リアル「全集中の呼吸法」を体得する横隔膜エクササイズ

リアル「全集中の呼吸法」を体得する横隔膜エクササイズ

  • WANI BOOKS NewsCrunch
  • 更新日:2021/05/04
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『鬼滅の刃』で「呼吸」がこれほど注目されたのは、作品がエンターテインメントとして優れていたことに加え、もともと日本人が呼吸の大切さを知る文化をその下地として持っていたことも大きかったのでしょう。世界トップクラスのアスリートのトレーナーを務める森本貴義氏は、トレーニングの基本は「呼吸」であり、横隔膜をしっかりと動かす呼吸こそが「全集中の呼吸」だと言います。そこで横隔膜を意識するためのエクササイズを教えてもらいました。

※本記事は、森本貴義:著『入門!「全集中」の呼吸法 -自宅ですぐ始められる最強エクササイズ-』(ワニ・プラス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

まず「息を吐ききる」ことから始めよう

エクササイズを行う際に、意識すべきことは何点かありますが、できるだけ細く長く息を吐ききるようにしてください。一般的に男性は息がじゅうぶんに吐けていないケースが多く、女性の場合は逆にじゅうぶんに吸えていないケースが多くなっています。

どちらにしても横隔膜がじゅうぶんに動いていない状態には変わりがありませんが、男性は横隔膜がいつも緊張している状態の人が多いと感じます。社会的・精神的に緊張し、胸を張った姿勢をとろうとすることが多いのかもしれませんが、交感神経ばかりが優位になった状態が続いていると考えられます。

交感神経が強く働いていると横隔膜も緊張し、肋骨の下でピンと張った状態になっています。息を吐いても横隔膜がドーム状に上がらず下がったままになっていると、肋骨がきちんと内旋できず、肋骨の位置が正しくないと腹筋が正しく機能しなくなります。

その代わりに、横隔膜が姿勢を安定させようとして緊張を続けるようになってしまうのです。その結果、男性は腰椎が不安定になり、腰痛を発症しやすくなっています。しっかり吐けていれば、自然にじゅうぶんな空気を吸えますが、吐けていないために空気の取り込みが不十分となり、そこで浅く速い呼吸をして、それを補おうとします。

これに対して女性は「吸うのが苦手」な状態になっている人が多く見られます。これはストレスなどによる横隔膜の過緊張というよりも、主原因は横隔膜をはじめとする呼吸筋群の筋力低下です。

横隔膜の筋力が弱いために、代わりに肩や首の筋肉を使って呼吸を続けている状態になっている人がしばしば見られます。静かに座っている状態でも呼吸時に肩が上下する場合はほぼこの状態です。肩や首周りを常に緊張させていると横隔膜を使わなくても空気は体内に入ってきます。

しかし横隔膜を使えないために取り込みは不十分です。そこで肩や首の周りの筋肉をさらに緊張させて動かし、たくさん取り込もうとして浅く速い呼吸を繰り返し呼吸量を増やしますが、それが肩こり、首痛などを招く悪循環を生むのです。

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▲まず「息を吐ききる」ことから始めよう イメージ:PIXTA

男性は吐けない、女性は吸えない、というのが呼吸過多のふたつのパターンです。これを解消するためには、まずはどちらのケースも「しっかりと吐くこと」を意識することが大事です。

「吸うのが苦手」な場合も「吸うこと」よりも「静かにしっかり長く吐ききる」ことを明確に意識して、エクササイズを続けると、少しずつ横隔膜が鍛えられてしっかりと動くようになります。

「吐くことが苦手」も、同じようにいつもよりも長く静かに吐くことを繰り返すことで、緊張で固まったままの横隔膜がストレッチされて、きちんと上下するようになります。

口呼吸をやめて鼻呼吸に慣れよう

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▲口呼吸をやめて鼻呼吸に慣れよう イメージ:PIXTA

呼吸量を減らすために、もうひとつ非常に簡単で重要なことが「口呼吸をやめて鼻呼吸にする」ということ。

鼻は細かいゴミや花粉、細菌やウイルスをフィルターとしてからめとり、体内に侵入することを防ぎますが、それだけではなく、呼吸量を適切にしてくれる役割も担っています。口よりも開口部が小さく、狭く、鼻毛や粘膜などの「障害物」が多いため、それが抵抗になって1回の呼吸で肺に入ってくる空気の量は少なくなります。

