再上場した「雪国まいたけ」創業者が、カナダで大復活を遂げていた!

再上場した「雪国まいたけ」創業者が、カナダで大復活を遂げていた!

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2020/09/17
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「雪国まいたけ」が再上場

マイタケ、エリンギ、ブナシメジ等の生産販売、及びキノコの加工食品の生産販売で知られる「雪国まいたけ」が、9月17日、東証一部に再上場される。

2015年6月の上場廃止から約5年ぶりの上場で、筆頭株主の米投資ファンド「ベインキャピタル」が保有株を売り出し、既に49%の株式を持つ精米卸の老舗「神明」が、一部を引き受け、連結子会社とする。

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「雪国まいたけ」公式サイトより

雪国まいたけの創業者は大平喜信氏。新潟県六日町(現・南魚沼市)の貧しい農家に生まれ、中卒後、職を転々とした後、太もやしの栽培に取り組み、人工栽培が難しいといわれるマイタケに挑んで成功、83年、35歳で雪国まいたけを創業した。

南魚沼といえばコシヒカリで知られるが、雪国まいたけが生産するキノコは、ブランド米に次ぐヒット商品となり、南魚沼市の経済と雇用に貢献した。売上高約510億円、従業員数約1100人で、新潟県有数の企業規模を誇る。

ただ、大平氏は、現在、会社に席を置いておらず、株も保有していない。

「雪国まいたけ」騒動とは何だったか

「雪国まいたけ」という牧歌的な社名に似つかわしくない紛争の末、ベインキャピタルが15年6月、TOB(株式公開買付)を実施、非公開化され、大平氏は会社を去った。

そこに至る2~3年の騒動は、経済マスコミを賑わせ、私も本サイトで<「雪国まいたけ」名物オーナー排除で迷走>(14年9月4日配信)と題して記事にしたことがある。

経営戦略を委ねた役員の離反、その役員の内部告発、社内調査委員会の立ち上げ、不適切な会計処理の指摘、大平氏の社長退任、オーナーとしての復活、経営陣との確執などを経て、外資によるTOBとなった。

今、経緯を振り返っても仕方あるまい。双方に言い分がある。

ただ、TOB成立が、メインバンクの第四銀行を始めとする六つの金融機関が、大平氏から担保として提供を受けていた50%以上の雪国まいたけ株を、担保権行使して取得、TOBに応じ、成立させてしまったという“非情”は、記しておくべきだろう。

大平氏は、担保権行使について、事前に何も知らされておらず、TOB公表の当日の朝、自宅郵便受けに各行、行員が投函(郵送ではない)、初めて知った。違法ではないが、一時期、共存共栄を図り、ともにブランドを育てた地銀の仕打ちとは思えない。

この時、大平氏は67歳。経営権は奪われたが、借金は帳消しになり、それなりの資産は残った。悠々自適の生活に入ってもおかしくはない。だが、現在、大平氏はカナダで再起を図り、成功している。

「将軍マイタケ」で勝負!

カナダ東部のオンタリオ州ロンドン市――。

北海道の札幌市とほぼ同じ緯度で、夏は30度を超えるものの湿度が低く快適で、冬はマイナス20度になることもあるほど気温差が激しい。周囲に山はなく、地平線から昇る朝日と地平線に沈む夕日が美しいこの土地で、大平氏は食味が天然ものに近く希少な黒マイタケの生産販売に励んでいる。

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「将軍マイタケ」

名付けて「将軍マイタケ」――。

日本を離れて4年以上が経過。「将軍マイタケ」は、順調に北米で受け入れられているという。大平氏が現況を説明する。

「異国の地で右も左もわからず、そのうえ英語もできないなか、かつてと同じ裸一貫からのスタートでした。今は、パートも合わせて総勢15名。うち13名は日本人もしくはカナダ国籍を取得した元日本人です。主な販売地区はトロント、オタワ、モントリオールなどカナダの大都市、それにニューヨーク、シカゴ、デトロイトなどの米の大都市。20年9月期の売上高は約230万カナダドル(約1億8400万円)になりそうです」

「将軍マイタケ」で上場を目指す

創業した古巣が再上場することへのこだわりはない。

「私が社長を辞任するきっかけは、ブナシメジの品質不良だったんですが、辞任前に問題を解決、その後の業績改善に寄与できたのは良かった。私が辞任した後も、引き続き会社が発展しているのは素晴らしいこと。自分が創業した会社なので、永続的に発展することを祈っています」

とはいえ、経営権を奪われての辞任。潮が引くように人が去り、寂しさも味わっただろう。経営権争奪戦の渦中、大平氏に請われて取締役に就任していたベンチャー企業「スノーヴァ」元社長の大塚政尚氏が、思いを代弁する。

「諍いがあり、離反があり、裏切りがあり、最後は銀行にだまし討ちのような形で株を奪われた。辛かったと思いますよ。でも、基本、ポジティブな人。高級な黒マイタケの生産に乗り出し、日本の会社(大平きのこ研究所)は息子さんに委ね、自分は新天地を求めてカナダに渡った。『北米でキノコはどうか』と、私は大平さんの背中を押した。その責任もあって、『将軍マイタケ』の北米での上場準備を手伝うつもりです」

大塚氏同様、最後まで付き添ったのが、女性秘書だった。夫人を病気で亡くしていた大平氏は、2年前、秘書と再婚した。

「混乱の時期から、ずっと私を支えてくれた女性です。今、年中無休で、妻共々、早朝6時から働いています。カナダの人は、広大な土地でゆとりを持って暮らしており、私も、今の季節は、仕事帰りに5~6キロのジョギングをしています。どこまでも木漏れ日が続く林間コースがあり、リスやシカ、キツネ、鳥などを眺めて走ってます」

「MAITAKE」を世界の共通語に

夢は、事業規模を拡大、免疫機能の増強効果があるという多糖体の一種「β―グルカン」の含有量が多い黒マイタケなどの生産販売を通じて、「人類の健やかな社会生活に貢献すること」だという。

「日本の素晴らしい食材、農業技術をアピールして将来は、『MAITAKE』という日本語が世界の共通語になればいいと思ってます。現在の工場はテストプラントですが、22年操業開始に向けて、メインプラント建設の準備を進めているところ。完成すれば現在の130トンが20倍以上の3000トンになります。北米を皮切りに、欧州、アジアと順次、供給エリアを広げて行きたい」

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意欲はとどまるところがない。生涯現役か――。

「将軍マイタケの持つ可能性と魅力を世界中に届ける目処がつくまで、90歳までは現役で頑張りたい。最近、化学の進歩は目覚ましく、老化を遅らせるのに有効な物質や運動方法などが解明されてきているので、大丈夫ではないかと(笑)」

経営権を巡るドロドロの戦いに敗れたとはいえ、再起した大平氏の現況は、陰鬱な過去を払拭するものだった。今72歳で90歳の引退まであと18年。「MAITAKE」の普及を成し遂げるのに十分な歳月で、こうした形のグローバル化はいくらでも歓迎、推奨すべきものだろう。

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