2020年1-9月 「飲食料品小売業の倒産動向」調査

  • 東京商工リサーチ(TSR)
  • 更新日:2020/10/16

新型コロナの感染が拡大するなか、2020年1-9月の「飲食料品小売業」倒産(負債額1,000万円以上)は188件(前年同期比18.9%減)だった。これは1991年以降の30年間で、年間最少だった2016年の255件を下回るペースで、2020年は最少記録を更新する可能性も出てきた。
コロナ禍で在宅勤務や休校、外出自粛などによる“巣ごもり”特需が生まれ、「内食」や「中食」が広がった。また、オンライン飲み会なども寄与したとみられ、飲食料品だけでなく、鮮魚小売業や菓子・パン小売業、酒小売業なども倒産が減少した。
負債総額は、199億1,400万円(同18.2%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。
飲食料品小売業は個人消費の低迷を受け、2019年4月から2020年3月の1年間のうち、11月を除いた11カ月で倒産が前年同月を上回るなど、増勢をたどっていた。
しかし、新型コロナウイルスの感染が広がった2020年2月以降、様相が一変した。企業・官庁のテレワーク、学校の休校やオンライン授業、さらに外出自粛や飲食店の休業・時短営業もあり、4月以降は6月(27件)を除いて倒産が前年同月を下回っている。
国や自治体の各種支援策で商店・企業の資金繰りが一時的に緩和したほか、「with コロナ」に向け、新たな生活様式の浸透も始まっている。しかし、飲食料品小売業は小・零細企業が多く、倒産が減少している一方で、休廃業・解散企業は1-8月で1,034社(前年同期924社)と増加しており、倒産だけでなく休廃業・解散の動向も注視しなければならない。

※本調査は、日本産業分類の「飲食料品小売業」(「各種食料品小売業」「野菜・果実小売業」「食肉小売業」「鮮魚小売業」「酒小売業」「菓子・パン小売業」「その他の飲食料品小売業」)の2020年1-9月の倒産を集計、分析した。

1-9月の飲食料品小売業の倒産は188件、年間で最少ペース

2020年1-9月の「飲食料品小売業」倒産は188件(前年同期比18.9%減)だった。今年に入ってからは6月を除き、倒産は前年同月を下回っている。コロナ禍で緊急事態宣言が発令され、企業のテレワークや休校、外出自粛、さらには飲食店の休業や時短営業で在宅率も高まり、4月22件(前年同月26件)以降、5月11件(同29件)、7月20件(同38件)、8月22件(同33件)、9月13件(同27件)と、倒産の減少が続いている。
2020年4月以降、倒産は月平均19件で発生し、このペースを持続すると年間250件前後となり、この30年間で最少の2016年(255件)を下回る可能性も出てきた。
「飲食料品小売業」は、コロナ禍による“巣ごもり”特需がプラスに反映しているようだ。

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業種別 「鮮魚小売業」、「各種食料品小売業」、「菓子・パン小売業」などで減少

業種別では、減少率は「鮮魚小売業」の56.2%減(16→7件)が最大。次いで、食品スーパーなどの「各種食料品小売業」が30.9%減(42→29件)、「菓子・パン小売業」が26.3%減(57→42件)、「酒小売業」が20.0%減(20→16件)の順。前年同期より増加したのは、「食肉小売業」の33.3%増(6→8件)だけで、「野菜・果実小売業」は13件で前年同期と同数だった。
緊急事態宣言下の休校や企業のテレワークで、家で食材から調理する「内食」や総菜や弁当などを買って家で食べる「中食」が広がり、ニーズが高まったほか、外出自粛によるオンライン飲み会なども食料品や酒類の売上に貢献したとみられる。

負債額別 1億円未満が8割

負債額別では、1億円未満が155件(前年同期比18.8%減、前年同期191件)で、全体に占める構成比は82.4%(前年同期82.3%)と8割を超え、前年同期よりも0.1ポイント上昇した。
内訳は、1千万円以上5千万円未満が122件(前年同期比24.6%減)、5千万円以上1億円未満が33件(同13.7%増)だった。
このほか、1億円以上5億円未満が24件(同22.5%減)、5億円以上10億円未満が5件(同28.5%減)と、それぞれ前年同期を下回った。10億円以上は4件(前年同期2件)と、前年同期を上回ったが、そのうち、50億円以上の倒産はゼロ(同1件)で、中堅クラスの倒産が多かった。

地区別 9地区のうち、7地区で前年同期を下回る

地区別では、9地区のうち、7地区が前年同期を下回った。前年同期比の減少率が最も高かったのは、中国の46.6%減(15→8件)。以下、近畿28.8%減(59→42件)、関東26.6%減(75→55件)、北海道25.0%減(4→3件)、中部15.3%減(26→22件)、九州9.6%減(31→28件)、東北7.6%減(13→12件)と続く。
一方、増加率が最も高かったのは、四国の800.0%増(1→9件)だった。前年同期に倒産が発生しなかった徳島で4件、高知で2件、愛媛で1件発生したほか、香川も2件(同1件)と、4県すべてで増加した。
このほか、北陸が12.5%増(8→9件)で増加した。
大都市圏とその周辺は、人口が多いだけでなく、大手企業が集中し、テレワーク実施率の高さが“巣ごもり”による内食需要につながったとみられる。
一方で、人口が少なく、中小企業が中心の地域では、テレワーク実施率が低いほか、従来から内食需要が高いことから、コロナ禍による増収効果は薄かったとみられる。

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