農工大、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノミスト化できる技術を開発

農工大、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノミスト化できる技術を開発

  • マイナビニュース
  • 更新日:2022/06/24
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●経皮吸収型ドラッグデリバリーで求められるナノミスト化

光の波長よりも小さいナノマシンを自在に駆動させる技術、東大生研が開発

東京農工大学(農工大)は6月23日、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノミストを作製する手法を開発したと発表した。

同成果は、農工大 大学院工学府 物理システム工学専攻の渡邊良輔大学院生、同・大学院 生物システム応用科学府 食料エネルギーシステム科学専攻の田中詩織大学院生、同・大学院 工学研究院 先端物理工学部門の吉野大輔准教授、同・宮地悟代准教授らの研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

近年、医療分野において、薬剤を皮膚表面から体内に浸透させる「経皮吸収型ドラッグデリバリー」が注目されている。薬剤の血中濃度を長時間維持できることや効果の変動が起きにくいため副作用の軽減が期待できるといった利点があるからだという。

ただし、薬剤を皮膚から効率よく浸透させるためには薬剤のナノサイズ化が重要とされている。また、同時に液体をミスト化することで、液体粒子の数が増え、液体の総量に対する表面積が増加することから、液体の反応性を高めることが期待されており、薬剤を溶かした液体をナノミスト化することで皮膚浸透性がたかまることが期待されているともされている。

そこで研究チームは今回、液体を大気圧プラズマに通すだけでナノミスト化する手法を開発することにしたという。

●さまざまな液体をナノミスト化することに成功
具体的には、外径8mm、内径6mmの硼珪酸ガラス管の内側に注射針(16ゲージ、先端90度カット)を差し込み、この注射針に高電圧(12.5kV、10kHz)を加え、ガラス管外側に巻き付けた電極を接地することでガラス管内部に誘電体バリア放電を発生させる。このガラス管内部に注射針を通して液体を注入するだけでナノミストが生成されることが確認された。

開発された手法では、水性の液体のみならず、比較的粘度の高い油性の液体でもナノミストを生成できるという。ミスト粒子の大きさを計測したところ、大部分で観察に用いた顕微鏡レンズの空間分解能である400nmを下回るサイズであることが判明したほか、液体を分速10~100μLで送った場合、効率よくナノミストを生成できることも明らかにされたとする。

なお、同技術は、薬剤をナノサイズ化し経皮吸収を促進させることで対象部分に持続的に送達可能にする技術としての応用が期待できると研究チームでは説明しているほか、従来の静電噴霧法と比べて、ナノミスト生成機構(硼珪酸ガラス管電極)の内部で電気的に閉じた回路となっているため、高い安全性能を有するナノミスト化技術として提案できるともしている。

今回、ナノミスト生成の検証が行われた液体は、超純水、リン酸緩衝生理食塩水、ヒマシ油の3種類で、そのすべてでナノミスト化が可能であることが確かめられたとするほか、生成されたミスト粒子も大部分が皮膚のバリア機能を通過できるサイズとなっているという。また、今後は、同手法で作製された薬液ナノミストの経皮吸収特性を詳細に明らかにすることで、薬剤吸入、経皮吸収促進、高浸透化粧品などの技術開発の研究に貢献していくとしている。

波留久泉

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