ワクチン以外にも解決方法はある...日本のコロナ対策がおかしくなった「最大の元凶」

ワクチン以外にも解決方法はある...日本のコロナ対策がおかしくなった「最大の元凶」

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/07/22
No image

国会で「抜本的なコロナ対策」を提起してきた

昨年1月に国内初の感染者が確認されてから、すでに1年半。「新型コロナ感染者が前日より何人増えた」というテレビと新聞の報道に辟易している国民は多いだろう。ワクチン頼みの政府は、感染者の増減に合わせて緊急事態宣言の発出と解除を繰り返すばかり。ワクチン以外の根本的な対策を打ち出せないでいる。

コロナ禍を解決する方法はワクチン以外にないように思われているが、それは本当だろうか。

No image

photo by istock

コロナと最前線で闘い続けてきた数少ない“町のお医者さん”つまり「かかりつけ医」からは、「コロナ禍を根本的に解決する方法はある」という声も聞こえてくる。

そうした開業医の1人の梅村聡医師に話を聞いた。梅村氏は大阪大学医学部を卒業し、現在、大阪市の「よどがわ内科クリニック」の理事長として、発熱外来やコロナワクチン接種の先頭に立って奮闘。その一方で梅村氏は、現職の参院議員(日本維新の会)として国会で「根本的なコロナ対策」を繰り返し提言してきたが、野党の悲しさ。多勢に無勢で提言は黙殺されてきた。

梅村氏は、「日本で一番コロナ患者を診察している開業医」とメディアで報じられている長尾和宏医師(「長尾クリニック」院長・尼崎市)の高校と医局(阪大病院)の後輩に当たる。2人は肝胆相照らす仲で、今春発売の医療専門誌「ロハス・メディカル」でも対談し、コロナの解決策を語り合った。

梅村氏の先輩の長尾氏は、9割以上の開業医が発熱患者の診察に携わらない中、当初から発熱外来や抗体検査、PCR検査、自宅療養者の訪問診療やオンライン診療などをフルコースで実施し、コロナ患者に寄り添ってきた。

長尾氏のところには、他の医療機関の診療を受けられずに苦しんでいるコロナ難民が殺到しているが、長尾氏は患者を見捨てず、診療を精力的に行って重症化を防いできた。長尾氏が重症化を防いでいることで、その分、コロナ病床への入院患者は減っており、結果的に、政府のコロナ対策に大きく貢献してきた。

それだけではない。長尾クリニックは日本で一番コロナ患者を診ているにもかかわらず、同クリニックの診療を受けているコロナ患者の死亡者はいまだにゼロ。また、感染対策を徹底していることから、約100人のスタッフは一人もコロナに感染したことがない。

以下に続くのは、梅村氏との一問一答だ。

どう考えてもおかしい「保健所縛り」

ーー政府のコロナ対策の最大の問題点は何か?

「政府が、新型コロナをエボラ出血熱やペスト(1類)に次ぐ危険な2類相当の指定感染症(現在は新型インフルエンザ等感染症)にしていることです。

指定感染症というのは、現代医学で対応できない病気を『隔離』という公衆衛生の力で封じ込める枠組みです。隔離を担うのは全国の保健所。保健所は隔離するのが仕事で治療はしない。

医療が発達していなくて、隔離しか手段がなかった明治時代の伝染病法(現在の感染症法)の考え方を、そのまま新型コロナ対策に使ったのが根本的な誤りです」

No image

医師で参議院議員の梅村聡氏/筆者撮影

ーー厚労省は今年2月3日の感染症法の一部改正により、新型コロナの法的位置づけは「指定感染症」から「新型インフルエンザ等感染症」に改正されたので、指定感染症ではないとの立場を取っているが。

「法律はそうですが、実際は政省令で、これまで通り指定感染症と同じ扱いをするよう指導しており、相変わらず保健所縛りが続いています」

ーー保健所の介在によって何がおかしくなったか。

「本来、病気の最前線に立つのは医療機関の8割を占める民間の診療所や小規模病院です。ところが指定感染症になったことで、診療所で感染が判明した患者は保健所に届け、その後は保健所がすべて取りしきる仕組みになっている。

