年間270泊する私が選んだ「本当によかったホテルの料理」10選

年間270泊する私が選んだ「本当によかったホテルの料理」10選

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/05/03

3度目の緊急事態宣言が発令された。今回は飲食への対策強化がさけばれている。感染拡大を抑えるためには必要なことだろう。だがしかし、美味しいものを食べたいという思いは、コロナと関係なく、人間の普遍的衝動である。そこで、こんな時だからこそ写真でおいしい料理を楽しんでもらいたい。

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今回は、ホテル評論家である私が、仕事としてホテルグルメに向き合ってきた中で、心打たれた料理を、宿の写真と共に紹介する。

※本記事の取材は、まん延防止等重点措置及び緊急事態宣言発出前のものであり、営業内容には変更の可能性があります。実際の利用に際しては宣言解除後に最新の状況を確認してください。

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LOQUAT西伊豆(静岡県伊豆市)

「タケル クインディチ」の「鰆のオーブン焼き」
https://loquat-nishiizu.jp/

300年の歴史を持つ屋敷をフルリノベーション。イタリアンダイニング、ジェラートショップとベーカリー、宿が一体となった施設。1日2組限定で、宿泊施設である2つの蔵は露天風呂に大きなスペースを割いており、贅沢な空間に仕上がっている。徹底したオールインクルーシヴで、ミニバーでは泡もワインも何度も追加できる。

ディナーはイタリアン。北鎌倉にあるイタリアンレストラン「タケル クインディチ」が出店し、「アロマフレスカ」の元シェフ、大関さんを迎えて「LOQUAT西伊豆」にオープンした。伊豆という場所柄、素材の旨みをそのまま生かすことをモットーとし、ガーリックもオイルも感じないイタリアンの決め手は火加減と塩加減という。火加減でいえば、鰆のレア度に驚いたが、絶えずオーブンから出し入れして調整しているそうだ。

ザ・プリンス 箱根芦ノ湖(神奈川県箱根町)

「メインダイニング ル・トリアノン」の「魚介のマリネと彩り野菜のグレッグ コリアンダー風味 寄木細工見立て トマトドレッシング」
https://www.princehotels.co.jp/the_prince_hakone/restaurant/trianon/

ホテルってこうだよなぁとあらためて思う。いま造れと言われてもきっとできない、年月を経てきた年輪のような魅力が「ザ・プリンス 箱根芦ノ湖」にはある。決して奇をてらわない懐の深さがあり、疲れない、気を張らなくてよいホテルだ。

「ザ・プリンス 箱根芦ノ湖」のディナーといえば、ふだんは和食派の私でも、断然フレンチの「メインダイニング ル・トリアノン」を選ぶ。何メートルあるんだろうという吹き抜けは荘厳そのもの。芦ノ湖を望む大きなガラス窓も圧巻。夕刻の湖面から漆黒の湖へと変化する時間の移ろいもダイニングのエッセンスだ。魚介のマリネ、真鯛の白ワイン蒸し、牛フィレというフレンチの王道のようなコースはまさに“プリンスホテル”のイメージ。一方、見たことのないワインがペアリングされるという計算された異端ぶりにはワクワクさせられる。

箱根仙石原プリンスホテル(神奈川県箱根町)

「Tresor(トレゾール)」の「穴子の白焼きと箱根西麓トマトのガスパチョ仕立て」
https://www.princehotels.co.jp/hakone-sengokuhara/plan/platdujour/tresor/

箱根のプリンスホテルといえばもう一軒紹介したいホテルと料理がある。「箱根仙石原プリンスホテル」は目の前に広がるゴルフ場の風景が印象的なリゾートホテル。落ち着いた時間が流れていて、多くのリピーターに愛されているのもうなずける。

