コンコルド再来となるか!? Boom Supersonicの超音速旅客機とは?

コンコルド再来となるか!? Boom Supersonicの超音速旅客機とは?

  • マイナビニュース
  • 更新日:2021/06/11
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Boom Supersonicは、6月3日、ユナイテッド航空と超音速旅客機「Overture」の購入契約を締結したと発表した。この超音速旅客機「Overture」は、マッハ1.7(1,800km/h)の速度で飛行することができる。

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超音速旅客機といえば、「コンコルド」を思い出すかたも多いのではないだろうか。

しかし今では、超音速旅客機は飛行していない。それはなぜだろうか。Boom Supersonicの超音速旅客機とはどのようなものだろうか。今日は、そんなBoom Supersonicについて紹介したいと思う。
なぜ、いま超音速旅客機なのか?

超音速旅客機といえば、多くのかたがコンコルドを思い出すだろう。

コンコルドは、フランスの航空機メーカー、シュド・アビアシオン(のちにEADS、現在のエアバス)やイギリスの航空機メーカーBAC(現在のBAE)などによって共同開発された。

コンコルドは、2003年まで航行していたがすでに退役している。ほかにも旧ソ連の「Tu-114」という超音速旅客機も存在したが1978年に運行を取り止めている。過去には、コンコルドのような魅力的な機体が大空を航行していたのだ。

しかし、現在では、超音速旅客機は存在しない。では、なぜ超音速旅客機は運行停止となってしまったのだろうか。

まず、ソニックブームによる地上への影響が挙げられる。ソニックブームとは、超音速旅客機が超音速飛行すると衝撃波が生じ、それとともに発生する轟音、大音響のこと。これにより人や家畜への悪影響や、地上の建造物などが破損するなどの被害があり、現在多くの国で超音速飛行を制限もしくは禁止しているのも事実だ。

また、コスト面の課題が挙げられる。開発・製造コストが高い、そして燃費が悪い、などで事業採算性が合わず経営面で厳しいのも事実だ。

そして航空機事故の多さも運行停止の理由の一つだ。コンコルドもTu-114も事故を起こしてしまった。さらに高空での排気ガスによるオゾン層への影響も懸念されていた。

ところが、現在、超音速旅客機の開発が活発化してきている。アメリカ、欧州、日本などを中心にこれらの課題を解決すべく技術開発を行い、先進的な航空技術を世界にアピールするチャンスとして尽力しているのだ。やはり人類が期待しているテクノロジーのひとつであることは間違いない。

例えば、日本では宇宙航空研究開発機構(JAXA)がマッハ5の極音速旅客機の実現に向けて日々研究開発を行なっている。2020年3月にはマッハ4の飛行を模擬した極超音速エンジンの燃焼試験を実施し成功。機体の熱遮断構造の適正化も立証している。

超音速ビジネスジェットを手がけるAerionは「Aerion AS2」や「AS3」などの開発をNASAなどとともに共同研究を実施している。ほかにもVirgin Galacticがコンコルドよりも速いマッハ3の超音速旅客機の開発に着手したという報道もある。このように世界では、超音速旅客機の研究開発が盛んなのだ。
Boom Supersonicの超音速旅客機「Overture」とは?

Boom Supersonicとは、2014年に設立したアメリカデンバーに拠点を置く超音速旅客機を開発する企業だ。

その超音速旅客機とは、超音速旅客機「Overture」。マッハ1.7、航続距離7,870km、88人の乗客を搭乗することができるという。

1機あたり200億円、2029年にまでに商用フライトを実現する計画だ。

この速度により、ニューヨークからロンドンまでわずか 3時間半、ニューヨークからフランクフルトまで 4時間、サンフランシスコから東京までわずか 6時間で結ぶことが可能だ。

外見は、普段搭乗する旅客機と形状が大きく異なる、とても細長なスマートな形状している。

そして機内は、充実したエンターテイメントスクリーンや、ゆったりとしたパーソナルスペース、非接触技術など充実した機能を具備しているという。

そんな魅力あるOvertureだが、2021年6月3日、Boom Supersonicは、ユナイテッド航空とOvertureを15機と追加オプションで35機の購入契約を締結したと発表した。

実は、JAL、Virginも出資しており、すでに予約購入契約を済ませている。

では、超音速旅客機「Overture」は上記で示した過去の課題を解決できるのであろうか。

Boom Supersonicは、Overtureの実現に向けて「XB-1」という実証機でテストを繰り返している。

XB-1はおおよそ翼幅6.4m、全長18.7m とOvertureの1/3のスケールだ。
まず、SAF(Sustainable aviation fuel)を使うという。これは、持続可能な航空燃料と訳していて、バイオ燃料のこと。このバイオ燃料は、Prometheusと連携しながら、空気からCO2を経済的に除去し、また太陽光や風力などの再生可能エネルギーなどのクリーンな電力を使用して製造するという。

そして燃焼を踏まえても、正味のCO2の排出量はゼロとし、カーボンニュートラルを実現するという。実際にXB-1において実証済みのようだ。

ソニックブームの課題については、XB-1を活用した風洞実験や飛行実験により得られた結果や知見をもとに今後アイデアを出しながら解決に向けて尽力するようだ。

ソニックブームの課題については、世界各国が進めており解決に向けてある程度楽観的な報道が多い印象がある。

また、超音速になれば、一般の旅客機よりも数倍の燃料を消費するという。また機体も高額であることから、どうしても高額になってしまう航空機チケット代の低価格化など一般に普及するための施策が今後必要だろう。課題の解決策についてこれ以上は不明だが、実現に向けて明るいニュースが多い印象だ。

いかがだっただろうか。世界には超音速旅客機の実現に向けて再び動き出しているプレイヤーが存在する。夢のある超音速旅客機の実現に向けてもう少しのようだ。

齊田興哉 さいだともや 2004年東北大学大学院工学研究科を修了、工学博士。同年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社し、2機の人工衛星プロジェクトチームに配属。2012年日本総合研究所に入社。官公庁、企業向けの宇宙ビジネスのコンサルティングに従事。現在は、コンサルティングと情報発信に注力。書籍に「宇宙ビジネス第三の波」、「図解入門業界研究 最新宇宙ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」など。テレビ、新聞、Webサイト、セミナー・講演も多数。 この著者の記事一覧はこちら

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