簡単な「文字の並び替え」が解けない...病気や事故が引き起こす「高次脳機能障害」とは

簡単な「文字の並び替え」が解けない...病気や事故が引き起こす「高次脳機能障害」とは

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  • 更新日:2022/06/23
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漫画/上野りゅうじん

一人暮らしのアラフィフがある日突然、心肺停止で倒れたら……。その面倒は誰がみる? 家に残されたペットたちの世話は? 脳に障害が残ったら? 治療の相談は誰にすればいいーー?

医療ライター・熊本美加さんの身に起きた「まさか」の体験をマンガ化、医師監修の役立つ情報とともにまとめたのが、『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』(監修:鈴木健之/東京都済生会中央病院)です。

倒れた時の脳のダメージによって「高次脳機能障害」と診断された熊本さんは、リハビリ病院へ転院することに。スタッフの温かい励ましに支えられてリハビリを始めますが、そこで思い知る自身の現状はかなり過酷なものでした。

熊本さんを待ち受けていた試練とはーー?

愛とリハビリの旅立ち

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救急車で運ばれた「急性期病院」に入院していた熊本さん。そこへリハビリ病院への転院を進めるため、医療コーディネーターの遠藤さんがやってきます。リハビリは、始めるのが早ければ早いほど効果が高まるもの。一刻も早い転院を勧めますが、自分の障害を自覚できていない熊本さんは「家に帰りたい!」と、その提案に猛反発。

結局は遠藤さんの仕事ぶりと病状を把握している家族のサポートもあり即転院となったものの、熊本さんのリハビリ生活は不機嫌マックスからのスタートとなってしまいました。

「この年末は久々の自宅で猫たちと一緒に、紅白見ながら天ぷら蕎麦を食べるつもりだったのに……」。しかしそんな熊本さんを待っていたのは、笑顔のスタッフたちの温かい出迎えでした。

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熊本さんのリハビリは主治医を中心に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士、看護師と、それぞれの専門スタッフがチームとなって計画を立てることに。ここでどんな生活を送ることになるのか、それぞれのスタッフから説明を聞くうちに、熊本さんはたくさんの人が自分を支えようとしてくれていることに気付きます。

「これからのことを一緒に考えていきますから」。不安を抱えていた熊本さんは、スタッフの温かな言葉でやっと心を開くことができたのでした。

熊本さんが行うリハビリの一つに、「作業療法」がありました。作業療法とは、日常生活を自分らしく行う訓練のこと。これから毎日こなすことになる「アナグラム(つづり換え)」のテストをやってみる熊本さんですが、ここで思いがけない壁が待っていました。

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簡単なテストなのに集中できない、頭に入ってこない……。自分の現状は理解できたものの、リハビリはとにかく根気がいるもの。挫けそうになる熊本さんを支えたのは、いつも粘り強く見守るスタッフと、他の患者さんのコツコツ頑張る姿でした。

心疾患の危険因子の一つ、ストレスにどう対抗する?

心疾患の危険因子として挙げられるのがストレス、お酒、タバコ。じつは熊本さんは倒れる3年前に、お母さんに膵臓がんが発覚。最愛の母を亡くした悲しみと看病をめぐる家族との衝突で、人生最大のストレスを経験していたのです。誰もが抱えるストレスと心疾患との関係性について、東京都済生会中央病院循環器内科医長の鈴木健之先生が解説してくれました。

「確かに、強いストレスが加わると基礎疾患の有無や年齢に関係なく、心疾患を発症する確率が数倍高くなると言われています。ご自身やご家族が大きな病気になった、ご不幸があった、劇的な環境の変化といった過度な精神的ストレスを受けたり、さらにそれで睡眠不足が続いたりすると自律神経が乱れ、血圧も上昇。それが引き金になって心筋梗塞や不整脈を起こす方もいらっしゃいます。

コロナ禍の環境は、これまでにない過度なストレスが多くの人々にかかっており、心臓には良くないことばかりです。自粛生活の精神的ストレスに加え、リモートワークで通勤もなく運動不足。ずっと家にいることで体重が増え、コレステロール値も上昇しがち。甘い物や煙草、お酒といった嗜好品の量が増えたり、不安で不眠が続いていたりすると、血管にも心臓にも悪影響が及んでいます。

とはいえ、ストレスフリーになるのは難しいですよね。ストレスそのものよりも、何か異変を感じた時に“ストレスだろう”と放置することのほうが問題。ストレスが原因でその他の病気の発症につながることもあるからです」

熊本 美加
東京生まれ・札幌育ち。医療ライター、性の健康カウンセラー。大学卒業後、広告制作会社などを経てフリーライターに。更年期ウイメンズ&メンズヘルス、性感染症予防・啓発、性の健康についての記事を執筆。2019年に電車内で心肺停止で倒れ救急搬送され蘇る体験以後、救命救急、高次脳機能障害、リハビリについても情報発信中。

上野りゅうじん
2017年「うちのへそ曲がり!!」でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵などを担当。『オカン DAYS』(講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理著、講談社)、『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』(KADOKAWA)がある。

漫画/上野りゅうじん
構成/山崎 恵

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第1回「山手線で心肺停止!50代医療ライターが見逃した2週間前の予兆「毎日同じ時間に、同じ場所が」」>>

第2回「山手線で心肺停止!救急隊到着までの20分、私の命を繋いだもの「下がるのは“蘇生率”だけじゃなかった」」>>

第3回「「ワシは面倒見れん」「お姑さんの介護が...」昏睡状態の50代女性の横で始まった家族会議が超シビアだった話」>>

第4回「看護師に掴みかかり「ここから出してよ!」心停止で昏睡状態に陥った私が、目覚めたら凶暴化していたわけ」>>

熊本 美加

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