4.4mmバランス対応で音楽体験が向上! AK新プレーヤー「KANN ALPHA」を聴く

4.4mmバランス対応で音楽体験が向上! AK新プレーヤー「KANN ALPHA」を聴く

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/10/16
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Astell&Kernからハイパワーなヘッドホンアンプを内蔵したハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「KANN ALPHA」が発売されます。「高出力・低ノイズ」をテーマに掲げるKANNシリーズの最新機種は、Astell&Kernのハイレゾプレーヤーとして初めて4.4mm 5極のバランス端子を搭載しました。2017年にデビューした初代「KANN」と比べながら実力を確かめてみます。

AK初、4.4mmバランス搭載の高出力プレーヤー「KANN ALPHA」

○初代KANNのサイズに最先端技術を詰め込んだ「KANN ALPHA」

KANNという名前はドイツ語の「koennen(できる)」という助動詞の1人称・3人称単数/現在形に由来しているそうです。ハイレゾ対応のポータブルオーディオプレーヤーとして、できることをたくさん増やしたいという開発者の思いが詰まったシリーズです。

2017年夏発売の初代KANNに続き、2019年夏にはAstell&Kernのハイレゾプレーヤーの中で最大サイズの「KANN CUBE」も登場。今回発売されるKANN ALPHAは初代モデルの後継機です。

KANN ALPHAのサイズ感は初代KANNに近く、外観はディテールをブラッシュアップしています。ユーザーインタフェースのデザインにはAstell&Kernが培ってきた最先端のノウハウもぎっしりと詰めこみました。

Astell&Kernのハイレゾプレーヤーはいずれも精密に加工された金属をボディのメイン素材に採用しています。KANN ALPHAは音質にも優れるアルミニウムを採用。端子が並ぶトップカバーは強度に優れるセラミック製で、さらに端子にはノイズへの耐性を上げるためにゴールドPVDコーティング処理をかけたメタルリングを配置しています。

初代KANNは本体の右側面に横回転する縦長のボリュームホイールを搭載していましたが、KANN ALPHAはボリュームホイールのデザインをオーソドックスな円形に変えています。スイスの腕時計メーカーが使う技術にならい、竜頭(りゅうず)のように正確で安定した回転操作にこだわったそうです。

本体シャーシは背面に向かって斜めにカットした台形型。重さは約316gで、初代KANNに比べると約38g重くなっていますが、本体のホールド感が良いため、ポータブルオーディオプレーヤーとして片手で持ちながら心地よく操作できます。

初代KANNのフロント側の物理ボタンはKANN ALPHAでは省略され、ディスプレイは4.1型になっています(KANNは4型)。解像度がアップしたHD対応(720×1,280ドット)のディスプレイは、タッチ操作のレスポンスも向上(KANNは480×800ドット)。スマホのサクサクとした操作感に近づいています。

○4.4mmバランス接続に対応。高音質化にも期待

KANN ALPHAはバランス接続に対応するハイレゾプレーヤーです。同じバランス対応のヘッドホン/イヤホンを組み合わせると、一般的なアンバランス接続よりもいい音が楽しめます。

バランス接続の大きなメリットは主に2点あります。通常バランス接続の場合は左右チャンネルに2基ずつ、合計4基のアンプを配置して使うことから、アンプを2基使うアンバランス方式よりもさらに余裕のある出力が得られ、ヘッドホンやイヤホンのドライバーを力強く駆動できます。

左右のオーディオ信号間に電流が干渉することによって発生するクロストークノイズも避けやすくなります。バランス接続はステレオイメージの向上、つまり音楽の立体感を引き出すためにも有利です。

バランス対応の製品を接続するためにはコネクタの種類をそろえなければなりません。コネクタの種類が違うオーディオ機器をつなぐためには別途変換アダプターなどが必要です。

ポータブルオーディオのバランス接続用コネクタは、現在のところ4.4mm 5極と2.5mm 4極が最も広く普及しています。伝統的に2.5mmバランス接続を採用してきたAstell&Kernのハイレゾプレーヤーですが、KANN ALPHAでは初めて4.4mmバランス接続にも対応しました。トップカバーには3.5mmアンバランスのステレオミニを含めて3つの端子が並んでいます。

4.4mmバランス接続のメリットは、2.5mmのコネクタよりもプラグと端子の径が太く長いため、耐久性や音質の面で有利とされているところにあります。今から約5〜6年ほど前に誕生した新しいコネクタですが、2016年にJEITA(電子情報技術産業協会)によって規格化されてから、現在まで多くのメーカーに採用の輪が広がっています。

KANN ALPHAはバランス接続の選択肢をそろえるだけでなく、本体内部で各回路の信号が干渉しないようにマイクロリレースイッチを設けてノイズを徹底的に防ぐ構造としています。

本体サイズは約117×68×25mm(縦×横×厚さ)で初代KANNとほぼ同じですが、バランス出力時のパフォーマンスをシリーズ最大出力のKANN CUBEにそろえました。KANN ALPHAが内蔵する高出力アンプ回路は、プレーヤーに接続する機器に合わせてゲインがHigh/Mid/Lowの3段階(初代KANNはNormalとHighの2段階)から調節できます。

