David Milliken William Schomberg
[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は21日、英国のインフレ率が高止まりするリスクはあるが、中銀目標である2%に戻る兆しもあると述べた。
財務省特別委員会(TSC)で、高水準だった英国のインフレ率が最近低下しているが、これは物価上昇との戦いに勝利したことを意味するものではないと改めて表明。「委員会の全員が同じ意見だと思うが、リスクは上向きだ」とし、英国内の労働者不足が今後の物価上昇に対するリスクになるほか、パレスチナ自治区ガザでの戦争もインフレ圧力を強める可能性があると警告した。
一方で、ベイリー氏は英中銀の政策金利に対するスタンスを変更する必要はないと言明。「個人的な見解では、2%回帰という目標に達する兆しが見えている」とした。
市場では現在、英中銀が2024年6月までに利下げを開始すると見込んでいる。
ベイリー氏は、市場は総合インフレ率の低下を示す最近のデータを「重視しすぎている」とし、インフレ率を2%に完全に戻すのは緩やかなプロセスになるとした。
また、ラムスデン副総裁はTSCで「われわれは市場の期待から距離を置くことを明確にしている」と述べた。
ベイリー氏は、23年末のインフレ率は英中銀の予想をやや下回るだろうが、それほど大きな差はないと言及。今政策金利を引き上げてインフレ率を目標値により迅速に戻そうとすれば、インフレ率を目標値より押し下げることになるとした。
ラムスデン氏は、家計と企業を対象とした調査では、インフレ期待に警告のサインは出ていないと述べた。
ただ、キャサリン・マン政策委員は、インフレリスクを確実に抑えるために政策金利を引き上げることに賛成だと主張。「2%目標へのコミットメントを強固にするためには、今以上の引き締めが重要だ」と語った。