害獣駆除へ、ハンターと農家マッチング 全国初の「バンク」始動

害獣駆除へ、ハンターと農家マッチング 全国初の「バンク」始動

  • 毎日新聞
  • 更新日:2021/11/25
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2020年夏に行われた実証実験で、箱わなを設置する参加者=小田急電鉄提供

わな猟の免許を持つハンターと鳥獣被害に悩む農家をマッチングする全国初のサービス「ハンターバンク」が神奈川県小田原市で始まった。ハンターに活動の場を提供しつつ、市内の害獣駆除を進める狙いがある。【本橋由紀】

コードネームは「OSO18」牛襲うヒグマ捕まらず

小田原市内ではイノシシがかんきつ類を食い荒らしたり、農地に穴を掘ったりする被害が目立つ。鳥獣による2020年度の被害総額2500万円のうち約6割がイノシシによるもので、残りはハクビシンやタヌキ、アナグマ。捕獲数としてはイノシシが590頭、ニホンジカは197頭に上る。

マッチング事業を手掛けるのは小田急電鉄(星野晃司社長)。シカやイノシシなどが線路上に入り込んで電車が止まったり、はねられたりする事案が絶たないことから、市と対策を協議してきた。市と同社は10日に「鳥獣被害対策に関する協定」を結んだ。

バンクにはハンターと鳥獣被害に悩む農家がそれぞれ登録し、ハンターは基本料金(保険代とシステム利用料)1人月額1500円と、グループで登録できる箱わな1台の月額プラン料金(2万~3万円)を支払う。マッチングが成立し、獲物が捕まると農家からハンターに連絡があり自家消費分のジビエを解体できる。

環境省の統計によると、銃猟を含む狩猟免許保有者は約20万人いるが、34%は実際に狩猟するために必要な自治体への登録をしていない「ペーパーハンター」で、活動の場がない。小田急と市が2020年に事業化に向けた実証実験をしたところ、東京都内などからハンター約50人の応募があり、16頭のイノシシを捕まえた。

わな猟免許保有者は年々増加しており、15年に銃猟免許保有者を上回り、17年には10万人を超えた。免許を持つ目的は「食べるため」「SDGs(持続可能な開発目標)解決」「アウトドア好き」「子どもの食育」の四つがあり、若い世代も増えている。

バンクは1年間で100台の箱わな設置を目指しており、小田急の担当者は「小田原で成功すれば全国にも広げたい」と話す。

えさ減らす対策学ぶ 大磯町

イノシシなどの農作物被害に悩む大磯町は、鳥獣対策をきっかけに住民の生きがいや地域づくりを進める島根県美郷町と「地域活性化に向けた包括的連携協定」を締結した。

大磯町の鳥獣被害総額は2020年度で338万円だが、9割がイノシシによるもので308万円に上る。対策は行政主体でわなの仕掛けから捕獲解体まで約500万円を業者への委託費に使っている。

「女性がやればずんずん進む 決定版! 獣害対策」(農山漁村文化協会)などの著書があり、美郷町の対策を進めてきた井上雅央さんを講師に招いた農家向けの講習会も被害対策の一環だ。講習会は15年から50回以上開いてきた。

対策は例えば、かんきつ類の枝が柵の外に出ないように剪定(せんてい)する▽廃棄する野菜は柵から距離を置いた柵の内側に置く▽収穫後の田んぼの稲の「ひこばえ」を取り除く――などがある。狩猟により頭数を減らすのではなく、えさとなるものを減らすことに注力するという視点だ。

美郷町では女性たちが家庭菜園を含む農地でこうした身近な対策に取り組んだ。捕獲したイノシシの皮を廃棄せずキーホルダーやペンケースなどクラフト作りの材料にして販売したり、自分たちでわな猟の免許を取得したりしたほか、「駆除隊」を組織して捕まえた獲物をジビエにするなどして地域の盛り上げにも一役買っているという。

協定は10日付。大磯町がこうしたノウハウを生かして町独自の対策につなげる一方、美郷町はジビエ産品の販路拡大などに役立てたり、両町のコラボ商品を充実させたりする効果を見込んでいる。

毎日新聞

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