
F1シンガポールGPの予選で大クラッシュを喫したアストンマーチンのランス・ストロールに対して、無謀な攻めだったのではないかという声が出る中、チーム代表のマイク・クラックは、ストロールのF1へ対するコミットメントを示す出来事だったと捉えている。
ストロールは予選Q1のラストアタックで、タイヤの準備不足、コース上のトラフィック、前車からの後方乱気流という悪条件が重なったものの、最終コーナーへ向けて「飛ばす」ことに決めた。
しかしストロールは最終コーナー出口を縁石に乗ったところで、マシンのリヤを滑らせ、アウト側のウォールに激突。跳ね返った彼のマシンはホームストレート上で止まり、赤旗が提示された。
ストロールはメディカルセンターで診断を受け、怪我はなくFIAからの出走許可が降りながらも、決勝日の朝、チームと共に欠場を決断した。
クラッシュのリスクを冒してまで最終コーナーでタイムを削ろうとしたストロールの“ギャンプル”は正しい選択だったのか? motorosport.comがそうクラック代表にたずねると、彼は次のように答えた。
「彼がF1に全力を注いでいる証拠だ。彼がそうじゃないと考える人に言うと、あのスピードでこのコーナーに入るには、それなりの覚悟が必要だ」
「それも彼が全力を注いでいる証拠だと思う」
今季、ストロールはプレシーズンテストを手首の骨折で欠場しながらも、怪我を負いながらも開幕戦に出場し、F1へかける意志の強さを示した。
しかしシーズン序盤、表彰台の常連となっていたフェルナンド・アロンソにストロールは対抗できず。8月のオランダGPの際には、F1ドライバーからテニス選手へ転身するのではないかという噂も飛び出るほどになった。
アストンマーチンのグループCEOであるマーティン・ウィットマーシュはアロンソのチームメイトとして、フェラーリのシャルル・ルクレールやマクラーレンのランド・ノリスを引き入れることに興味を示していると理解されている。
「ランスはとても強い。みんなが思っているよりもずっと、ずっと強いのだ」とクラックは続ける。
「(クラッシュの後メディア対応を行なった)彼を見たと思う。全く心配していない。彼は大丈夫だよ」
そしてクラック代表は、ストロールはシンガポールGPの決勝を欠場したものの、1週間後の日本GPを欠場する可能性は「ゼロ」だという。
「彼は全体的に痛みを訴えていた。ああいったアクシデントに見舞われれば、あちこちの筋肉にストレスがかかると考える必要がある」
「ジムでハードな1日を過ごせば、気分が優れないのと同じだ。日本に向けて備えるというのは正しい判断だと思う」
なお、クラッシュしたストロールのAMR23のシャシーは修復可能であり、限りある予算の中で修復作業が行なわれることとなる。
Matt Kew