ホテルダイニングといえば和食・洋食・中国料理と様々であるが、洋も和も愉しみたいという欲張りな面々に嬉しいのが和洋折衷。トレゾールとはフランス語で「宝物」の意であるが、和食と洋食の料理長が紡ぎだす和洋折衷の一皿一皿はやはり宝物といえる。オードブルの穴子の白焼きと箱根西麓トマトのガスパチョ仕立て。穴子はしっかりした食感で、コクのあるガスパチョとのバランスが絶妙だ。

リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市此花区)

「Cafe & Bar LIBER」の「セロリサラダ」
https://hotel-liber.jp/restaurant/liber/

JR桜島駅前に圧巻のスケールでそびえ立つ。USJエリアにもこんなにクオリティの高いホテルが誕生したのかと驚いた。駐車場からロビー、エレベーターなどの動線もよく考えられている。グッと心掴まれたのが天然温泉が愉しめるSPAだ。温度抜群のサウナ2種類と冷水浴、露天風呂など、わかっている人が作ったことを実感できる。

「Cafe & Bar LIBER」は、厳選された希少食材と極上の炭火焼ステーキが自慢のダイニング。鳥取の万葉牛の旨みに唸りっぱなし。ステーキに山葵は定番だが、これほどまでに山葵の香りと美味さを感じられるのはきっと肉が凄いからだろう。さらに感動したのはセロリサラダ。これは家で作ってみたいと思わせるダイニングは秀逸だ。ワインのペアリングも嬉しい。

白井屋ホテル(群馬県前橋市)

「the RESTAURANT」の「農園より」
https://www.shiroiya.com/dining_and_foods/restaurant

当地で300年以上の歴史を誇る白井屋旅館をエッセンスとして、エリアの再生プロジェクトと共にアートデスティネーションホテルが誕生。近年の市街地空洞化の波はこの地においても例外ではなく、前橋を活性化したいという思いに国内外のクリエイターが集結した。かつての老舗旅館の構造を生かした大胆な吹き抜けが印象的。

「the RESTAURANT」はオープンカウンター席のみというメインダイニング。青山のミシュラン二つ星フレンチレストラン「フロリレージュ」のオーナーシェフ川手寛康さんの監修。群馬出身の片山ひろシェフが地元の生産者を訪ね、恵まれた自然のもとで育まれた食材を吟味し、群馬の食文化を独自の解釈で再構築するという“上州キュイジーヌ”がコンセプトだ。「農園より」と名付けられた美しい一皿にただただ感動。赤城牛のフィナーレに行き着く頃には身も心もほろほろとほぐれていることに気付く。

HAKONE NICA(神奈川県箱根町)

「ダイニング」の「由比 桜海老/絹さや」
https://hakone-nica.com/

箱根・宮城野の国道から脇道を入り、かなり坂を上がった場所にある隠れ家度満点のスモールラグジュアリーホテル。ロビーに入った瞬間、オープンエアーの開放的なロビーラウンジが迎えてくれる。正面の山腹に望む強羅温泉や早雲山、富士山の眺望は圧倒的。オールインクルーシヴがテーマのひとつで、全8室でスタッフ8人、きめ細やかなおもてなしにリピーターも多い。

ディナーのテーマはフュージョン料理。新進気鋭の若手シェフ山本光伸氏の手による、イタリアでの経験に和のエッセンスを取り入れたコンテンポラリな一品一品に意表を突かれる。天城軍鶏と白アスパラガスに合わせる土佐酢のジュレなどは斬新。最も印象的だったのが蓬を練り込んだパスタに由比の桜海老&絹さやという合わせ技。絵の具を何重にも塗り重ねたような紅の深い色合いに絹さやの緑が映えるが、食感も完璧に計算し尽くされている。和もテーマということでホテルのロゴ入り紙製箸箱に入れられた箸が備えられている。

ヒルトン東京お台場(東京都港区)

