タバコと消臭芳香剤が混ざる先輩の香り。過ごした時間が忘れられない

タバコと消臭芳香剤が混ざる先輩の香り。過ごした時間が忘れられない

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/10/14
No image

タバコは嫌い。煙を吸うと咳が止まらなくなった時期があった。それは10代の頃。この世で最も私が縁を切りたいと思う相手が、タバコを吸っていた。子どもの時の私は、よく受動喫煙にあっていた。

しかし20代になり、タバコがある時、忘れられない存在になる。私にとって、先輩のタバコと消臭芳香剤の混ざった香りは忘れられない匂いだ。

「何が怖いの?」とラブホで聞かれた時、彼を選んだことを後悔した

「いい香り」。タバコと消臭芳香剤の混ざった、先輩の香り

タバコのあの独特なヤニ臭さは苦手だ。近くに喫煙している人がいると自然と離れてしまう。吸っている人が嫌いな訳ではない。タバコが嫌いなのだ。

でも、タバコと消臭芳香剤の混ざった何とも言えない香りは、特別苦手ではなかった。そう思えたのは、きっと先輩が放つ匂いだったからだ。きっとそう。

タバコと芳香剤、1対1程であろうか。はっきりとした数値はわからない。しかし、その香りが5年も忘れられない。あの時、吸ってるタバコの銘柄を聞いておけばよかったと後悔している。

先輩はバイト先の人だった。今はそのバイト先にお互い勤めていない。休憩時、必ず先輩はタバコを吸いに行った。そして帰ってくる前、必ず消臭芳香剤を吹きかけてくる。

先輩が通る度にその香りが漂う。タバコの嫌な臭いと消臭芳香剤のいい香りが混ざった、絶妙な香り。ヤニっぽいのにどこかフローラルちっくな感じ。香りがする度、先輩を見ていたような気がする。

「いい香り」。思わず先輩が休憩から帰ってきた時に言ってしまったことがある。なんとも恥ずかしくなるようなセリフだったが、サラッと言ってしまった。

「先輩、元気にしているかな?」5年ぶりに鼻が反応した

月日は経ち、1年ほど前、バイトの帰り道に鼻の記憶が反応した。近くを横切った女性からする懐かしい香り。私は覚えている。5年前先輩が吸っていたタバコと全く同じ香りだと。芳香剤の香りはしなかったが、タバコの香りだけで惹きつけられた。

思わず、その女性の背中を見つめてしまった。無論、5年前に私が会っていた先輩ではない。住んでいる地域が離れている。この場にいるはずないのに、どこか見てしまった。

「先輩、元気にしているかな?」思わず考える私。鼻が思わず覚えてしまっている懐かしい香り。横切った女性は先輩と同じ消臭芳香剤をつけていなかったので、全く同じ香りではなかったが、懐かしかった。

銘柄を聞いておけばよかった。そう思ったのは、今のバイト先の先輩がタバコを吸っているからだ。休憩終わりに、ミント系のガムとタバコの混ざった香りがすることがある。それで5年前を思い出した。

香りを忘れても、先輩と過ごした時間は忘れられない

私は、今のバイト先の先輩に吸っているタバコの銘柄を聞いた。箱を見せてくれたので、目に焼き付けた。先輩にプレゼントしたい訳ではない。しかし、5年前のことを思い出して思わずタバコの銘柄を聞いてしまった。5年前の先輩とは違う銘柄を吸っていた。その時の先輩と同じ香りはしない。

5年前、私が「いい香り」と思わず口に出した香りはどのような香りだったか。言葉で説明することは難しい。また同じタバコを吸っている人に出会ったら、思い出すことはできるだろうか。

日が経つに連れ、思い出せなくなってしまう気がする。何となく切ない気持ちはあるが、先輩と過ごした時間は忘れられない。香りを忘れても、思い出は残っていくのだ。

【厳選】断捨離中に見つけた、夫との交換日記。「家族をやめる」という私の初めての反抗。8月に読まれたエッセイ

マナマナ

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加