「関東連続強盗事件」の知られざる裏側 実在する“叩き”専用「名簿」「マニュアル」で狙われる高齢者の“丸裸”個人情報

「関東連続強盗事件」の知られざる裏側 実在する“叩き”専用「名簿」「マニュアル」で狙われる高齢者の“丸裸”個人情報

  • デイリー新潮
  • 更新日:2023/01/25

関東圏を中心に相次ぐ連続強盗事件の背景が徐々に明らかになり、世間に大きな衝撃を与えている。しかし、いまだ判然としないのが犯行グループが強盗に入る対象をどうやって選んだのか、だ。現在、捜査関係者がターゲットの選定に使われたと見るのが、特殊な「名簿」の存在だ。「年々、精度が上がっている」という“闇の名簿”の実態を当事者が証言する。

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警視庁も注意喚起(公式Twitterより)

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すでに関東地方では1月9日から19日までのわずか10日余りで、計8件の強盗・窃盗事件が発生。19日に都内狛江市の自宅で住人の大塩衣与さん(90)が殺害された事件では、千葉で起きた別の強盗致傷事件で逮捕された自衛官・中桐海知容疑者(23)のスマホに、大塩さん宅の住所情報などが記録されていたことが分かっている。

「大塩さんは両手首を結束バンドで縛られ、左腕は骨折し、顔から血を流した状態で発見されました。事件当日、大塩さん宅付近で確認され、翌日に足立区内で押収されたレンタカーは昨年12月、中野区で起きた強盗事件に関与した永田陸人容疑者(21)が使用していたものだった。同レンタカーから見つかったスマホにも〈狛江市〉や〈欠員が出たら連絡する〉などのメッセージのやり取りが残されていました」(全国紙警視庁担当記者)

そのため犯人グループは事前に情報を共有しつつ、実行メンバーを入れ替えながら組織的に犯行を繰り返していたと見られている。

「一連の事件には“3人組”“住人の在宅時に押し入る”“結束バンドや粘着テープを使用”“ハンマーを携帯”など類似の特徴も少なくありません。被害に遭った住人の多くが高齢者である一方、犯人グループは20代の若者たちを中心に構成。闇サイトの“報酬100万~200万、叩き(強盗)の仕事”といった募集に応募して集まり、互いに面識はなかったとされます」(同)

“叩き”名簿の存在

犯行グループによる侵入先の選定には「“一軒家に住む裕福な高齢者宅”などをリスト化した名簿をもとにした可能性が高い」(捜査関係者)という。

「メディアでは“名簿屋”なんて呼ばれますが、業界では“武器屋”と呼ばれることが多い。仕事=戦うためのツールを用意するという意味。俺の知ってる武器屋の多くは20代や30代前半までで、名簿専業でやっている人間はほとんどいない。俺たちのグループも情報商材の販売や仮想通貨など、いくつかある“事業”の一つとして名簿を扱っているに過ぎない」

こう話すのは、実際に闇サイトなどに出回る名簿を販売しているXだ。Xによれば、「叩き用の名簿」というものが存在するという。

「要は一軒家に住む高齢者世帯などを主にリストアップしたもの。なぜ高齢者なのかといえば、タンス預金しているケースが多く、押し入っても反撃される恐れもないので、手堅く叩ける。“叩き名簿”はリストアップされている人数や精度にもよるが、だいたい50万~200万円程度の値で取り引きされている」(X)

全国を網羅した数千人を超える名簿も存在するが、人数が多くなるほど「情報の精度に欠ける」傾向があり、値は安くなる。他にも「地域限定」と呼ばれる都道府県単位のものなど、用途によって名簿のバリエーションは分かれるという。名簿の中身や作成法など、核心部分をXに訊ねた。

バージョンアップを続ける「名簿」

「ベースとなるのは、高額の布団や健康食品などの購入者名簿。購入者の多くが高齢者なので、基本データとして重宝されている。同名簿にさらにデパートの外商名簿や“家を最近リフォームした人”のリストなどを照合・加味して名簿の精度を上げていく。これらの名簿はカネに困った内部関係者などが闇サイトで転売していて、入手はそれほど難しくない。また高額布団販売やリフォーム業者に関しては、そもそも我々の“同業者”のような連中も少なくないので、手に入れるのは一層たやすい」(X)

これだけでも住所・氏名・電話番号や家族構成に加え、ある程度の資産状況も類推できる名簿がつくれるという。

「加えて、過去に投資や振り込め詐欺に遭った被害者のリストや、不動産管理会社から流出したデータなどを“上書き”していくと、かなり高値で売れる名簿が完成する。不動産などの資産を持っている高齢者は大抵、所有するマンションやアパートなどの管理を外部の管理会社に任せているので、入手データをみれば“月々いくらの家賃収入があるか”も分かる。またフィッシング詐欺で得たクレジットカード情報を付け加えれば、購入履歴から最新の経済状況まで把握できる」(X)

「叩きマニュアル」の存在

こうして名簿の情報は随時“更新”され、新しいリストを入手するたびに情報の精度が上がっていく仕組みなのだという。さらにXは最近の強盗事件があえて「住人の在宅時」を狙う背景をこう話す。

「理由は単純明快で、住人に直接、カネの在り処を聞き出すため。実際のところ、やっている連中は“目出し帽をかぶっていれば大丈夫”など、自分が逮捕される可能性なんてまるで考えてない。実は叩きの手順を記したマニュアルも闇サイトなどで売買されていて〈結束バンドを用意する〉〈ハンマーを使った窓の割り方〉〈効果的な脅し文句〉〈防犯カメラの設置場所と破壊法〉〈タンスは下から開ける〉……などの一通りのノウハウが書かれている。だから最近の叩きは“半グレ未満”のフツーのカネに詰まった若い連中がやっている」(X)

闇サイトに出回る名簿の売買を取り締まらない限り、凶悪な強盗事件を「未然に防ぐ術はない」とXは断言した。

デイリー新潮編集部

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