スペインの智将がU-24アルゼンチン戦を分析。「勝機はあった」第1戦の分岐点とは?

スペインの智将がU-24アルゼンチン戦を分析。「勝機はあった」第1戦の分岐点とは?

  • Sportiva
  • 更新日:2021/04/08

「この試合の一番正当な結果は、引き分けだろう」

スペインの慧眼、ミケル・エチャリは3月26日に行なわれたU-24日本代表対U-24アルゼンチン代表の第1戦について、そう分析している。

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「U-24日本代表の戦いは、戦術的にとても好ましいものだった。攻撃は豊かな技量でコンビネーションを使い、守備はいいポジションを取って相手のカウンターを最小限にしていた。フル代表の韓国戦もそうだったが、ダブルボランチに安定感があった。中山雄太は状況次第で最終ラインに入り、渡辺皓太は敵ゴール前に顔を出し、お互いが関係性を重んじ、攻守にバランスを取っていた」

エチャリは、「互角の試合」という結論を下している。エイバルで2シーズン監督を務めるなど、指導者として経験豊富な目は何を見たのか。そして、若きジャパンが「結果を変えられたかもしれない」分岐点とは??―。

「日本は4-2-3-1の布陣を組んでいる。もっとも、トップ下の久保建英はトップの田川亨介と並ぶ形で、4-4-2に近かった。どのポジションにも、テクニックレベルの高い選手をそろえていた。

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0-1で敗れたU-24アルゼンチン代表との第1戦だが、久保建英のプレーは光っていた

たとえば、右サイドの三好康児は左利きの"逆足"(サイドと異なる利き足でプレー)で、ダイアゴナルのプレーに特長があった。ドリブル、クロス、シュートと非常にスムースだった。ただ、ボールを持ちすぎてしまう瞬間もあったか。

アルゼンチンは4-2-3-1でスタートし、前半はペースを握っている。セカンドプレー、球際で競り合った後のプレーで、五分五分のボールをものにする力を見せた。無理な場合はファウルで止める荒っぽさがあり、それも含めてアルゼンチンらしかった。

また、アルゼンチンは両サイドバックの攻め上がるタイミングのチョイスがよかった。フェルナンド・バレンスエラのゴールへ入るダイアゴナルのアクションも、たびたび日本を混乱させていた。トップのアドルフォ・ガイチを中心に制空権を奪ったのも大きかった。セットプレーも含め、どちらのゴール前でもアドバンテージを得ていたと言えるだろう。

そして21分、優勢だったアルゼンチンが決勝点となる先制点を決めている。

日本は、敵陣からのボールをトップ下のマティアス・バルガスに収められてしまう。板倉滉がマークについたが、サイドを走り込まれ、折り返される。それをノーマークだった長身ガイチに頭で放り込まれた。

この失点に関して、私は日本のミスというよりも、『アルゼンチンのすばらしいゴール』だったと考察している。アルゼンチンの前線の選手は、この時以外も、マークを引き連れ、はがし、何度かゴール前に迫っていた。それが実った1点と言えるだろう」

エチャリは、失点につながったプレーそのものを強く非難することはなかった。むしろ、日本の反撃に注目した。機動力を生かした攻撃的スタイルの日本にとって、そこで得点できるかどうかがバロメータになるのだ。

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「その後はアルゼンチンがリトリートしたこともあって、日本はボールを持つ時間が増えた。後半はその傾向がさらに顕著になった。アルゼンチンが途中から4-1-4-1にして中央の守備を固める一方、日本は攻撃のコンビネーションに活路を見出した。

トップ下として自由を与えられていた久保は、際立つプレーだった。中盤と連係しながら守備し、スペースを走って広げ、ボールを運んで相手にダメージを与える。試合の流れに適応し、三好らとのコンビネーションが光った。セットプレーでのキックも大きな武器で、GKを脅かしていた。

後半21分に相馬勇紀を投入したあたりから、日本は完全にペースをつかんでいる。テクニックの高さとスピードが顕著になり、嵩にかかった攻撃となる。久保のコーナーキックからGKのパンチングを渡辺皓太がミドルで狙い、三好が左足で中に入って、ファーポストから相馬があと一歩のところまで迫った。

そして最大のチャンスは、後半29分の波状攻撃で勝ち取った左サイドからのコーナーキックだろう。相馬が右足で蹴ったインスイングのボールを、渡辺剛がヘディングで飛び込み、叩き込むだけだったが、これをすらせてしまう。単純なミスとも言えるが、チーム全体で押し込み、相手を混乱させ、つかんだチャンスで、外したのは痛恨だった」

その後、日本はあきらめずに攻撃を仕掛け、相馬、久保を中心に迫ったが、ゴールは生まれていない。

「アルゼンチンはフィジカルをベースにしたプレースタイルで、ひとりひとりが戦術的役割を果たし、ラインをコンパクトに守って対抗していた。真ん中の堅固さは見事だった。

日本はそれに敗れたわけだが、卑屈になる必要はないだろう。テクニック、スピードでは十分に対抗できていた。同点にできる機会もあった。もしどれかを決めていたら、その後の流れもつかめていただろう。惜しむらくは、高さの勝負で強さを補強できる選手の不在だが......」

最後に、エチャリはディテールについても語った。

「選手個人についてはあらためて書くが、2人のサイドバックが好プレーを見せていた。菅原由勢は堅実に守れていただけでなく、攻撃でも協力関係をうまく作っていた。旗手怜央もアルゼンチンのストロングサイドに対し、三笘薫の守備援護がほとんどない状況だったにもかかわらず、大きく崩れなかった。日本の選手たちのパフォーマンスは全体として高く評価するべきだ」
(第2戦の分析につづく)

小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

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