認知症の21人に半分量の食事のみ 虐待で介護事業所が取り消し処分

認知症の21人に半分量の食事のみ 虐待で介護事業所が取り消し処分

  • 朝日新聞デジタル
  • 更新日:2023/11/21
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"「グループホーム 一梅縁」=2023年11月21日午後4時11分、石川県かほく市宇野気、朝倉義統撮影"

石川県かほく市は21日、市内の認知症対応型の介護施設「グループホーム 一梅縁」で介護保険法違反(人格尊重義務違反など)があったとして、共同生活介護事業所としての指定を取り消したと発表した。

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市によると、認知症の全入居者21人の1日3食分の食事が、厚生労働省が定める75歳以上のうち施設で過ごしている人などの1日の摂取基準(男性1800キロカロリー、女性1400キロカロリーなど)に対し、5~6割程度しか与えず、「放棄・放任の虐待として生命に危害を及ぼす重大な人格尊重義務違反を行った」としている。

男性の「半分程度」の900キロカロリーを3食分にあてはめると1食あたり300キロカロリーで、ごはん茶わん1杯(150グラム約250キロカロリー)と納豆1パック(80~100キロカロリー)にも満たない。

5月初旬に市に通報があり、同15日に立ち入り検査をして発覚し、監査を実施。業者が運んだ食材量から判明したが、9月中旬に再検査をした際、その量が変わっておらず、少なくとも4カ月間は虐待をしていたと認定した。処分までに時間を要したことについて市は「入居者の転居先を探していた」としている。

また、施設は市の監査に対し、一部の入居者の体重が低下していたにもかかわらず、提出した介護記録など書類で虚偽の報告や答弁をしたという。

21日、施設は静まりかえっていた。10月下旬に残っていた入居者18人に退去を呼びかけ、別の施設に移したという。たまたま荷物を取りに来たという元職員の女性は食事について、「何も知らなかった。1人前は普通の量で、だいたい、煮物と酢の物、肉か魚があった。『少ない』と言う人も、『いらない』と言う人もいた」と困惑していた。(小崎瑶太、朝倉義統)

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