海外留学をサポートする元Jリーガー社長・中村亮さん「語学が学べ、大学の学位が習得できるのが利点。卒業生には楽天に就職した子も」

海外留学をサポートする元Jリーガー社長・中村亮さん「語学が学べ、大学の学位が習得できるのが利点。卒業生には楽天に就職した子も」

  • 高校サッカードットコム
  • 更新日:2023/01/25
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大学とのコネクションを築くためアメリカを縦横無尽に飛び回っていたという中村さん(写真提供=株式会社WithYou)

高校時代は選手権4強、大学時代は「デンソーカップ大学日韓定期戦」などで活躍、そしてFC東京入団。そんな華やかな経歴を誇る中村亮さん。現在はサッカー留学生のサポートをメインとする株式会社「WithYou」の代表取締役だ。

起業した当時はアメリカに送ったのは2人だけだったという留学生の数も、現在では100人を越えるまでになったという。急成長を遂げた理由や、中村さんがサポートする海外留学のメリット、そして今後の夢などについて話をうかがった。

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――起業後すぐは難しい現実があったと思いますが、まずどんな面が難しかったでしょうか?

やっぱりアメリカにコネクションが無かったことですね。「イケる!」と思いはしたものの、自分の持っているサッカーのコネクションとは縁遠い環境にきたわけなので、それを1つずつ構築していくのは大変でした。でも生活はしていかなければいけない。

じつはアメリカで一般の留学サポートをしていた友人と一緒に今の会社を起業したんですけれども、友人の持つノウハウを活かしながら一般的な留学のサポートをしつつ、休日には車や飛行機でサッカー部の監督に会いに行く生活を3年間くらいかけてやって。本当にアメリカを縦横無尽に走り回っていましたね。目的地の途中でも大学のような施設があると、アポ無しで行ってみたりして。

このコネクションの構築作業は大変ではあったんですけれども、じつはこれこそ自分が求めていたものだって気付いて。日本にいた時は結局「Jリーガー」という鎧を纏って小さくまとまっていたんですけれども、先ほどお話したようにアポ無しで大学に行ってみたり、「もう何でもアリ」というか。自分のメンタリティもいい時と同じような感覚で働けていて、呪縛から解放されたように動けるようになって。ちょっとハイになっていたというか、荒野を突っ走っている感じで、本当に楽しかったんです。

そうやって関係を構築していったんですけれども、本来ならオンラインで連絡を取ることなんて簡単じゃないですか。でもそこを敢えて直接突撃するというか、敢えてのオフラインというか。そこで「オレは日本でFC東京というプロのサッカークラブに所属していた人間だから覚えておいて!」って説明して。そうやっていろいろな人にインパクトを与えて覚えてもらっていったんです。

あとはやっぱり前例が無いので、日本でもなかなか信用してくれるところがなかったですね。「アメリカでサッカー?」みたいな感じです。そこでまずは自分の母校の滝川第二に行っていろいろと話をしたところ、時間をもらえるということになって説明会をやったんです。アメリカの大学ってさまざまな国から人が集まってきているんですけれども、サッカー部にも留学生が多いんです。そういうことを説明したら、そこでまず2人が「興味がある」って手を挙げてくれて。そこで彼らをサポートすることになったのがスタートで。

――実際に留学生をサポートしたら、大学側からはどんなリアクションがあったのでしょうか?

アイオワ州とアリゾナ州の大学に留学生を送ったんですけれども、どちらからも「スーパーだよ!」という反応が返ってきましたね。で、その監督から「来シーズンも留学生を送ってほしい」と言われて。

やっぱり日本人のテクニックには驚いたみたいでしたし、他にも日本人の人間性、規律を守るところも賞賛されて。学校の部活ということを考えた時に、模範となるようなことをしてくれると。準備だったり片付けだったり、日本では当たり前のことでも、アメリカではそうではなくて。でも日本の留学生はどんなに疲れていても、しっかりと後片付けをやるし、言われたことはしっかり守ると。

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先日のトライアウトではアメリカ留学を希望する選手が多数参加

ある監督に言われたことで印象に残っているのは「ブラジル人と日本人のどっちを採用するか迷っていたんだよ。俺がプロチームの監督なら間違いなくブラジル人を採用していたけど、でも俺が今いるのは学校の部活動。人間性や教育的な面などを考えて日本人を採用したよ」という言葉ですね。

アメリカの大学って、リーグが規定する評定平均をキープしていないと部活動が禁止されてしまうんです。どんなにサッカーが上手くても、しっかり勉強しない人間は、部としてはNGなんです。そういう面でも評価されたことはうれしかったですね。

