「桜を見る会」前夜祭のサントリー酒無償提供問題で告発 「検察が2年前にやるべきだった」

「桜を見る会」前夜祭のサントリー酒無償提供問題で告発 「検察が2年前にやるべきだった」

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  • 更新日:2022/06/23
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「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相(当時)=2019年4月

安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」の前日に開いた「前夜祭」の問題が再燃している。サントリーがビールや焼酎、ワインなどのアルコール飲料を2016年から19年にかけて、前夜祭で無償提供していたことがわかったからだ。きっかけは、安倍氏の元公設第1秘書が政治資金規正法違反(不記載)で罰金刑を受けた事件で、東京地検が開示した刑事確定記録だった。そもそも2年前にわかっていたことがなぜ今ごろ?

【写真】昭恵夫人の”炎上”したドレス姿がこちら市民団体の「権力犯罪を監視する実行委員会」は6月10日、安倍氏本人と2人の元秘書、そしてサントリー担当者の計4人について、政治資金規正法違反の疑いがあるとして東京地検特捜部に告発状を提出した。

実行委員会共同代表の岩田薫氏は、告発に踏み切った理由をこう語る。

「『桜を見る会』前夜祭の問題は、結局、公職選挙法違反容疑などに問われた安倍氏本人は嫌疑不十分等で不起訴になった。安倍氏の公設秘書だけが約3022万円の収支を政治資金収支報告書に記載していなかったことで略式起訴され、罰金刑になり100万円を払って幕引きがはかられた。だけど、新たにサントリーの酒の無償提供問題が出てきて、この問題が終わりではなくなった」

岩田氏は、長野県軽井沢町議を1期務め、その後は環境や教育問題を取材しながら、政治家や官僚らの不正を告発してきた。

「サントリーの酒の無償提供については、政治資金規正法違反容疑の疑惑に絞りました。酒を無償提供したサントリーも被疑者に入れましたが、会場となったホテルは入れていません。ホテルの伝票には『持ち込み料金はサービスします』とあり、持ち込み料を取らなかったことが寄付とも解釈でき、その部分は今後、追加するか検討材料だと思っています」

サントリーの酒の無償提供が明るみに出たのは5月下旬。安倍氏の元公設第1秘書・配川博之氏が政治資金規正法違反(不記載)で20年に罰金刑を受けた事件で、赤旗日曜版がスクープした。同紙のデスクはこう語る。

「(東京地検が開示した)刑事確定記録の分厚いファイルの中に『サントリー』の文字はないのです。ホテルの従業員が作った『宴会ファイル』の中に、ウイスキー、ビール、ワイン、発泡酒の本数がメモ書きされ、『持ち込み』と書かれた横に、小さく電話番号が書かれていたんです。うちの編集長が『ちょっとその電話番号にかけてみろよ』と言うので、その場で記者が電話をかけてみたら、『サントリー秘書部です』と」

前出の岩田氏もこう話す。

「刑事確定記録はもともと検察が捜査の段階で握っていたわけですから、本来なら2年前にやるべき問題だったんです。それをなぜかやらなかった。検察が弱体化して、政治家、官僚を挙げられなくなった。『桜』の一連の問題を見ても簡単に済ませようとしていて、私たち市民感情からすると、検察はもっとしっかりしてほしいと思う。東京地検特捜部には今度こそ、巨悪に捜査のメスを入れて欲しいという思いを込めて告発しました」

サントリー広報部に質問すると、担当者は「無償提供」を認め、こう答えた。

「会の開催については、安倍議員事務所から教えていただきました。多くの方が集まる会だとお聞きし、弊社製品を知っていただくよい機会と考え、無償で協賛させていただきました。いつからいつまでということに関してですが、16年については、弊社の担当者はすでに退職しましたが、協賛した事実はあったということでした。17年から19年に関しては、詳細は言えないんですが、協賛しました」

企業から政治家の後援会への寄付は違法ではないかと指摘されている点について質問すると、

「それに関してはサントリーからの回答は差し控えさせていただきます」

とのこと。

サントリーホールディングスの新浪剛史社長が当時、安倍元首相や麻生太郎財務相と会食をしていたことについて、酒税法改正との事実関係は?

「こちらに関しても回答は差し控えます」

と答えるにとどまった。

「桜を見る会」の前夜祭は安倍元首相の後援会が主催し、13年から19年にかけて、地元の支援者らを招き、都内のホテルで毎年1回開いていた。1人5千円程度の会費制で開いていたが、提供される料理や飲み物などは5千円をゆうに超えるものだったことから安倍氏側の補填(ほてん)が疑われた。

実際、安倍氏側が15~19年の5年間で計約900万円を補填していた。

東京地検特捜部は、参加者らに会費を上回る利益を受けた認識がないことから、選挙区内での寄付を禁じた公職選挙法違反に関しては、安倍氏も元公設秘書の配川氏も不起訴(嫌疑不十分)となった。

ただし、配川氏は16~19年の4年分の後援会の政治資金収支報告書に、安倍氏側が補填した約708万円を含む計約3022万円の収支を記載していなかった政治資金規正法違反(不記載)の罪で、100万円の罰金刑を受けた。

岩田氏が共同代表を務める市民団体とは別に、神戸学院大学の上脇博之教授は6月15日、サントリーホールディングスから前夜祭に提供された酒類約45万円相当を収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反容疑で安倍氏ら4人を東京地検に告発したことを明らかにした。

「サントリーの無償提供については、検察はこれまで全く起訴していない。これまでの『桜を見る会』前夜祭に関する起訴状には無償提供は出てこないですからね。検察は軽視していたのであまりそこに注意がいかなかったのか、あるいはわざとおめこぼししたのかのどっちかだと思います。2年前、サントリーの無償提供の話が出ていれば、安倍氏はさらに窮地に追い込まれていたはずです。検察は安倍氏に限りなく有利な処分をしてしまった。もっと公にすべきことがあったのにしていなかった。ところが、刑事確定記録を閲覧したらバレちゃったということですね」

上脇教授はそう話した上で、こう指摘する。

「サントリーが無償提供したのは公選法ではなく、政治資金規正法違反の問題になります。企業は政党や政治資金団体以外に寄付をしてはならない。安倍事務所は、それがバレるのがまずいから政治資金収支報告書にも書かなかったとなると、違法な企業献金を受け取ったという違反と収支報告書に書かなかったという二重の違反にあたる可能性があります。不記載は時効が5年なので、17年分から19年分はまだ罪に問えます」

安倍氏の事務所には質問状を送ったが、期日までに回答はなかった。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

上田耕司

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