最初の診察をしたかかりつけ医が保健所に『その後、患者はどうなりましたか。元気ですか』『どこかに入院できましたか』と聞いても一切、教えない。その上で保健所の職員は、医師免許を持たないにもかかわらず、ホテルや自宅にいる療養者に『熱はどうですか』などと聞くだけに留まらず、『その薬は飲まないように』などと医療的な対応まで指示しているのです」

保健所がすべて対応するのは無理

「入院させるときも、本来なら実際に診察したかかりつけ医と入院先の病院の医師同士が、直接連絡を取り合った方が時間もかからずスムーズに運ぶのに、保健所が間に挟まることにより、逆に入院に時間がかかってしまう。

時間がかかり過ぎたため、いざ入院となったときには相当重症化が進んでいたり、逆にコロナが治っていたということも珍しくありません」

No image

photo by istock

ーー保健所は職員が少ないのに仕事も多い。コロナ患者をさばけず「目詰まり」を起こすのは目に見えていた。

「保健所は医療面では、医療施設の開設許可や、管理医師の把握くらいしかしていない。このため医療機関の実態がわかっていない。保健所の仕事の中心は公衆衛生、つまり疫病の蔓延防止のための患者の隔離。

そのほかにも風営法でのバーやラウンジの管理、鼠の駆除、クリーニング屋さんとか美容師・理容師さんの管理など、保健所の仕事は多岐に渡っていて超多忙です。

したがってパンデミックが起きたときに、保健所が前面に立って医療まで全部仕切るのは到底無理なことです。コロナを感染症法上の指定感染症(新型インフルエンザ等感染症)とし、保健所縛りにしているのは誤りです」

ーーそもそも保健所の仕事は隔離すること。治療や介護をするのは保健所の仕事ではない。

「医師たちも、高齢者施設のスタッフも、自分たちを管理する側の保健所長がだれかすら知らない。私の診療所は大阪市の保健所の管轄ですが、私は大阪市の保健所長がだれかを知らない。

保健所にどんな職員や職種の人がいるかもわからない。逆に保健所も医療者側の実態を知らない。そんな中で、医療の提供者ではない、管理側の保健所がコロナ対策を指揮した」

入院できずに放置される患者が大勢いる

「これは野球にたとえれば、アンパイアがいきなりマウンドに上がってきたのと同じこと。ピッチャー(医療側)が打ち込まれている、ピンチだからと選手でもないアンパイア(保健所)が突然マウンドに上がった。選手はびっくりする。

『あんたらはキャンプにも参加してないし、トレーニングもしてない。それでも、いきなり登場して投げるのか。それなら選手は、しばらく外野の芝生の外に出て、様子を見ようか』―こうしたことが全国で起こった。結果は、医療も介護も機能不全に陥り、コロナ患者と国民が被害を受けることになった」

ーーアンパイアが選手になって、うまく行くはずがない。

「どこそこの施設でコロナ患者が出たというときに、どこの病院の、どの医師に頼めばいいのか保健所にはわからない。保健所を外すか、役割を替えなければいけないと思う。

いまのアンパイアのまま、切符のもぎりやグランド整備、マウンドにも立つというのは無理。それなのにいまの法律の下では開業医は保健所に届け出て、それで終わり。保健所は隔離するのが仕事で、忙しいからと、隔離した後は放置することも珍しくない。

自宅待機を指示されたものの、その後、何日たっても保健所から電話一本かかってこず、入院もできずに放置される人が大勢います。一番多いときには大阪だけでも1万人以上の自宅待機者がいて、患者さんの怨嗟の声が全国で渦巻いています」

医療現場を知る国会議員として、批判を覚悟で国会で「2類相当外し」を提言してきた梅村氏。今後、日本が本当の「アフターコロナ」を迎えるためにはどのような体制整備が必要なのか、後編〈菅政権の重大な「誤り」…日本のコロナ対策を遅らせている「保健所縛り」〉でお伝えする。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加