「ウマ娘」ファンの競馬ビギナーでも通になれる。2022年注目3歳馬を元競馬誌編集長が解説

「ウマ娘」ファンの競馬ビギナーでも通になれる。2022年注目3歳馬を元競馬誌編集長が解説

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2022/01/15

◆ウマ娘ファンの流入&ダビスタ世代の競馬復帰が競馬人気を押し上げた

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写真はイメージ

2021年のJRAの総売り上げは、前年比3.6%増の3兆0911億1202万5800円で、10年連続のプラスとなりました。コロナ禍による巣ごもり需要の恩恵もあるでしょうが、ウマ娘による新規ファンの流入が大きそうです。

それに加えて、ダビスタから競馬にハマった世代が、子育てを終えて競馬に戻ってきている印象もあります。いずれにせよ、最近競馬を始めた方や、復帰して感覚を取り戻そうとリハビリ中という方が多くなっているはず。そういった方たちのために、今回は競馬歴ウン年のベテランファン相手にも通ぶれる……2022年のクラシック展望をお届けしたいと思います。

◆2歳チャンピオンたちの評価はいかに

牡馬クラシックの中心はやはり2頭の2歳チャンピオン。3戦無敗で朝日杯フューチュリティSを制したドウデュースと、2分0秒6の好タイムでホープフルSを制したキラーアビリティです。

ドウデュースの馬名由来を調べると「する+テニス用語(勝利目前の意味)」とありますが、実際、JRA賞の最優秀2歳牡馬に選出され、クラシックは「勝利目前」といった状況です。ハーツクライ産駒で、距離延長への不安が少ないのが同馬の強み。好位から速い上がりを繰り出せる競馬センスに長けた馬で、クラシック戦線で中心的存在になるのは間違いないでしょう。

この馬の通ぶりポイントは「武豊騎手」。朝日杯フューチュリティSは武豊騎手との相性が悪いレースとして知られており、この馬での初制覇は、実に22回目の挑戦でした。これで武豊騎手が勝っていないG1はホープフルSをのみ(ちなみにホープフルSは2017年にG1に昇格)。まだ先の話ですが、年の瀬に「武豊騎手はホープフルSを勝てるかなあ」と呟けば、通ぶれること請け合いです。

また、同馬のオーナーであるキーファーズの松島代表は「武豊と凱旋門賞を勝つ」という夢を掲げていることで知られています。このままクラシックで活躍することがあれば、秋には「いざ、凱旋門賞へ」という話が出ているかもしれません。

◆ディープ最後の大物か。ホープフルS覇者キラーアビリティ

キラーアビリティはここまで4戦2勝。新馬戦、萩Sと2度の敗戦を喫しています。とはいえ、新馬戦はレース前に他の馬が放馬して大暴れしたレースで参考外、萩Sは道中でずっと折り合いを欠いていました。未勝利戦で記録した1分59秒5はレコードタイムで、ホープフルSの勝ち時計、2分0秒6はG1昇格後の最速記録。自分の力さえ出し切れれば、爆発的な走りをみせるスピードスターです。

筆者は、デビュー前に同馬を育成したノーザンファーム空港を取材していました。育成担当の木村厩舎長は「(キラーアビリティの)セールスポイントはとにかく脚が速いところ」とおっしゃっており、それを裏付ける競走成績となっています。

この馬の通ぶりポイントは「ポストディープ」。同馬はディープインパクト産駒なのですが、ディープインパクトは2019年に死亡しているため、フルシーズン種付けをこなしたのはこの世代が最後になります。

偉大な種牡馬は晩年に後継馬を残すという説があり、実際に、サンデーサイレンスも、最終から1つ前の世代でディープインパクトを送り出しました。キラーアビリティがクラシックを手にするということは、そのまま後継馬レースの最有力候補に浮上することを意味しています。

ディープ産駒なき競馬界の覇権を握るのは、しのぎを削ったハーツクライか、世界を制したロードカナロアか、それとも大物を次々と出しているエピファネイアか。まだ、その決着はついておらず、2022年のクラシックは「ポストディープ」を占ううえでも重要です。

◆2歳G1を使わずクラシックに備えたイクイノックス

この2頭を凌駕するかもしれない、底知れぬ魅力を秘めているのがイクイノックスです。同馬は新馬、東京スポーツ杯2歳Sを連勝中。暮れのG1を使わずに、クラシックに備えています。新馬戦は、後の2歳女王サークルオブライフや、未勝利、エリカ賞とレコードで連勝するサトノヘリオスらを相手に圧勝。

東京スポーツ杯2歳Sは、手応え十分に直線へ向くと、上がり32.9秒の脚を繰り出し、これまた0.4秒差の圧勝でした。上がり2位のアサヒが使った上がりタイムが33.5秒ですから、まさに異次元の切れ味です。東京スポーツ杯2歳Sといえば、直近10年でディープブリランテ、ワグネリアン、コントレイルと3頭がダービー馬に輝いた出世レース。この馬の将来も約束されたようなものでしょう。

この馬の通ぶりポイントは「キタサンブラック」。同馬の父キタサンブラックは、2015年から2017年の間にG1を7勝した歴史的名馬です。その実積もさることながら、実質上のオーナーが北島三郎さんであることでも知られており、G1勝利後に競馬場に響きわたる『まつり』は、平成の競馬史に残る名シーンの1つでした。

キタサンブラックは、この世代が初年度産駒。キタサンブラック自身が突然変異的な名馬だったせいもあってか、同馬の種牡馬としての能力を疑問視する声も一部にありましたが、そんな雑音を黙らせたのがイクイノックスの登場でした。この馬の活躍次第では、一気に「ポストディープ」の筆頭候補に躍り出る可能性も秘めています。

この3強に続くのが、朝日杯フューチュリティS敗退組。2着のセリフォスは既に重賞2勝を挙げており、3着のダノンスコーピオンは萩Sでキラーアビリティを破っています。荒削りな競馬で5着止まりだったジオクリフも巻き返しの余地はあるでしょう。

◆牝馬戦線で面白いナミュール

牝馬戦線は阪神ジュベナイルFを制したサークルオブライフが中心。新馬戦こそ3着でしたが、その後に3連勝を飾っています。折り合い面に不安がないので距離延長は問題なく、数多の一流牝馬を育てた国枝栄厩舎なので、調整面の心配もありません。

逆転があるとすれば、阪神ジュベナイルF4着のナミュールでしょうか。阪神ジュベナイルFでは1番人気を裏切る形になりましたが、17番枠から出遅れ⇒直線は馬場の悪い内を選択という「やってもうた」のオンパレードでした。

それで勝ち馬から0.2秒差なら負けて強しの内容で、まともに走れば能力の高さはヒケをとりません。ただ、この手のタイプは「まともに走れば」が難しいのも事実なのですが…。

◆年明けから急成長する馬も……

以上、現状の勢力図を、通ぶりポイントも交えてまとめてみました。とはいえ、これはあくまで2021年終了時点でのもの。クラシックを制す馬というのは、得てして年が明けてから急成長するといわれています。これから毎週のように注目の3歳戦が開催されますので、春のクラシックへ向けて、ぜひ、注目してみてください。

文/松縄隆史

【松縄隆史】

馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。編集を担当した『降格ローテ 激走の9割は“順当"である』(とうけいば 著)が発売中

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