それと、じつは「留学生を送ってくれ」と言われたのが、送り先のチームだけでなく対戦相手からだったこともありました。今まで対戦して負けたことがなかったチームに、「日本人留学生が入ってきてからやたらと強くなって、俺たち勝てなくなっちゃったよ。だからウチにも紹介してほしい」って。

そういうのがどんどん増えていって、僕たちが想像していたよりも早いスピードで需要が増えていますし、日本人に対する評価が上がってきています。もちろん留学生たちも「生活が楽しい」と言ってくれていて。僕らは彼らのサポートをしっかりしなければいけないですし、人員も増やして教育していくようにもなりました。

おかげさまで今ではJユースや高体連、三菱養和さんや東急Sレイエスさんといった街クラブなどから年間100名を越える留学生をサポートできるまでに急成長しました。

――最近ではアメリカの大学から、監督がはるばる日本に来てトライアウトの視察をするほど日本人留学生の評価が上がっていると聞きましたが?

そうなんです。ここ1~2年でさらに評価が上がってきているんです。以前は日本人を売り込んでも、テクニックのあるヨーロッパや南米、身体能力の高いアフリカの選手が取れなかった時の保険的な位置付けでしかなかったんですけれども、今のマーケットでは、彼らと並ぶような評価を得るようになってきました。

時事的なことを言うと、カタールW杯における日本代表の活躍はかなり影響していると思います。それに加えて、アメリカにいった人たちがすごく結果を出してきているので、トップレベルの実力を備える大学からも注目されるようになってきましたし、実際にそういう大学も日本人の獲得に積極的になっているんです。

僕らは数年前から「日本のサッカーを実際に見にきてほしい」ということで、トライアウトを実施しているんです。「留学に興味を持っている子たちが増えてきているから日本に来てくれ」と呼んでいたんですけれども、なかなか強豪校の監督は来てくれませんでした。来てくれていたのはそれほど強豪ではない大学の監督で、しかも費用はこちら持ち。ところが最近ではアメリカの大学の監督から「費用は自分たちが持つからぜひ行きたい」と。

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先日行われたトライアウトの模様。日本人選手のプレーをチェックするアメリカの大学の監督やコーチなどスタッフの眼差しも熱い

今年に至っては、日本の高校サッカー環境に驚いて選手権を見に行きたいという監督もいました。海外では日本のような高校サッカー文化って無くて、上手い子は強いクラブのユースにいる。でも僕らがサポートしている日本人選手には高体連出身も多いので、「高校の部活なのになんでこんなに上手い選手が多いんだ?」って不思議がっていて。そういう監督があまりにも多いので、視察団ができて、選手権の準決勝と決勝を観戦しました。

ちょうど関東でのトライアウトを1月7日に行なったので、タイミング的にもバッチリだったんです。ちなみにトライアウトは関西でも開催予定で、3月20日(月)に兵庫県の芦屋市内で行なう予定になっています。このトライアウトでアメリカの大学の監督に目に留まった子たちも含め、サポートしている日本人留学生の子たちが頑張って結果を出してくれているおかげで、日本人選手全体の評価がグーンと上がってきているんです。

――中村さんの事業が魅力的だなと感じたのは、スポーツ一辺倒の留学ではないところ。語学が学べて4年生大学の学位が習得できるという点は将来的にも大きなアドバンテージになりますよね?

そもそもサッカー留学というと、プロを目指すための留学が主流だったと思うんです。ところがプロへの道は険しいし、夢半ばで日本に戻ってきた時には日本の就職の波には乗り遅れているし、資格なども何も取れていないという厳しい現実が多いんです。

でも、アメリカの大学のいいところは、大卒の学位がしっかりと取れるというところ。しかも本人次第という点もありますが、仕事として使えるレベルの英語力を身に付けることができるのも大きいと思うんです。卒業生の中からは楽天に就職した子もいますし、サッカーをしながら大卒や英語力といった将来に向けた武器を手に入れることができるのが、大きなポイントだと思っています。

――中村さんの今後の目標、夢を教えていただけますでしょうか?

引き続きアメリカの大学への留学サポートはしっかり継続していきながら、さらに広い範囲で、例えば金融・投資に関する知識や栄養に関する知識、語学に関するマネジメントなどトータル的なコンサルティングもやっていきたいなと考えています。「サッカーを武器にして海外に出ていきたい」という日本人のためのポータルサイトを立ち上げて、サポート、マネジメント、アドバイスの機会を提供していくことが今後の目標です。「語学・海外・スポーツ」が我々のキーワード。これらを結びつけたコンテンツを今後増やしていきたいと思っています。ぜひ実現したいですね!

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