「日本料理『さくら』寿司カウンター」の「いくら」
https://www.hiltonodaiba.jp/restaurants/sushi

都市のリゾートホテルという括りでは、かなりポテンシャルが高いヒルトン東京お台場。全室バルコニーやテラスジャグジー付きの客室など多彩。何より目の前に海が広がり、対岸に都心を望む眺望は、非日常感ここに極まれりである。

和食、洋食、タイミングが合えばインルームダイニングなどグルメの愉しみも様々だが、鮨はおすすめ。肩肘張らないホテル鮨の決め手は、職人・片野さんの和やかさだろうか。そんな雰囲気からは想像出来ないしっかりとした鮨が供される。まるで宝石のようないくらには美学すら感じるほどだ。

ANAインターコンチネンタル石垣リゾート(沖縄県石垣市)

「SALTIDA(サルティーダ)」の「アカマチのカルパッチョ」
https://www.anaintercontinental-ishigaki.jp/ja/restaurants/saltida/

2020年7月誕生したクラブインターコンチネンタルの肝いりが“1棟まるごとクラブインターコンチネンタル”。車もラウンジ目の前に横付け。専用キーで棟へアクセスするため、建物にいるゲストは全てクラブインターコンチネンタルのゲスト。ラグジュアリー感満点のクラブラウンジだ。

ホテルご自慢のダイニングは「SALTIDA」。石垣島の大地と海の恵みをグリルで味わう醍醐味を感じるビストロ。水揚げ鮮魚のグリルや看板メニューのTボーンステーキファイヤーグリルにも唸るが、アカマチのカルパッチョは感動的。アカマチとはハマダイのことで沖縄3大高級魚のひとつとされている。カルパッチョにマッチする食感と味わいだ。

大江戸温泉物語 鬼怒川観光ホテル(栃木県日光市)

「夕食バイキング」の「極上本マグロ」
https://kinugawa-kanko.ooedoonsen.jp/restaurant/

ラグジュアリーからビジネスホテルまで、ブッフェ体験の際に担当者に聞くのが「大江戸温泉のディナーバイキング行ったことありますか?」。食材や内容もさることながら、ブッフェボード、照度、料理の温度管理、会場の動線に至るまで1泊2食の宿泊料金からは信じがたい高バリューな大人気バイキングだ。作り上げたのが大江戸温泉物語の最高料理顧問・高階氏。この人なくして大江戸温泉物語のバイキングはない。

いまや「大江戸温泉物語といえばバイキング」といわれるほど。シーズンにより内容は異なるが、ローストビーフやステーキといった肉料理や、宇都宮餃子などのご当地メニューにも注目。また、蟹や本まぐろ食べ放題など海の幸を贅沢に使っているのも印象的だ。何より感心するのが、一番美味しい瞬間に味わっていただきたいと料理の温度を1品ずつ測っていること。すべてのメニューが最も適した温度で提供されるように気配りされているという。

ふふ 日光(栃木県日光市)

「鉄板焼き 候」の「阿寒湖エクルビス(ウチダザリガニ)の釜炊きご飯」
https://www.fufunikko.jp/food/

日光のラグジュアリーリゾートシーンを牽引してきた「ふふ」ブランド。全室異なるデザインの24室は、ハンドメイド感溢れる設え。旅慣れた余裕ある大人が納得できるサンクチュアリとして愛されていくことだろう。

「鉄板焼き 候」では、前菜でいきなりフォアグラとプルーンのフリットが登場。銀鱈柚子味噌大葉焼きはまるでフレンチといえる一皿。鉄板焼きの〆といえば、白いご飯かガーリックライスというパターンだが、こちらは最後までワクワクさせてくれる。阿寒湖エクルビス(ウチダザリガニ)の釜炊きご飯は、味もビジュアルも素晴らしい。

今回はスペースの関係もあり10ホテル10品の紹介に留まったが、今後も印象に残ったホテルグルメを紹介していきたい。心からホテルグルメを愉しめる日が戻ってくることを願っている。

(瀧澤 信秋)

瀧澤 信秋

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