毎年流行する「インフルエンザウイルス」。ワクチンを打ってもかかるのはなぜ?/感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた

毎年流行する「インフルエンザウイルス」。ワクチンを打ってもかかるのはなぜ?/感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた

  • ダ・ヴィンチニュース(マンガ)
  • 更新日:2021/09/15

いま現在も世界中で猛威をふるっている感染症。そもそも「ウイルス」って何なの?外科医で漫画家のさーたりさんが、ウイルス学の第一人者である父・中山哲夫さんと夢のコラボ! 人類がたどった“感染症との闘い”がわかるコミックエッセイを大好評につき再掲載!感染症の中でもよく耳にするインフルエンザ。ワクチンはいつまでに打つのが効果的なの?※さーたり・中山哲夫著の書籍『感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた』から一部抜粋・編集しました。

この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

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インフルエンザ

高熱が突然出て咳がとまらない病気がはやることは古くヒポクラテスの時代から知られており、悪い水や空気(ミアズマ:瘴気)により発症すると考えられていました。天候や寒気、星の運行に影響される(インフルエンス)としてインフルエンザと名付けられました。インフルエンザウイルスは長径100~150 nm(1ミクロンの1000分の1)の粒子でその中に8本の遺伝子を持っています。A型インフルエンザウイルスはヒト以外に渡り鳥のカモや白鳥、アヒル、ガチョウのような水禽類、ニワトリのような家禽類といったトリ類、豚、馬と広く動物に感染します。今までパンデミックを起こしてきたウイルスH1N1(スペイン風邪)、H2N2(アジア風邪)、H3N2(香港風邪)はトリのウイルスがヒトに感染したものです。トリのウイルスが直接にヒトに感染したと考えるよりは中間動物としてブタの中で8本の遺伝子の組み換えが起こりヒトに感染しやすい新型インフルエンザとなってパンデミックを起こしてきたのではないかと考えられています。

2009年のパンデミックは新型ブタインフルエンザでした。ブタの社会ではヒトに感染している同じ型のインフルエンザウイルスが流行しています。ブタの呼吸器細胞にはヒト型、トリ型両方のウイルスが感染します。2009年のパンデミックウイルスはH1N1でヒト型、トリ型、ブタ型のウイルスのハイブリッドでした。それまで流行していたソ連型のH1N1を駆逐してヒトの社会に住み着いてしまいました。

新型インフルエンザの拡大から不安も拡大し、日本は外国のメーカーと契約し臨床試験が行われました。しかし、国産のワクチンも少し遅れて製造され臨床試験が行われ結局外国産のワクチンは使われることなく事なきを得ました。新型インフルエンザはどのようなウイルスが出現するか予想ができないですが、H5N1をプロトタイプとしてプレパンデミックワクチンが製造されています。2009年の時に新型インフルエンザウイルスが分離されてワクチン製造までは少なくとも6か月かかることがわかりました。ワクチンを製造できる国を増やしておくことや、インフルエンザワクチンを製造できる国は限られており発展途上国に供給するシステムを構築することが課題として残りました。このことは、今の新型コロナウイルスワクチン開発競争、企業倫理、大手製薬企業と先進国間での争奪戦が始まっており国際機関での調整が必要です。

インフルエンザは呼吸器感染でウイルス血症を起こすことはなく、粘膜免疫が感染免疫の舞台になります。しかし、現行のインフルエンザワクチンは注射製剤でウイルス血症を起こす感染症のようにワクチンが開発されており、その有効性には限界があります。注射することで血液中にIgG抗体を産生し下気道に染み出してきて肺炎を予防し重症化を抑制しますが、粘膜免疫の主役となるIgA抗体は産生されないことから感染を抑制することはできません。

<第6回に続く>

ダ・ヴィンチニュース

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