なでしこジャパン、苦しんだ五輪開幕戦での貴重な勝点1。満足できる結果と内容ではないが...

なでしこジャパン、苦しんだ五輪開幕戦での貴重な勝点1。満足できる結果と内容ではないが...

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  • 更新日:2021/07/22
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相手に主導権を握られる苦しい展開のなか、最後はなでしこの強靭なメンタルが勝点1獲得につながった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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徹底的にマークされ、自由を与えてもらえなかったなでしこのエース岩渕。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

7月21日、札幌ドームのピッチに登場したなでしこジャパンとカナダ。その前に行なわれた同グループの試合は、イギリスがチリに2-0で勝利していた。負けるわけにはいかないが、勝点3を手にすれば、優位に立てる。リスクと報酬が天秤にかかった一戦は、最終的に勝点1ずつを分け合う結果となった。

なでしこジャパンは、テストマッチのオーストラリア戦をクリーンシートで終えた守備陣から、2名を入れ替えた。GKには池田咲紀子、左サイドバックは北村菜々美が入った。一方、カナダの前線は2トップで、この日、代表300試合出場を達成した大ベテランのクリスティン・シンクレアはトップ下を務めた。

焦れる展開を予想していたが、キックオフから6分で試合が動く。日本の左サイドのスペースで、ニシェル・プリンスがボールを受け、アプローチがやや遅れた隙に、グラウンダーで折り返される。中央に守備の人数は揃っていたが、シンクレアが巧みに侵入してシュート。ポストに跳ね返ったボールをもう一度詰めて、先制点はカナダに転がり込んだ。

最後の瞬間、ディフェンダーの一歩前に入ってきた大ベテランの動きを褒めるべきかもしれない。ただ、相手のトップをしっかりとセンターバックが抑えていても、2列目の選手にフリーで打たれるというシーンは前哨戦でも散見し、ディフェンスリーダーの熊谷紗希も試合後に反省事項として挙げていたところ。リスクを負ってプレーした後半はやむを得ないとしても、この時間帯は何とか対応したかった。
失点のダメージからか、この日の日本はビルドアップのスタートでもたつき、なかなか有効な攻撃が見せられない。フリーの状態でもパスがブレて、個人で仕掛けると複数の相手に囲まれる。なかでも、岩渕真奈は徹底的にマークされた。ボールを受けるために中盤まで下りても、2枚、3枚がかりのマークは変わらず、自由を与えてもらえない。

日本は20分過ぎから、チーム全体でポジションチェンジをするが、カナダもデジレー・スコットとレベッカ・クインのふたりを中心に、柔軟に防戦。日本がプレスを仕掛けても、フィジカルの強さで退けられ、状況を変化させることができない。

この時間帯に、カナダが本腰を入れて仕掛けていたら、どうなったかわからない。だが、1点リードの状況を考えたか、ボール保持を優先させ、ゴール前に入ってくる選手の数は多くなかった。逆に、全てがうまくいっていない日本は、相手のパス回しに翻弄されながらも、ガス欠のリスクを冒して愚直にボールを追った。大きく体力を消耗しながら、カナダにも楽をさせず、その体力を削っていった。これが、後半への布石になった。
前半を0-1で折り返した日本の高倉麻子監督は、ハーフタイムを挟んで田中美南を投入。47分、長谷川唯のクロスに合わせて走り込んだ田中が、相手ゴールキーパーと交錯してPKを獲得する。VAR判定の遅滞や相手ゴールキーパーの負傷治療などで変な間が空いたこともあってか、田中のキックは止められてしまった。

ストレスをかけられたカナダも、試合を決めるべく反撃。アシュリー・ローレンス、アリシャ・チャップマンの両サイドバックの攻め上がりで、攻撃に関わる枚数を増やし、60分前後には、ジャニン・ベッキーらがいくつかの決定機を迎えたが、追加点は生まれない。

日本の高倉監督は、62分に遠藤純、76分に杉田妃和を投入。遠藤は相手DFと差し違える勢いで、裏を狙って走り込む。杉田も局面へ関わり続け、日本がセカンドボールを拾う場面が増えてきた。こうした途中出場選手の活躍が、カナダから岩渕への警戒心を薄れさせた。

84分、右サイドへ流れていた長谷川から、岩渕へ起死回生のフィードが送られる。右からシェリナ・ザドースキー、左からカディーシャ・ブキャナンに迫られながらも、日本の10番はしっかりと足を振り抜いた。日本女子サッカー代表として初めてとなる岩渕の5戦連続ゴール。これが、劣勢下の勝点1につながった。
指揮官は、グループステージの状況によって戦い方を変化させることを含みながらも、「手堅く守って引き分けという発想で引き分けをとるのではなく、勝ちに行って、その結果、引き分けとなるのはよし」と口にしていた。この試合がまさにそれだろう。

この日、オリンピックの女子サッカー参加12チームすべてが、開幕戦を戦った。そして、下馬評では優勝候補に推されているアメリカを含めて、先制点を奪われたチームは、ほとんどが敗れた。ビハインドを追いつき、勝点を獲得したのは日本のみだった。

自分たちがやりたいサッカーを相手にされ、その術中に陥りかけながらも、強靭なメンタルで追いついての勝点1。満足すべき内容でも、結果でもないが、決して最悪ではない。

取材・文●西森 彰(フリーライター)

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