八村塁が成長したポイントを番記者が語る「チームの未来を担う選手」

八村塁が成長したポイントを番記者が語る「チームの未来を担う選手」

  • Sportiva
  • 更新日:2021/02/22

ワシントン・ウィザーズの八村塁にとって、NBAでの2年目は波乱のシーズンになっている。

これまで20戦にスタメン出場(現地時間2月20時点)し、平均29.6分で13.4得点(FG成功率45.2%、3P成功率28.8%、FT成功率79.3%)、5.5リバウンド、1.9アシストをマーク。結膜炎で開幕に間に合わず、リーグの安全衛生プロトコルで一時離脱を余儀なくされたものの、ここまでは昨季とほぼ同等の数字を残している。

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離脱者が大量発生し、シーズン中断を味わったチームは最初の15戦で12敗と"どん底"のスタートだったものの、2月20日まで4連勝と上昇気配。このようにアップダウンが激しかった八村の前半戦を、現地メディアはどう見ているのか。昨季途中に『ワシントン・ポスト』のウィザーズ番記者になった女性ライター、エバ・ウォーレス氏に意見を求めると、今季と今後への期待を次のように話した。

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NBA2年目で着実な成長を感じさせるウィザーズの八村

今季の塁は、結膜炎、リーグが定める安全衛生プロトコルで戦線を離脱する不運も経験しましたが、1月29日に復帰して以降のプレーを私は高く評価しています。

最もよくなった点を挙げるとすれば、やはりディフェンス面でしょう。スコット・ブルックスヘッドコーチ(HC)もその点について言及していましたが、塁本人は、「リーグ内の選手たちと対戦を重ねたことで、プレーの傾向などがわかってきたことが大きい」と話していました。まだコート上でやるべきことをすべて把握しているとは言えませんが、躊躇せずにプレーできるようになっていると思います。

ディフェンスでも圧倒されることなくプレーできるという自信が、大きな違いを生み出していますね。練習中もよく声を出すようになったという話からもそれを感じます。

安全衛生プロトコルでの離脱から復帰した際、塁がいいコンディションを保っていたことには驚かされました。試合間隔が18日間も空き、練習すらできなかった期間もあったにもかかわらず、しっかり準備ができた状態で戻り、現在も高いプレーレベルを維持していることは信じられません。

復帰直後のゲームはリズムがよくなかったですが、2月17日の試合まで6試合連続二桁得点と、最近は好調です。特に2月3日のマイアミ・ヒート戦ではいいプレーをして勝利に大きく貢献しました。ディフェンスでも、随所でビッグプレーを決めています。

1年目の故障離脱、その後のパンデミックによるシーズン中断、フロリダ州オーランドの"バブル"でのプレーなど、塁はこの2年間で本当にさまざまな経験をしてきました。そんな中でも安定した結果を出しているし、適切な方向に進んでいる。チームも勇気づけられているはずです。

さらに向上させなければいけない点があるとすれば、やはり3ポイントシュートでしょう。依然としてトップ・オブ・ザ・キー(フリースローサークルの半円上部の周辺)でボールを持った際、ノーマークでもシュートを打つのをためらう傾向が見られます。この点は懸念材料ですが、塁は「練習している最中だから」と繰り返し話しています。

大事なのは、シュートにも自信を持てるかどうか。オフシーズンも練習を積み重ねてきたはずですが、今季に向けたオフは期間が短く、サマーリーグも行なわれなかったため調整が難しかったはずです。ただ、塁はオフェンス面に関してはすべてのツールを備えています。まだ若いですし、練習熱心なので、より成長していくことは間違いありません。

今のところ、今季の塁の成績は昨季とほぼ同じくらいですね。今後、どうなっていくかはチームの方向性次第のところがあり、スタッツを予想するのは簡単ではありません。

ウィザーズのオフェンスは、開幕直後は好調でしたが、多くの選手が離脱したことで停滞しました。チームが序盤のような破壊力を取り戻せば、塁の平均得点も上がっていく。逆に不調の時のウィザーズは、チーム全体がエースのブラッドリー・ビールの個人技に頼りきってしまう傾向があるので、その点は解消される必要があるかもしれません。

塁にはシーズン終了までにもう少し成績を伸ばし、平均15得点、7リバウンドくらいを目指してほしいです。チームメイトがいいコンディションを保ち、ケミストリーが芽生えれば、そのくらいは十分に可能だと私は思っています。

私はウィザーズの番記者になる前にカレッジバスケットボールも担当し、ゴンザガ大時代の塁を取材していました。ゴンザガ大での最後のゲームはテキサス工科大との対戦で、塁は活躍したのですがチームは敗れてしまい、試合後はほとんど何も話してくれなかったことが記憶に残っています。

カレッジでの彼は、英語、アメリカでの生活、アメリカのバスケットボールなど、さまざまなことを急速に学んでいた印象があります。ゴンザガ大があるワシントン州スポケーンは本当に閑散としていて、何もない土地です。そんな場所で日本人選手が成長し、活躍しているというという背景も面白く、塁は極めて興味深い取材対象でした。

カレッジ時代の塁は本当にシャイで、大人しく、言葉を引き出すのが大変だったこともいい思い出です。当時と比べて、今ではしっかりと喋るようになりましたね。会見でもよく笑うし、ジョークも飛ばす。1年目と比べても、2年目はメディア対応時のやりとりがよりスムーズになり、コート外でも成長したなと感じています。

NBAで「スーパースター」と呼ばれるレベルの選手になれるかはわかりませんが、「とてもいいローテーション・プレイヤー」としての地位を確立していくんじゃないでしょうか。ウィザーズは塁に大きな期待をかけ、いきなりスタメンで起用し、責任を負わせています。昨年度のドラフト1巡指名選手であるデニ・アブディヤと共に、チームの未来を担う選手のように扱い、育てているのです。

今後、トレードの噂もあるビールの去就次第で状況は変わるかもしれません。しかし塁には、これまでと同じように"大きな投資"がなされていくと思います。塁の体の強さ、ウイングスパン、手の大きさといった生まれ持った素質に加え、チームが労力を注ぎ込むことで順調に成長していくはず。このまま経験を積んで自信をつければ、NBAで長くプレーする好選手になっていくでしょう。

杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

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