知床観光船、ずさんな安全管理 教訓生かさず、国交省文書で指摘

知床観光船、ずさんな安全管理 教訓生かさず、国交省文書で指摘

  • 毎日新聞
  • 更新日:2022/05/14
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羅臼沖で捜索を続ける海上保安庁の巡視船。奥は国後島=北海道羅臼町で2022年5月10日、貝塚太一撮影

北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故を巡り、運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)の運営実態の問題が次々と浮上する中、国土交通省は13日、過去に事故を起こした際の指導文書などを公開した。同社は定点連絡を日常的に怠るなど安全管理の不備が指摘されているが、文書からはこうした問題点が以前から指摘されていたことが明らかになった。指導が生かされず、改善の約束がおざなりにされている形で、国交省は「監査のやり方などを反省し、見直す部分が出てきた」としている。

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カズワンは2021年5月15日と6月11日、見張りが不十分で浮遊物に衝突したり座礁したりする事故を起こしていた。その後、国交省北海道運輸局は特別監査を実施し、改善を指導していた。

13日に公開された21年7月20日付の文書で北海道運輸局は、5月の事故の際に船上の本来許されない場所に椅子を置く改造をし、そこに座っていた乗客を負傷させていたことを問題視。事後の対応についても「関係官署に速やかに報告されなかったことは極めて遺憾」とし、知床遊覧船の対応を批判した。その上で、法令に抵触する改造などは行わない▽安全管理規定の周知徹底▽運航管理者への定時連絡の確実な実施▽安全統括管理者(運航管理者)は事故発生に際しては確実に報告を受け、必要な措置を講じられるよう体制を確立する――など、同社に是正を求めた。

これに対し、同社は桂田精一社長名で報告書を提出し、従業員が集まって「全体会議」を開いて安全確保を話し合ったと説明。「全社員、安全管理規定の理解が不十分だった」「定期的に勉強会を開くなどして安全管理体制の構築を図っていくことを確認した」と報告した。定時連絡についても「船舶衛星電話などで連絡することを確認した」とし、運航管理者の社長が不在でも補助者を配置して海上の船長と連絡体制を構築することを約束した。

しかし、今回の沈没事故では、運航管理者の桂田社長は外出し、代行するはずの補助者も安全管理規定上で明確になっていなかった。事務所と船上をつなぐ通信設備としての携帯電話も不安定だったうえ、安全管理規定で決められた定点連絡を日常的に怠っていた疑いも浮上している。

一連の経緯については、有識者による対策検討委でも「行政によるチェックの実態も解明すべきだ」などの意見が出ている。【木下翔太郎、国本愛】

毎日新聞

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