Highゲインを選択すると据え置きタイプのオーディオも軽快に鳴らせる高出力(バランス接続時12Vrms)が得られます。それだけでなく、KANN ALPHAに新設したMidゲインを選ぶと、バランス接続時には初代KANNでHighゲイン設定を選んだ場合とほぼ同じ、8Vrmsの高出力に達します。インピーダンスの設定値が高いヘッドホンの実力も十分に引き出せるでしょう。

○最新のDACチップを左右チャンネルに独立配置。電源も強化

Astell&Kernはいつも新製品の開発を始めるときに、当時最先端のオーディオ技術を貪欲に採用してきたブランドです。KANN ALPHAはESS Technologyの最新DACチップ「ES9068AS」を左右独立のデュアル構成で搭載。精緻でありながらパワフルなサウンドを引き出せるDACチップです。

DACフィルターによるサウンドカスタマイズも可能で、PCM 192kHz/24bitまでの音源であれば、3種類のフィルターから好きなものを選んで自分好みの音に作り込めます。

小型化された多数の部品を新設計の基板上に整然と配置することによって、本体をサイズアップせずに電源のパフォーマンスを強化しています。連続音楽再生は最長約14時間半まで対応するスタミナは圧巻です。

処理パフォーマンスの高いクアッドコアCPUを積んでいるので、メニュー操作のレスポンスはとても良好です。KANN ALPHAには最新世代のユーザーインタフェースが搭載されているため、スマホから本格的に音楽を聴くためのハイレゾプレーヤーにステップアップを検討している方にも良い選択肢になるでしょう。

○スマホ並みに豊かな拡張性

KANN ALPHAはシンプルに楽しめるハイレゾプレーヤーですが、スマホ的な拡張性に富んだ使い方もできます。

OSはAndroid 9をベースとしていますが、独自にインタフェースを作り込んでおり、Google Playストアからのアプリ追加には非対応です。その代わりに「Open APP Service」を活用することで、SpotifyやAmazon Music、Apple Musicといった音楽ストリーミングサービスのアプリがインストールできます。KANN ALPHAをWi-Fiに接続して、各サービスの楽曲をストリーミング再生したときの音質はケタ違いにハイレベルです。

Bluetoothのオーディオコーデックは、ハイレゾ相当の高品位なワイヤレス再生が楽しめるLDACとaptX HDをサポート。Bluetooth接続の安定感は以前よりも増しています。

プレーヤーの設定をUSB DACモードに切り換えてからPCに接続すると、CDからリッピングしてPCに保存している音源ファイルや、音楽配信サービスの楽曲が、KANN ALPHAが内蔵する高性能DACとバランス接続を通してさらにいい音で聴けます。
○新旧KANNを聴き比べ。音質はどこが変わった?

KANN ALPHAのサウンドはゼンハイザーのハイレゾ対応イヤホン「IE 800 S」をつないで聴きました。IE 800 Sは付属の変換ケーブルを使うと4.4mm/2.5mmバランス接続と、3.5mmアンバランス接続に切り換えて聴けるプレミアムイヤホンです。

KANN ALPHAは3.5mmアンバランス接続の音質も十分に素晴らしいのですが、2.5mmバランス接続に換えてみるとボーカルの輪郭線がより鮮明になり、音像が立体的に迫ってくるような手応えがあります。

アップテンポなロックやEDMの楽曲を聴くと、初代KANNよりもリズムの足場が一段と安定して躍動感に鋭さが加わったことがわかります。低音域の足場が固まったことで、中高域のサウンドにも自然な広がりが生まれ、あらゆる音楽の雰囲気を華やかに引き立てます。

4.4mmバランス接続に換えてみると音質はさらに一皮むけて良くなりました。2.5mmバランス接続で聴いた音に比べると、音の歪みや雑味が格段に少なく、透明な静寂が広がる様子まで感じられます。アコースティックギターによるコードのカッティングはきれいに粒が立ちます。大編成のオーケストラによる演奏を聴き比べてみると、2.5mmよりも4.4mmのバランス接続で聴くほうが楽器の音色が鮮やかになり、音のふくよかさや艶めきの違いが明確になります。低音もぎゅっとタイトに引き締まるようです。

ヘッドホンをゼンハイザーの「HD 820」に交換して、4.4mmバランス接続の音を再び確かめてみました。インピーダンスの値が300Ωと高めなヘッドホンですが、音の輪郭は繊細な描写を保ったまま、オーケストラの明るい金管楽器やボーカルの活き活きとしたエネルギー感が存分に楽しめます。KANN ALPHAは、ハイクラスのヘッドホンが備える実力も余すところなく引き出せるハイレゾプレーヤーであると言えます。

KANN ALPHAの価格は税込149,980円にもなりますが、あらゆるヘッドホン/イヤホンの実力を余すところなく引き出す高出力アンプ内蔵ハイレゾプレーヤーとして、ユーザーの期待に応える懐の深さを実感させてくれるでしょう。

山本敦

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