はやぶさ2が持ち帰った試料はどう分配する? 12月下旬にも取り出しを開始へ

はやぶさ2が持ち帰った試料はどう分配する? 12月下旬にも取り出しを開始へ

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/11/20
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月16日、小惑星探査機「はやぶさ2」に関するオンライン記者説明会を開催し、カプセル回収後のキュレーション作業について、計画の概要を明らかにした。カプセル内の試料の取り出しは、12月下旬にも開始する予定。どのくらいの量が入っているのか、今から気になるところだ。

はやぶさ2の地球帰還がいよいよ目前に、カプセル分離/回収の準備状況は?

“超特急便”でウーメラから日本へ

はやぶさ2の再突入カプセルは、12月6日の2時~3時頃(日本時間)、オーストラリアのウーメラ砂漠に着地する予定。初号機のときのように捜索が順調に進めば、おそらく当日中には、カプセルの本体であるインスツルメントモジュールの回収が完了し、現地のQuick Look Facility(QLF)への輸送が行われることになるだろう。

QLFでは、まず、インスツルメントモジュールを分解し、試料の格納容器であるサンプルコンテナを取り出す。日本への輸送に向け、それを専用の密閉ボックスに梱包するのだが、ここで初号機と異なる点が1つある。それは、サンプルコンテナの中から、ガスを取り出すということだ。

はやぶさ2が探査したリュウグウは、水や有機物の存在が期待できるC型の小惑星だ。もし試料中に水や有機物が含まれていれば、揮発性のガスが発生している可能性がある。サンプルコンテナはメタルシールで気密性が保たれているものの、現地で一刻も早く回収するため、はやぶさ2のサンプルコンテナにはガスの採取孔が追加されている。

空路で羽田空港に到着してからは、陸路でJAXA相模原キャンパスまで輸送する。到着後、サンプルコンテナはキュレーション施設のクリーンルーム内に搬入。ここで密閉を保ったまま一部を分解し、クリーンチャンバーに接続する。ここまでが、探査機側のサンプラチームの仕事だ。

試料を扱う上で、大前提となるのが、地球の大気に晒さないこと。これは、大気中の酸素などにより、試料が変質してしまうためで、せっかく小惑星から持ち帰った貴重な試料を正確に分析できなくなってしまう。これを避けるために、専用のクリーンチャンバーが用意されているのだ。

試料が汚染されないよう、可能な限り、クリーンチャンバーに早く取り付け、安全に保管できるようにしたい。キュレーションチームの安部正真氏(JAXA宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 准教授)によれば、「カプセル回収後の100時間以内」にチャンバーに取り付けることを目指しているそうだ。

試料の量が多いと逆に大変なことも?

クリーンチャンバーに接続してからは、キュレーション作業が開始される。ここで言うキュレーションとは、試料のデータをカタログ化し、世界各国の研究者に分配できるよう準備することだ。

はやぶさ2の試料は、Hayabusa2 Sample Allocation Committee(HSAC)により、分配比率が最終決定される。比率は今のところ、重量により、(1)JAXAおよび国内分、(2)NASAおよび海外分、(3)国際公募分、(4)初期分析分がそれぞれ15%ずつの予定。そして残りの40%は、分析技術が向上した将来のために保管する分となっている。

研究者ごとに、必要な試料は異なる。試料ならどれでも良いわけではないため、事前に、どんな特性の試料があるのか調べて、情報を提供する必要がある。これがキュレーションの大きな役割だ。そのため、最初の半年間では、1次キュレーション作業として、各試料について、光学観察、重量測定、分光観察を行う。

キュレーション作業は、クリーンチャンバー内の5部屋で行う。それぞれに役割があるのだが、最初の2部屋は真空環境、その後の3部屋は窒素環境で作業できるようになっている。

これも、初号機から改良された点の1つだ。初号機のときは、もっと早い段階で窒素環境に移していたが、研究者から、「一部の試料を真空環境で取り扱って保管して欲しい」という要望があったのだという。

窒素環境であれば、試料が酸化することはない。それに手袋を使ってハンドリングできて便利なので使われているのだが、たとえ窒素とはいえ、試料に触れることで何かが変わる可能性も排除できない。そうした懸念から、できるだけ宇宙と同じ状態のままにしておくのだそうだ。

試料は、まず、より分ける前の状態(バルク試料)で観察してから、粒子ごとにピックアップ(個別試料)して調べ、カタログに記載していく。2021年6月までの半年で初期記載を終わらせ、その後に初期分析や詳細分析へと進む予定だ。

初号機のときはμmレベルの微粒子だったため、扱いが非常に大変だった。はやぶさ2のタッチダウンは正常に行われたので、今回はもっと大きなサイズの試料がたくさん入っているはずだが、逆に量が多すぎた場合、今度はキュレーション作業が遅れるという嬉しい悲鳴のような状況にもなりかねない。

安部氏は、「今回の量は初号機の100倍~1,000倍になるつもりでいるが、いくら多かったとしても、半年後から分析をスタートする予定は動かしたくない」とコメント。「いかに効率良く試料を拾い上げて、全体像を把握することができるか。そこが、はやぶさ2で難しいところで、クリーンチャンバーも効率を考え設計している」と説明した。
探査機の進路がいよいよウーメラへ

さて、はやぶさ2の現在の状況である。11月12日には、予定通り2回目の軌道制御「TCM-2」を実施。もともと、TCM-1の補正という位置づけのため、噴射量は多くないものの、この結果、最接近高度は約310kmから約290kmへと、さらに地球に近づいた。

そして次の「TCM-3」により、いよいよ探査機の進路がウーメラへと向けられることになる。今のところ、この実施日は11月26日の予定だ。

大塚実

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