BTSジョングクのタトゥーにファンは賛否も...彫師の月収200万! 韓国タトゥー文化の変遷を紐解く

BTSジョングクのタトゥーにファンは賛否も...彫師の月収200万! 韓国タトゥー文化の変遷を紐解く

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2021/02/24
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昨年、米ビルボードチャート1位を獲得したことで世界中の注目を集めた韓国の7人組ボーイズグループ・BTS。彼らを熱烈に愛する巨大なファンダムが形成され、快進撃を続けているが、そんな中で現在ファンをざわつかせているのがメンバーの肌を彩るタトゥーである。ここでは、長きにわたり世界のタトゥー文化を眺めてきたライター/編集者の川崎美穂氏が「韓国タトゥーの過去と現在」について、3回にわたって解説する。

・第二回「安室奈美恵とBTS──アイドルたちの“通過儀礼”としてのタトゥーと韓国彫師たちの勃興」・第三回「BTSジョングクのタトゥーは「魂の発露」か──芸術性と法規制から考える韓国タトゥーの現在地

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新型コロナウイルスの猛威はエンタメ業界にも大打撃を与え、いまだ出口の見えない状況下にある。そんな逆境でもさまざまな記録を打ち立てた、韓国の男性7人組アーティストBTSの躍進ぶりに世界の注目が集まっている。

2020年8月に全世界同時リリースされた「Dynamite」がアメリカの音楽チャート『ビルボード』のシングルランキングHot100で堂々1位を獲得し、彼らは名実ともに揺るぎないグローバルスターの地位をつかんだ。

“英国が生んだ21世紀最大のポップグループ”と称された、あのワン・ダイレクションですら米ビルボードではシングルチャート1位の座を一度も獲得したことはない。

この成功について、世界最大のポップアイコンであるジャスティン・ビーバーは、彼らのアメリカでの活動の機が十分に熟していたことに加え、米ビルボード・チャートではセールスやストリーミングだけではなく、ラジオのオンエア回数がランキングを大きく左右すること。今作「Dynamite」は全編英語で歌われていることが有利に働いたのだろうと、エンタメ情報サイト『E! News』に解説を寄せた。大物アーティストでもシングルチャートのトップはハードルが高いのだから、ましてや非英語圏のアーティストが頂点に立つことは至難の業だといわれていた。

だがジャスティン・ビーバーは、彼らにとって韓国語は芸術表現の一部であることを多くの人が理解している今、彼らは自分たちのスタイルを変えることなくファンにリーチすることができる。これはK-POPが本格的にアメリカ市場へと進出する幕開けを意味しているだろう、とも述べていた。

その予言はすぐさま現実となる。11月に発売された最新アルバム「BE」とリード曲「Life Goes On」が、主に韓国語で歌われた楽曲ながらアルバムとシングルの両チャートで同時首位になったのだ。米ビルボードチャート62年の歴史上初、韓国語の曲が全米ナンバーワンに輝いた歴史的瞬間であった。

ほかにもYouTubeの再生回数がギネス記録を更新、国連総会での2度目のスピーチ、グラミー賞のノミネート、TIME誌のカバーを飾るなど、世界的旋風を巻き起こす彼らのニュースを目にしない日はない。

もちろんこれら記録は長年にわたるBTSの努力の積み重ねであることに間違いはないが、彼らを応援し続けてきた「ARMY(アーミー)」と呼ばれるファンたちの愛と情熱の結晶だといっても過言ではない。

そんなアーミーたちの心を最近ざわつかせているのが、最年少メンバーであるジョングクのタトゥーである。1997年生まれのジョングクは「黄金マンネ(末っ子)」と呼ばれ、優しい笑顔が印象的な美貌と逞しい筋肉を持ち、才能豊かなパフォーマンスでカリスマ性を放っている。

デビュー当時高校生だった彼をずっと見守ってきたアーミーであれば、心中複雑なのも当然であろう。もっか本人の口からタトゥーについて語られてはいないため、ネット上ではタトゥーの意味を読み解こうと、さまざまな考察や臆測が飛び交い賑わいをみせている。生理的な好き嫌いや賛否はあれど、やっぱり目が離せない存在、それがタトゥーなのである。

ジョングクに限らず、韓国アーティストはタトゥーの保有率が高い傾向にある。古くは元東方神起のユチョンとジェジュン、BIGBANGのG-DRAGON、2PMの初代リーダーだったパク・ジェボム、近年ではウ・ウォンジェ、女性ではイ・ヒョリやヒョリンなど、韓国のタトゥーアイコンは数え上げたらきりがない。

ソウルでタトゥーマガジンを編集している筆者の友人は、若手芸能人の約10%程度にタトゥーがあるだろうと推測している。ではなぜ、韓国の芸能界ではタトゥーが流行しているのだろうか?

ここからは、韓国におけるタトゥー事情を掘り下げて説明したい。

韓国でもタトゥーに対するイメージは、世代によって大きく異なる。価値観の違いによるジェネレーションギャップはどこの国でも似たような感じだが、韓国の場合は日本とまったく同じく「イレズミ=ヤクザ・チンピラ」というイメージが根強い国であった。いまでも50代以上の人はタトゥーについて極めて否定的である。

一方、若者層にとってのタトゥーとは、自分を表現するものという認識が強い。特に2010年あたりからは、インスタグラムの人気に伴いタトゥーは日常に浸透し、行動や意識の在り方を左右するイデオロギーまでも急変させた。

この10年間における変革は、人間性を抑圧してきた束縛から人々の精神が解放され、優れた芸術が生まれた中世になぞらえて「韓国タトゥー文化のルネサンス」と表現されている。

韓国のタトゥーアーティスト数は、2013年で約3万人、2021年現在では約7万人いるといわれている。なかでも女性アーティストの増加は目覚ましい。

よりわかりやすく日本と比較してみると、韓国の国土は日本の約4分の1、総人口は5000万人強と日本の約半数である。日本のタトゥーアーティスト数は、総人口1億2000万人のうち約3000人ほどと推測されている。この数字だけでも、いかに韓国のタトゥー需要が急増しているかをイメージしていただけるだろう。

ソウルのタトゥースタジオで働く30代半ばの男性彫師に月収を聞いたところ、200万円くらいだと答えた。仕事は真面目で性格はいたって謙虚な彼は、見た目は年相応に爽やかな好青年で、韓国で人気のBMWに乗っている。購入価格は1800万円だったという。格差の広がる韓国社会において、実力で生き抜いているタトゥーアーティストは、いまや憧れの職業なのである。

次回は、韓国文化がグローバル化していく過程で、急激にパラダイムシフトを巻き起こしたタトゥーカルチャーを振り返っていきたい。

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