「民放の真似して受信料もらって、NHKは恥ずかしい」森本毅郎(81)から“愛する古巣”への苦言《独占告白》

「民放の真似して受信料もらって、NHKは恥ずかしい」森本毅郎(81)から“愛する古巣”への苦言《独占告白》

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/05/02

「高齢者は“邪魔臭い存在”になった」森本毅郎(81)激白 31年の長寿番組「噂の!東京マガジン」地上波終了の真相から続く

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「『高齢の人はお引き取り願う』『硬派から軟派へ』という流れを感じますね。“若者シフト”という名の下に硬質のものは消えていく。それでテレビはいいのかな……。若返るのはいいんですけど、ある意味では『若い人をバカにしてないか?』と思うんです」

こう語るのは、2021年3月に地上派での放送を終えた「噂の!東京マガジン」(TBS系)で31年半に渡って総合司会を務めてきた森本毅郎(81)だ。日曜お昼に放映されてきた同番組は、地方の行政問題などの現場を取材する「噂の現場」、若者が料理に挑戦する「やって!TRY」といった名物企画を持つ長寿番組だったが、4月からBS-TBSへ移行することになった。

NHKの人気キャスターを振り出しに、テレビで育ち、現在も現役キャスターを務める森本が語ったのは、テレビ界の“迷走”だった。(全2回目の2回目/#1を読む)

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森本毅郎氏(事務所提供)

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「高齢の人はお引き取り願う」という流れ

――ここのところ、ベテラン司会者の番組の終了が続いています。「噂の!東京マガジン」が地上波から消えただけでなく、みのもんたさん(76)、小倉智昭さん(73)らの番組が終わりました。

森本 年配の人が一斉に辞めたのは、たまたま重なったとも思いますし、それぞれ番組の事情もあるでしょう。ただ、印象としては「高齢の人はお引き取り願う」「硬派から軟派へ」という流れを感じますね。例えば「噂の!東京マガジン」が地上波から消えて、そこに新しい情報番組を作ろうとはならないわけです。どんどん“若者シフト”という名の下に硬質のものは消えていく。それでテレビはいいのかな……。若返るのはいいんですけど、ある意味では「若い人をバカにしてないか?」と思うんです。若い人たちの中にも、もっと世の中を知りたい人もたくさんいますよ。ネットに移行していった人たちを振り向かせようとする工夫も見られないんです。

――中でも、森本さんは1963年、NHKにアナウンサーとして入局して以来、60年近くにわたってテレビ業界で活躍されています。NHK出身のフリーアナウンサーの先駆け的存在でもあります。1984年にNHKを退職したのには、どんなきっかけがあったのですか。

森本 もういにしえの話ですね(笑)。僕がNHKにいたことすら知らない世代が増えていますから。そもそも、僕はフリーになりたくて辞めたわけではありません。当時のNHKの大改革の中で「ニュースワイド」(現在の「おはよう日本」の時間帯に放映されていた報道番組)が始まり、そのキャスターを誰がやるかで散々揉めたんです。ところが自分の意思とは裏腹に、僕が初代のキャスターを担当することになってしまった。それで4年間担当して、後任に引き継いだら、今度は「報道局に異動して記者としてニューヨークかパリに行け」って言われたんです。

悲しいかな、僕はそれまで組織のことばかり考えて仕事してきたサラリーマンでした。でも、いつも同じアナウンサー集団の中にいても軋轢がある。「どうしてみんな組織として考えないんだろうな」と思うことが多々ありましたから。だからアナウンサーの組織に戻らずに記者として特派員に出たら「裏切り者のユダ」になると思って、僕は「イヤだ」って言った。そしたら転勤拒否とされて、抜き差しならない立場になってしまった。それで、「この際どうなるか分からないけど、別の世界に生きてもいいか」と思って辞めることにしたんです。

裏切り者とされちゃって、NHKは僕を使わない

――NHKを退職した直後にはTBSと電撃的な専属契約を交わして、朝のワイドショー番組「森本毅郎さわやかワイド」がスタートしました。

森本 おもしろいもので、僕がNHKと確執があるという情報をどこで仕入れたのかわかりませんが、TBSの人が来て「あんたNHKの中で揉めているんでしょう? うち来ませんか」って言うわけですよ。それじゃあ、お世話になりましょうかという話になった。

でも、僕はNHKにどっぷりの人間だったから、当時は僕がフリーになるなんて誰も思っていなかった。だからこそ本当に裏切り者とされちゃって、それ以来、NHKは僕を絶対に使わない(笑)。「石をもて追はるるごとくふるさと(を出でしかなしみ消ゆる時なし/石川啄木「一握の砂」)」ですよ。

――今もNHKからの絶縁は続いていますか?

森本 ほかの辞めたアナウンサーや記者は今もNHKに出演していますけど、僕はたった1回、BSの番組に出ただけ。そのBSのときも、過去の確執を知らないプロデューサーが僕に声をかけちゃって、断れなくなったんだと思いますよ。それっきりですから。BSに1回出て、局内で「まずいよ」ってなったのだと思う。

――もう雪解けしてもいいのではないですか?

