「手数料だけで元本割れ」のリスクが...高金利の「外貨預金」を賢く運用するための知識

「手数料だけで元本割れ」のリスクが...高金利の「外貨預金」を賢く運用するための知識

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/09/15
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日本人に最も人気の資産形成手段と言えば「預金」ですが、超低金利の今、日本円で預金してもお金はほとんど増えません。金利面だけで考えれば、手持ち通貨を預金金利が高い国々の通貨に換えて預けるほうがお得です。とはいえ外貨預金ならではのリスクも…。外貨預金を検討するなら押さえておくべき知識を見ていきましょう。※本連載は、大村博氏の著書『Q&Aでサクサクわかる金融の世界』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「円高による損失」と「通貨の交換手数料」に留意

Q1.「外貨預金とは、外国通貨建ての預金です。どのような種類の預金があり、どのような金利が付くのでしょうか?」

⇒A. 外貨預金には、普通預金と定期預金の2種類あります。金利は、当該通貨の東京ドルコール市場やユーロ市場などの市場金利を参考に決められます。

<解説1>外貨預金の特徴

外貨預金とは、文字通り、米ドル(USD)やユーロ(EUR)、英ポンド(GBP)、スイスフラン(CHF)、オーストラリアドル(AUD)などの外国通貨で預け入れる預金のことで、外貨普通預金、外貨定期預金の2種類があります。仕組みは国内円の場合と同じですが、外貨で出し入れするという点が異なります。いつでも引き出せる外貨普通預金と、外貨普通預金より通常金利が高く、一定期間預け入れる外貨定期預金があり、目的に応じて使い分けることができます。

外貨預金の金利は、各国の金利水準が反映されます。つまり、金利の高い国の外貨預金をすることによって、多くの利益を得ることができます。また、預入時よりも円安の為替相場で外貨を円に替えれば、為替差益を得ることもできます。しかし、逆に円高になれば為替差損を被り、最悪の場合、元本割れになる恐れがあります。もう1つ、円を外貨に交換したり、外貨を円に交換する際には必ず為替手数料が掛かるので、それだけで元本割れになる可能性もあります。

以上から、外貨預金を運用する際には、外貨安・円高による為替差損があること、外貨を交換する際には、必ず為替手数料が掛かることの2点に留意する必要があります。もう一つ、上記の為替変動リスクと元本割れリスクがあるため、預金保険の対象になっていないことにも留意する必要があります。

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[図表1]外貨預金の概要

<解説2>外貨預金の種類

(1)外貨普通預金

出し入れ自由で、利息が付きますが、現在は日米欧などの超低金利政策により、一部の通貨を除いてほとんど無利息の状態です。それでも外貨での運用または外貨での決済手段として、多くの企業や個人が利用しています。主な取扱通貨には、米ドル、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、オーストラリアドルなどがあり、適用金利は各通貨の市場金利を参考に決定されます。

(2)外貨定期預金

預入期間を定めて、その期間中の払出しを認めない預金です。預入期間は、たとえば3ヵ月、6ヵ月、1年、●月●日~XX月XX日など、自由に設定できます。取扱通貨は外貨普通預金と同じですが、それ以外の通貨でも金融機関の判断で取り扱うことは可能です。金利は、東京ドルコール市場やユーロ市場などの金利を参考に決定され、各金融機関とも独自の金利を適用しています。

「元本割れ」を回避するための注意点

Q2.「外貨預金での運用で、留意しなければならないのは、為替相場の変動と為替手数料による元本割れリスクです。具体的に、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?」

⇒A. 外貨購入時の相場より外貨安・円高になれば、為替差損が発生します。また、為替相場の変動がなくても、預入時と引出時の為替手数料がかかるため、受取外貨の円貨換算額が作成時の払込み円貨額を下回ることになります。

<解説1>外貨預金のリスク

外貨預金が国内円預金と本質的に異なる点は、為替相場の変動リスクを伴う点です。外貨に交換した時よりも円高の水準で円に戻せば、為替差損が発生します。一定期間、外貨預金に預け入れ、再び円に戻すということは、銀行から外貨を買って、一定期間後に、その外貨を再び銀行に売ることを意味します。この外貨購入時の相場より、売却時の相場が外貨高(円安)ならば為替差益が発生しますが、逆に外貨安(円高)であれば為替差損が発生するわけです。

また、外貨預金預入(作成)時の適用相場は電信売相場(TTS)、引出(支払)時の相場は電信買相場(TTB)のため、為替相場の変動が全くなくても、1通貨単位当り「TTS-TTB」の為替差損が発生します。

たとえば、米ドルであれば、1米ドル当たり1円を含んだ為替相場のTTS(預入時)、TTB(支払時)が適用されます。つまり、円を外貨に交換する、外貨を円に交換する際には、必ず為替手数料が掛かるので、為替相場に変動がなくても、往復(預入時と引出時)の為替手数料、米ドルでいえば1米ドル当たり2円掛かります(図表2)。このように外貨預金には、受取外貨の円貨換算額が当初外貨預金作成時の払込み円貨額を下回る(円ベースで元本割れとなる)リスクがあります。

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[図表2]1万米ドル(100万円)預け入れる場合 (公示仲値TTM=100円)

<解説2>預金金利等

外貨預金の金利は、各金融機関が自由に決定できますが、市場動向を無視して勝手に決めているわけではありません。当該預入通貨の金融市場、たとえば東京ドルコール市場やユーロ市場などにおける取引金利、すなわち市場金利を基準に決められています。

しかし、2008年9月のリーマンショックを契機に世界各国の金利は大幅に低下し、欧州中央銀行(ECB)や日銀(BOJ)はマイナス金利政策を取っています。

なお、外貨普通預金に預入期間の定めはありませんが、外貨定期預金には、原則、毎営業日金利を公示している1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年物があります。ほかにも満期日をある特定日に設定する、定期預金も作成可能です。

原則として、期日前解約はできませんが、金融機関がやむを得ないと認めて応じる場合は、預入日から期日前解約日までの適用利率が期日前解約日における当該通貨建ての外貨普通預金利率となります。

上記の通り、外貨預金には、為替相場の変動リスク及び元本割れリスクがあるので、預金保険の適用対象から除外されています。また、少額貯蓄非課税制度(いわゆる、マル優)の対象にもなりません。

大村 博

FXソリューションズ代表、外国為替コンサルタント

大村 博

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