西島秀俊、怪獣は善悪ではかれない『シン・ウルトラマン』で実感した特撮愛

西島秀俊、怪獣は善悪ではかれない『シン・ウルトラマン』で実感した特撮愛

  • シネマトゥデイ
  • 更新日:2022/05/14
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『シン・ウルトラマン』西島秀俊が演じる田村君男 - (C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会(C)円谷プロ

俳優デビューから30年を迎えた西島秀俊が、日本が世界に誇る特撮文化の代表ともいえる「ウルトラマン」を題材にした映画『シン・ウルトラマン』に出演。3月に行われた第94回米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した主演映画『ドライブ・マイ・カー』の凱旋会見では、式の前日に名匠ジョン・カサヴェテス監督の墓を訪れたことを嬉しそうに話すなど、筋金入りの映画好きでもある西島は、『シン・ウルトラマン』の現場で、どんな思いを心に宿したのか。熱い胸の内を語った。

特撮を支えてきた志を実感

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人類が対峙する巨大不明生物・禍威獣(カイジュウ)たち(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会(C)円谷プロ

1966年に放送がスタートし、国内外で人気を博した特撮ヒーロー番組「ウルトラマン」を、企画・脚本に庵野秀明、監督に樋口真嗣を迎えて映画化した『シン・ウルトラマン』。ウルトラマンのデザインを手掛けた成田亨氏の目指した本来のウルトラマンの姿を描くというデザインコンセプトが掲げられ、その原点と現代をつなぐ物語が展開する。

「僕たちが子供のころに観ていた『ウルトラマン』を作っていた皆さんの志が、いかに高かったかということを実感しました」という西島は、「それが50年という歳月を経ても、しっかりと今に受け継がれていることは『シン・ウルトラマン』を観ても感じられると思います」としみじみ語る。

もう一つ、西島が強く実感したのが、人類とウルトラマンが対峙する敵への思い。「ウルトラマン」シリーズで言えば、怪獣(『シン・ウルトラマン』では禍威獣(カイジュウ)表記)という存在の描き方だ。

西島は「やっぱり、怪獣がかわいいですよね」とほほ笑むと「いまでは日本だけではないかもしれませんが、特撮に共通して感じられるのが敵の描き方。大人になってから『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』を観直しても、こんな場面があったら怪獣に感情移入してしまうな……と思えるようなカットがある。怪獣を倒すだけではなく、時には助けて宇宙に帰したりと、絶対的な善悪では、はかれないものがあるというのが、なんとも言えない魅力ですよね」と語った。

こうした様式的なモチーフの上に、一流のクリエイターたちが「こうしたい」と願う画にこだわりを見せる現場は、西島にとって特別な時間だったという。「超一流の方々が、本当にいろいろなところから、それぞれが思うカットを目指してカメラを向けている。何なら樋口監督もiPhoneを持って構えていたりするんです。スタッフ、キャストが一丸となって、イメージを共有して作り上げていくという現場は、これまで経験したことのないことだらけで、とても楽しかったし、幸せな時間でした」。

特撮作品に携わる喜び

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個性的なメンバーをまとめる役割を務める田村君男(C)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会(C)円谷プロ

西島が扮するのは、謎の巨大不明生物・禍威獣(カイジュウ)に対するために設置された「禍威獣特設対策室(禍特対)」の班長・田村君男。スペシャリストたちが集まる集団をまとめる人物だ。

「禍威獣との遭遇を含めて、毎回『なんだこれは!』ということが起こるので、非常に切羽詰まった状況なのですが、どこか田村は飄々としているというか、その意味でちょっと面白い人でもあります」と詳細をふせつつ、役柄について説明する西島。田村以外にも、斎藤工演じる作戦立案担当官・神永新二、長澤まさみ扮する分析官・浅見弘子ら個性的なメンバーたちが禍特対には集まっているが「それぞれの人物が持っている面が、ウルトラマンと対峙することで、より鮮明に浮かび上がってくると思います」と語っていた。

俳優人生は30年を数えるが、奇しくもこの時期に『シン・ウルトラマン』、そして配信ドラマ「仮面ライダーBLACK SUN」と、日本の二大特撮作品に立て続けに出演することになった。

「俳優を始めたころは、食べていけるとは思っていなかったぐらいなので、まさか自分が子供のころに好きだった作品に出られるなんて想像もできなかったです」と語る西島は「愛され続けてきたからこそ、ここまで長く続いているわけで、そんな歴史ある作品に携わることができたというのは大きな喜びですし、幸運だなと思います」と笑顔を見せる。

さらに「撮影してから2年半ぐらいが経ちましたが、それだけの時間をかけただけのものが結果として出るんですよね」と完成した作品に感嘆したと明かすと「リテイクを含め再撮することもありました。とにかく作品に愛情を持って臨んでいる人たちとの現場というのは、とても大変なのですが、自分が映画を愛する気持ちは、さらに強まった気がします」と語っていた。

今年で51歳を迎えた西島。テクノロジーの進歩によって、より多くの人に映画を撮るチャンスが広がったと現状の映像業界について触れると「今後もすごい才能はたくさん現れると思うので、僕自身もしっかりアンテナを張って、映画の最先端にも参加できるような俳優になっていきたいです」と未来に思いを馳せていた。(取材・文:磯部正和)

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