チームの実力が(全敗に終わったポーランドも含めて)揃っていた。しかも、たとえばグループBのカナダ(全敗、得失点差-9)やグループCのニューカレドニア(全敗、-24)、ニュージーランド(全敗、-9)といった、チーム力が明らかに劣るチームがいなかったのだ。

■大会規則の問題

ちょっと話題がズレるが、こうした圧倒的弱者が存在するグループでは3位チームでも得失点差が+になる場合がある(ニューカレドニアと同居したイランは初戦でブラジルを破って、日本と同じ2勝1敗の3位になったが、得失点差は+5だった)。3位でもラウンド16に進むことができるレギュレーションの大会では、弱者と同居するグループに入った方が間違いなく有利になる。日本以外で3位通過となったのはニューカレドニアと同居のイラン、カナダと同居のウズベキスタン、ニュージーランドと同居のベネズエラだった。

今後、こうした大会ではレギュレーションの見直しが必要だろう。たとえば、最下位チームとの試合結果を勝点、得失点の計算から除外するとか、弱小国がワールドカップに出場する可能性が高いオセアニア連盟の扱いを再検討するとか……。

さて、そうした状況を考えれば、強豪ぞろいのグループDで2勝1敗の3位通過となったのは、日本にとって誇るべき結果だったと言えるだろう。

日本は2019年のブラジル大会でもオランダ、セネガル、アメリカと一緒の「死の組」に入っており、2大会連続で抽選運に恵まれなかった(前回は「死の組」を首位突破したが……)。

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後藤健生

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