
"東京都"
東京都は19日、土地取引の指標となる基準地価(7月1日時点)を公表した。都内全域の平均変動率は前年比3・6%プラスで、11年連続の上昇となった。上昇率はコロナ禍前の水準に回復。区部の商業地と住宅地の平均価格はコロナ禍前を超えた。都の担当者は、「コロナ禍で郊外需要が高まったが、今年は都心回帰の傾向が進んだ」としている。
都は都内1288地点を調査し、地価を毎年公表している。今年、前年比で上昇したのは1185地点。昨年の1041地点を上回った。下落地点は昨年の57地点から23地点に減少した。全体の上昇率は区部で4・6%(前年2・2%)、多摩地区で2・3%(同1・1%)だった。
都内全体で商業地は4・5%上昇。区部では5・1%、多摩地区では2・9%だった。自治体別で見ると、区部では北区が7・3%で上昇率が最も高かった。再開発に伴いマンション建設が相次いでいることなどが要因という。
これに続く台東区(7・0%)は、インバウンドを含む観光需要回復への期待感が反映された。区部で上昇率が高かった地点の上位4位が同区内の浅草周辺が占めた。
多摩地区で最も高かったのは国分寺市の6・2%。国分寺駅前の再開発で新しい商業施設ができ、人流が増加したことなどが要因とみられる。また、1階にコンビニなどの店舗が入るマンション建設が続き、需要が高まっている。
住宅地は3・0%の上昇で、区部で最も高かったのは豊島区の6・2%。多摩地区は国立市の4・4%だった。都の担当者は、「ポストコロナでテレワークも行いつつ、出社の要請も増えている。住環境が整いつつ、都心にアクセスが良い地点での需要が高まった」と説明する。
コロナ禍ではオフィスが集積する地点での下落もみられたが、今年はオフィス需要の回復により、大手町や丸の内、銀座などの地点で横ばいからわずかに上昇となった。都によると、出社の増加によりオフィス需要は高まる一方、麻布台ヒルズなど新たなオフィス供給もあり、大幅な上昇とはならなかったという。(本多由佳)