森本 今さら需要もないでしょうけど(笑)。すくなくても、過去の経緯を知っていた人たちが生きていた時代は「あいつだけは受け入れない」と思っていたようです。当時の有名な報道局のお偉いさんは「NHKの人間が外に出て活躍するのはいいじゃないか」と言ってくれたそうですけど、僕のことを可愛がってくれた当時のアナウンス室長とは一切交流がなくなりました。可愛がってくれていただけに許しがたかったんでしょう。昔の仲間が集まって、ときどき食事会をしていましたが、その室長だけは元同僚が声を掛けてくれても来てくれません。悲しいですね。

民放の真似してお金もらっても……

――今のNHKの番組については、どう感じていますか?

森本 古巣だからあんまり悪くは言いたくないですが、今のNHKは何をやろうとしているのか、わからないことが多い。例えば、海外ドキュメンタリーにしても、リポーターに芸人さんや女優さんを使う。ディレクターが好きなんでしょうけど、うんざりしてしまう。昔はリポーターなど無しだって素晴らしいドキュメンタリーを沢山作っていたのに。NHKにも制作プロダクションが入り込んでいるから、言ってみれば民放のように、番組の枠を貸す“不動産屋”になっている。局の志が見えなくなってきています。

――最近は、NHKのゴールデンタイムの番組でも、民放と同じような芸人やタレントをよく見かけます。

森本 「そういう人を出さないと受信料を取れない」と考えているのかもしれないけど、民放の真似してお金もらっても恥ずかしいでしょう。それは民放に任せればいいじゃないですか。僕と一緒に働いていた時代のNHKの人は嘆いていると思います。NHK会長は国会の同意を得て総理大臣が任命した経営委員会によって選ばれますから、天下りが当たり前になっている。労働組合もなりを潜めているのか、出てこない。「放送はいかにあるべきか」なんて青臭い話し合いは、今や労使でやらないんでしょう。僕はNHKに20年も世話になった恩義もあるし、NHKに育てられたという思いもあるから批判してしまうけど……NHK愛があればこそです。それだけに寂しい。

「今年82歳。体が順調であるはずがない」

――1990年にスタートしたラジオ番組「森本毅郎 スタンバイ!」(TBSラジオ)も30年を超える長寿番組です。現在も毎朝帯番組のキャスターを務めていますが、どんなスケジュールで過ごされていますか?

森本 毎晩23時に布団に入って、朝4時半に起きだすんです。でも、夜中に2時間ごとにテレビでCNNやBBCをチェックします。目が覚めちゃうんですよ。それで、朝5時前にうちを出て、局に向かう。朝のラジオの仕事が終わるとうちへ直接帰ることもあれば、事務所で雑用をこなしたり、趣味の映画を見たりしています。

休日は、息子が「歳をとっても新しいことに挑戦しなきゃダメだ」と言って、蕎麦打ちセット買ってきたりしてね。いきなり蕎麦を打たされたこともあった。最近は包丁セットを買ってきて、息子が釣ってきた魚を捌いたり。ちょっとした楽しみを見つけながらの生活ですかね。

――2015年11月に腰の手術、2019年11月に体調不良でラジオの生放送を退席されました。体調は万全でしょうか。

森本 いやいや、そりゃね、僕も今年の秋で82歳になるわけですから。体が順調であるはずがない。金属のステントっていう器具を心臓に2本、足の太ももに2本、お腹の動脈にも入れている。どうも僕は血管系が弱いんですよ。だからもう、あちこち修復している。腰もヘルニアで施術して、それでも痛みが出ちゃうからまた手術してと、もう忙しい。

80歳を超えても、箱根カントリー倶楽部を歩いて18ホールを回りたいっていうのが僕の夢なんですよ。今の時代には珍しく、箱根カントリーは歩くのが基本なんです。だけど、僕はもうそこまで歩けないからカートで移動するんだけど、僕よりももっと年配の人たちがシャキシャキ歩きながらプレーしているんですよ。それ見ると羨ましくて。心臓は定期的に検査して安定しているんで、今年は腰の痛みを止める手術しました。

毎日「まだいけるかな?」って自問自答している

――番組も新たなスタートを切り、目標などはありますか?

森本 80歳過ぎて、まだ現役でいられること自体、有難いことです。でも人間って自分に甘くなるでしょ。だからいつもスタッフに「おかしいぞと思ったらすぐに言ってくれ」と伝えてあるんです。ちょっとでもそういう兆候あったら僕は辞めるからって。一種の私の危機管理です。

朝のラジオも30年やっていますけど、ニュースをどう取り上げて、どう切るかっていうのは一日一日の勝負。毎日「いけるかな?」「まだいけるかな?」って自問自答しながら勝負している。歳をとるってそういうことですね。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

「文春オンライン」特集班

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