エ軍売却中止でWBC日本代表のV奪回に“暗雲”のワケ 「クローザー大谷」の栗山采配に“待った”?

エ軍売却中止でWBC日本代表のV奪回に“暗雲”のワケ 「クローザー大谷」の栗山采配に“待った”?

  • デイリー新潮
  • 更新日:2023/01/25

「二刀流」の去就にも影響は必至

米大リーグ、エンゼルスが1月23日に球団売却交渉を中止すると発表した。身売りに向けた手続きに入ると発表した昨年8月からおよそ5ヵ月。180度方針転換となり、にわかに今オフにフリーエージェント(FA)になる大谷翔平(28)の周辺が騒がしくなった。エンゼルスはオーナーが代わらないとなれば、勝利に飢えているとされる「二刀流」の去就の判断への影響は必至の情勢だ。【木嶋昇(きじま・のぼる)/野球ジャーナリスト】

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エンゼルスはこのオフ、昨季ドジャースで15勝の左腕タイラー・アンダーソン投手、ブルワーズで29本塁打のハンター・レンフロー外野手、パドレスなどで28本塁打のブランドン・ドゥルーリー内野手を立て続けに獲得した。球団売却に動いているチームとは思えないほど積極的に強化へ手を打っていた。

「エンゼルスが(昨年10月に)大谷と契約を結んだ際は単年だったこともあり、売却前提だなとは思った。ただ、GMらフロントはストーブリーグでは本当に球団を売却するのかというぐらいの勢いで補強していた。今振り返ると、球団売却が成立しない事態にも備えていたように思える」(米大手マネジメント会社の代理人)

売却交渉に何が起きたのか。在米スポーツ・ジャーナリストはエンゼルスのアート・モレノ・オーナーの“変心”を理由に挙げる。

「モレノはビジネスセンスに優れたオーナー。売却相手を探った結果、今が売り時ではないとの判断もあったのだろう。昨年、一度は頓挫したエンゼルスタジアムの再開発に何らかのめどが立っているのではないかとの見方もある。この5ヵ月でモレノが球団を売りたくない状況に変わった可能性は否定できない」

エンゼルスには三つの選択肢

モレノ・オーナーが今後、長期的に球団保有するかどうかは定かではないが、大谷の次期契約まではエンゼルスが関わることになりそうだ。エンゼルスと大谷、進路の選択肢は主に三つと言える。

まずはFA前にエンゼルスが契約延長するケース。既に来オフのFA市場では契約は総額5億ドル(約650億円)とも言われ、MLB史上最大規模になることが確実視されている。エンゼルスが契約延長を目指すなら、これに匹敵する契約を出さざるを得ないだろう。既にマイク・トラウト外野手、アンソニー・レンドン内野手と巨額契約を結んでいる。ぜいたく税に否定的なモレノ・オーナーが年俸総額を超えても大谷との契約に踏み切るかどうかが最大の焦点となる。

次に昨季も取り沙汰されたトレードだ。大谷ほどの“カード”ならば、エンゼルスは将来の再建に向け、相手球団から複数名のプロスペクト(若手有望株)の獲得が可能だ。その代償は大きいとはいえ、是が非でも優勝したい球団、大谷を一度傘下に置いた上で契約延長したい球団には魅力的な取引となる。

「ただし、トレードはエンゼルスの成績次第ではないか。昨季のように早々と優勝争いから脱落するようなら可能性は高まってくる。優勝を争っていれば大谷を出しづらくなる。球団はチームの状態を睨みながら、その都度判断することになるだろう」(前出の代理人)

そして最後は契約延長もトレードも叶わず、大谷がFAになるケースである。しかし、これだとエンゼルスには何のメリットもない。FAで他球団との争奪戦になると、契約延長より巨額の資金が必要となることが予想される。指をくわえて大谷を取り逃す道を選ぶことは、ほぼあり得ないとされている。

大谷のクローザー起用はリスク大

大谷は二刀流という希少性、ファンやスポンサーへの訴求力で、MLBではずばぬけた付加価値が認められている。エンゼルスにしてみれば契約延長かトレード、いずれかの結論を出す時に大谷に故障がなく、健康であってもらわなければならない。

「今季のプレーに関わるような故障を抱えていれば、特にトレードへの影響は必至。終盤の優勝争いの切り札になり得ないコンディションならトレード自体が成り立ちづらくなる」(前出の代理人)

故障で懸念されるのは3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)である。

「エンゼルスはこれまで大谷のWBC出場に寛容な姿勢を示してきた。もちろん有事の際に今季契約(3000万ドル=約39億円)に対する保険は掛けていると思う。しかし、WBCで大谷にけがをされれば、トレードでの大谷の商品価値に傷が付く。日本代表での起用法に圧力を掛けてくるかもしれない」

日本代表の栗山英樹監督は大谷を主に指名打者中心に起用する方針だ。一方で大谷には先発投手としてシーズンへの調整も必要で、中国など力が劣る相手の試合などでの先発登板はあり得る。

一方で栗山監督は大一番での抑え起用を視野に入れているようだ。

「大谷はある程度の球数を投げる先発ならペース配分をするだろうが、優勝が懸かる決勝で最後の1イニングを託されるなどすれば、力をセーブしながらクローザーを務めるとは思えない。春先ではあり得ないぐらい思い切り腕を振るに違いない。故障のリスクは高まるため、私はクローザー大谷には反対」(元NPB球団監督)

ダルの配置転換で成功体験

侍ジャパンはダルビッシュ有(パドレス)、山本由伸(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)ら先発陣が世界屈指の陣容だ。これに対し、リリーフ、特に抑えは、MLBの一線級が務める米国、ドミニカ共和国などに見劣りする。栗林良吏(広島)、松井裕樹(楽天)両投手らでは不安が残るのも事実だ。

過去、WBCでは09年大会で、藤川球児(当時阪神)らが不調で、先発要員のダルビッシュが大会終盤に抑えに配置転換となり、胴上げ投手を務めた“成功体験”がある。

「NPBの公式戦でさえ抑えの重圧は相当なモノ。これが日の丸を背負うとなると、想像を絶する。だからこそ栗山監督は日本ハム時代にリリーフで起用した経験があり、メジャーの打者相手でも力でねじ伏せられる大谷の抑え起用を考えているのだと思うが…」(同)

エンゼルスの身売りが頓挫したことで、大谷の抑え起用に「待った」がかかるのか。その行方は侍ジャパンの覇権奪回を左右しそうだ。

デイリー新潮編集部

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