口呼吸が習慣になっている人は、鼻がつまっているわけではないのに、意識的に鼻呼吸をしただけで息苦しさを感じるかもしれません。しかし、この鼻呼吸は、呼吸のトレーニングをするときはもちろん、日常生活でも常に気をつけて習慣にしてください。

特別なトレーニングをしなくても、意識して日常の呼吸を鼻呼吸にするだけで、体調は改善し、睡眠の質がよくなり、さらに免疫力も上がります。また鼻腔からは一酸化窒素が分泌されており、これは血管を拡張する作用があるため、通過する酸素の取り込み率を上げてくれるのです。

「つい口が開いてしまう」という人は、今ならマスクの下で、唇に粘着力の低いマスキングテープなどを縦に貼り付けておいてもいいと思います。昼間はちょっと……という人は、まず睡眠時に試してみてください。

横隔膜を意識するためのエクササイズ

ここで紹介するのは、横隔膜の動きを意識するためのエクササイズです。横隔膜に直接触れることはできませんが、肋骨、胴回りに両手を当てることで、間接的に動きがわかります。

ここでは〈1〉で胸部と腹部が同じ方向に動くよう意識し〈2〉肋骨内旋呼吸で肋骨がきちんと上下・開閉することを意識し、そして〈3〉で、お腹周り全体を360度膨らませたり、戻したりできるようになっていくことを目指します。

呼吸トレーニングに限りませんが、たとえば2カ所の筋肉を動かすことが必要な場合、「全部を同時に意識する」ことは非常に困難です。無意識に2つの筋肉が連動して動くようになるまでは、まずそれぞれの筋肉を1つずつ意識しながらトレーニングしていくことが早道です。

1つ目の筋肉が無意識にきちんと動くようにトレーニングできていれば、2つ目のトレーニングをしたときは、最初の筋肉も同時に正しく動くようになっていくからです。このエクササイズは、自分の肋骨や胸、お腹が呼吸とともにどう動いているのかを知るためにも、少しの時間でもいいので、毎日続けてください。

〈1〉アンチパラドックス呼吸

肩や首などの筋肉を使うことなく、横隔膜をリラックスさせて呼吸を続けることによって動きの幅を大きくしていきます。息を吸ったときに「胸が突き出てお腹が凹む」という状態(パラドックス状態)は横隔膜が動いていないことを示します。これを解消することが目的です。

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▲『入門!「全集中」の呼吸法』(小社刊)より

〈2〉肋骨内旋トレーニング

呼吸にともなって肋骨がしっかりと動いているかどうかを意識しながら呼吸を続けるト
レーニングです。息を吐いたときに肋骨が矢印の方向に動いていない(内旋していない)状態は、横隔膜がじゅうぶんに動いていないことを示します。「しっかりゆっくり吐ききり、自然に吸う」を心がけ、4〜5回続けてください。

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▲『入門!「全集中」の呼吸法』(小社刊)より

〈3〉IAP 呼吸トレーニング

息を吸ったとき、お腹周り全体、つまり横腹にも背中のほうにも空気が入っていくこと
を意識して呼吸します。IAPとは腹腔内圧のことで、呼吸によってお腹全体に内側からかかる圧力のことです。息を吸ったときにじゅうぶん横隔膜が下がっていればしっかり圧力がかかります。

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▲『入門!「全集中」の呼吸法』(小社刊)より

横隔膜呼吸で呼吸量を減らし、ゆっくりと深い呼吸ができるようにするためのトレーニングをしましょう。楽にできるものから1日数十秒でも数分でもかまいませんから、少しずつ毎日やってみてください。

森本 貴義

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