新型コロナは心臓にも長期的影響 無症状でも心不全のリスク要因に

新型コロナは心臓にも長期的影響 無症状でも心不全のリスク要因に

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/02/22
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で重症化して入院し、退院から数カ月がたった患者の半数以上に、心臓に受けたダメージが残っているとみられることが分かった。

ロンドン周辺の6カ所の病院で治療を受けた感染者148人を6カ月にわたって追跡調査し、その結果をまとめた論文が先ごろ、欧州心臓病学会の医学誌ヨーロピアン・ハート・ジャーナルに掲載された。

論文によると、重症化したことで「トロポニン」と呼ばれるタンパク質のレベルが上昇していた患者は、心臓細胞に損傷を受けていると考えられる。トロポニンは心筋が損傷を受けたときに血中に放出されるもので、動脈閉塞や心臓に炎症が起きたときなどに、そのレベルが上昇する。

たとえば心臓発作を起こせば、非常に高いレベルで確認されることが多くなる。また、トロポニンレベルの上昇は、予後が不良であること、死亡リスクが高まることにも関連している。

これまでの研究でも、COVID-19にかかって重症化した人のおよそ5人に1人に、トロポニンレベルの上昇がみられたことが報告されている。さらに、レベルの上昇がその後の回復の状況、死亡リスクの上昇に関連していることも示されている。だが、損傷の原因や程度などに関する十分な研究は行われていない。

最新の研究では、トロポニンのレベルが上昇していたCOVID-19患者の心臓を磁気共鳴画像法(MRI)で検査した。その結果、心筋の炎症、心臓組織の壊死または損傷、心臓への血液供給量の減少、の3つのうちのいずれか、またはすべてが起きていたことが確認された。

論文の筆頭著者であるユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマリアナ・フォンタナ教授(心臓病学)は、「退院後1~2カ月が経過した感染者の心筋にも、高い確率で心筋の損傷が確認できた…それらのなかには新しくできたものがあり、COVID-19が原因だと考えることができる」と説明している。

研究の対象とした患者のうち、心臓の異常が確認された人は54%。4分の1以上に炎症による損傷、22%に梗塞または虚血(6%にはこの両方)がみられた。引き続き炎症が起きている人は、8%だった。

フォンタナ教授によれば、こうした損傷によって懸念されるのは、患者が「心不全を起こすリスクが高まった可能性がある」ことだ。COVID-19の重症化が引き起こすのが一般的な心臓の損傷であり、おそらく心臓の機能そのものに影響を及ぼすことはないとしても、どのような損傷が起きているかを明確にすることは、リスクが高い患者と低い患者を特定するために有用なことだという。

ますます多くの研究結果が、感染の影響が長期的に残る可能性があることを示している。今後はさらに、入院が必要なほど状態が悪化しなかった感染者についても、心臓にどのような影響を受けていたか明らかにしていく必要があるだろう。

2020年6月に米国医師会雑誌(JAMA)に発表された研究結果では、COVID-19にかかり、回復したばかりの患者の78%に、心臓の異常が確認された。また、60%は炎症が継続していたという。

そのほか感染後に回復した医療従事者を対象に行われた別の研究では、調査対象者のうち約40%が、心筋炎または心筋心膜炎と診断されていたことが分かっている。このうち検査を受けた時点で感染の症状があった人は、半数以下だった。

こうした研究結果が示すのは、感染者は無症状でも、心不全を起こすリスクが高まるということだろう。今後数十年にわたり、心臓に問題を起こす人が増加していく可能性があるとみられている。

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