レッドブル・ホンダ、唯一の光明。「予選でメルセデスと0.5秒差なら...」

レッドブル・ホンダ、唯一の光明。「予選でメルセデスと0.5秒差なら...」

  • Sportiva
  • 更新日:2020/08/01

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得意なはずだったハンガロリンクでの惨敗は、レッドブル・ホンダに大きな衝撃を与えた。

RB16がハンドリングに重大な問題を抱えていることは、もはや誰の目にも明らかだった。あれから1週間半。今週末のイギリスGPで問題が解決できるとは、レッドブル陣営も思ってはいない。

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マシン挙動に問題を抱えるレッドブル・ホンダ

風洞やCFD(電子風洞)と実走の誤差がどこにあるのかを究明するため、イギリスGPの金曜フリー走行2回をフルに使って様々なテストを行なったという。開幕2戦で付けたり外したりしていた新型ノーズも再び実走で付くかもしれない。

端的に言えば、そのくらいまだ手探りの状態だということだ。マックス・フェルスタッペンはこう語る。

「僕らはまだこのクルマのことを学んでいる途中で、たくさんの新しいパーツも持ち込んでいる。いろんなパーツがそれぞれどう機能するのか、機能しないのか、どこを改良することができるのか、そういったことを学んでいる最中なんだ。

だから、1週間でパッと解決できるようなものではない。解決するには、もう少し時間が必要だ」

低速から高速まで様々なコーナーが存在していたハンガロリンクでは、マシン挙動の不安定さが目立った。同じ場所で同じように不安定なら、まだドライバーは対処ができる。しかしRB16が抱える問題は、突発的な挙動がいつどこで出るかわからないという。

「(常に問題があるわけではなく)時々マシンの挙動が予想できなくなる時がある。それがあらゆるところで起こり得るんだ。低速コーナーでも、その症状が起きれば挙動を修正することは難しくなる。それがちょっとトリッキーなんだ」(フェルスタッペン)

「どこかひとつの箇所ではなくて、いろんな速度域のコーナーでもっと一貫した挙動にしなければならない。なんとかそうしようと努力しているところだよ」(アレクサンダー・アルボン)

そして開幕からペースが上がらないアルボンのレースエンジニアには、昨年から昇格したマイク・ラグに代えて、ダニエル・リカルド時代にレースエンジニアを務めていたサイモン・レニーを現場に復帰させることを決めた。

ファクトリー勤務となったレニーは、レッドブルジュニアドライバーの育成も兼ねたシミュレーター運用などを担当していた。だが、F1の現場運用経験が豊富なレニーのほうが問題点に気づくのが速いのではないか、ということらしい。

「マイクに何か問題があったわけではないけど、マシンがとてもトリッキーでドライブしづらい状況では、経験のあるエンジニアが必要だというチームの判断。サイモンなら十分な経験がある。F1のことをよく知っている彼なら、正しい方向性へと導いてくれるんじゃないかという考えなんだ」(アルボン)

シーズン途中の、それも3連戦と3連戦の間というタイミングでの交代は異例中の異例だ。

ドライバーにとってレースエンジニアは最大の理解者であり、走行中の無線交信を通じた唯一の窓口である。そんな相手をこのような形で交代させなければならないほど、今のレッドブルは苦しい状況に立たされているということだ。

なにせ開幕から11週間で9レースが進んでいってしまう。早急に手を打たなければ、チャンピオンシップはあっという間に終わってしまう。

問題は空力パッケージにあり、簡単に解決できる問題でないことも確かだ。それだけに、少しでも打てる手は打っていく。

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「今回もFP1とFP2では、マシンのことをもっと理解するためにいくつかのテストを行なう予定だ。一朝一夕に問題を解決することはできないと思うけど、それでも僕らは少しずつこのマシンに対する理解を深めていけるはず。マシンがよくなっていくことは間違いない。あとは時間の問題だ」(アルボン)

ホンダ側も、開幕3戦分のデータとシミュレーションのデータをあらためて総合的に見直し、パワーユニットの使い方の面でさらなる熟成を進めてきた。

13戦目までのカレンダーが発表され、使用可能なコンポーネント数は3基で年間15戦以上となることはほぼ確実。そのような情勢となったこともあり、シーズン全体を通してのパワーユニットの攻め方も含めて、見直しを進めてきたようだ。

ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「開幕3連戦では正直、いろいろな問題もありました。パフォーマンス的な状況も見えてきましたので、その振り返りをすると同時に、次に向けて何ができるのかを考えて準備してきました。

急に何でもできるわけではありませんけど、実戦のなかで実際に使ってみたデータをもう一度見直し、さらに最適化をするところはないかと。制御面であったり、使い方の面をあらためて見直しました」

しかし、レッドブル側の車体面の対策も含め、すぐに効果が出て昨年のような走りができるようになるとは考えていない。

問題のある箇所を突き止め、その問題を引き起こしている原因を追究し、それに対して正しい対策を打たなければならない。そのプロセスには時間が必要だ。

「そんな簡単じゃないですよね。自分たちが(メルセデスAMGに比べて)相対的に遅いという現状に対して、どこが遅かったのか、なぜそこが遅かったのか、といったことは分析していますが、それがわかったからといって急に速くなることはありませんから。

3戦分のデータと過去のテストデータをレビューし、向上できるところでなおかつシルバーストンに対して効果があろうものを入れていきます。ただ、向上することを信じて投入するわけですが、一発でうまくいく保証はどこにもありません。F1ってそんなに簡単なものではないとも思っています」

昨年のシルバーストンでは、フェルスタッペンがポールポジションまであと一歩のところまでいった。

全開率が高いシルバーストンは、これまで苦手と思われていた。だが今は、長い全開区間のためにドラッグは削りながらも、いかに効率よくダウンフォースを確保して高速コーナーを速く走るかという、空力効率が勝負のサーキットとなっている。それがレッドブルの車体には合っていたのだ。

昨年のような戦いが今年もできると考えるのは、楽観的すぎるだろう。フェルスタッペンもまた、メルセデスAMGに大差をつけられることを覚悟している。

「去年は『ここでは厳しいだろう』と言われていたけど、実際に走ってみたら強力で、予選で0.2秒差だった。いろんな要素が関連しているから、正確に予想することは難しいんだ。

今のメルセデスAMGは独走状態だし、とても速い。その差が0.2秒なのか1秒なのか、それは実際に走ってみるまでわからない。1秒差なんてことにはなってほしくないし、0.5秒以内であってくれればいいなと思うけどね」

予選で0.5秒差なら、決勝では戦えるかもしれない。限界ギリギリで走った時に生じるRB16の挙動問題も、燃料が重くタイヤを労りながら走る決勝では緩和されるからだ。

勝つことをあきらない。勝つために必要なことだけを考える。それがレッドブルのフィロソフィだ。今こそ、その真価が問われている時だと言わなければならない。

「僕らは、ただ現状に腹を立ててここに座っているだけじゃない。動揺したり、困惑することもあるけど、とにかく僕は勝ちたい。そのためには進歩しなければならない。それはチーム全員が思っていることだ。そうやってお互いにプッシュし合っているから、チーム内にネガティブな要素なんてないんだ」(フェルスタッペン)

勝利に向けたプッシュが実るのは、いつになるのか。時間切れになってしまう前に、なんとかその答えを見つけ出さねばならない。

米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

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