水中写真で見る、世界で最も危機的状況にある淡水生態系

水中写真で見る、世界で最も危機的状況にある淡水生態系

  • CNN.co.jp
  • 更新日:2022/05/14
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南アの淡水魚の姿を通して河川生態系の重要さを伝える写真家J・シェルトン氏の作品/Jeremy Shelton

(CNN) 茶色や灰色といったくすんだ色合いの地味な淡水魚は、保全という点においては長い間、見過ごされてきた。2021年に発表された世界自然保護基金(WWF)の報告書「世界の忘れられた魚たち」によると、世界の淡水魚種のうち3分の1は絶滅の危機に瀕し、80種はすでに絶滅しているという。

これは自然と人間の両方に影響を与えている。報告書によると、淡水魚は2億人の人々の食料であり、6000万人の生計を支えている。また我々は、水、衛生、電力を河川生態系に依存している。

「河川は地球の動脈だ」と話すのは、南アフリカの淡水保全生物学者で写真家のジェレミー・シェルトン氏。「河川は冷たくて清潔な水を山から運んでくる。飲料用、農業用、工業用として我々が大いに依存している重要な水資源は河川が与えてくれるのだ」とシェルトン氏は語る。

南アフリカの淡水研究センターの研究者であるシェルトン氏は、幼少期に自宅の裏にある小川で水遊びをしているうちに、河川生態系に魅了されるようになった。だが同氏は、濁った小川に他の人がそれほど魅了されていないことに気づくと、のちにカメラを手に取り、淡水生物の豊かな多様性を紹介し、その脆弱(ぜいじゃく)性に警鐘を鳴らそうと、撮影を開始した。

「要するに、人々に自分たちを取り巻く自然界に対する意識を高めてもらうことが狙いだ。ひとたび自然界とのつながりが強固なものになれば、彼らの行動様式や振る舞い、周りの生物とのつながり方を変えられるようになる」と、シェルトン氏はCNNに語っている。

同氏が撮影した写真は、WWFの淡水魚に関する報告書に掲載されたほか、活動家で俳優のレオナルド・ディカプリオ氏をはじめ、インスタグラムで広く共有されている。

危機に瀕する南アフリカの河川

シェルトン氏の母国、南アフリカでは、河川生態系の保護が急務となっている。18年の国家生物多様性評価によると、南アフリカで最も脅威にさらされている種群は淡水魚であり、湿地・河川生態系は、他のどの生態系よりも危機的な状況にあるという。南アフリカの淡水魚種の半分は同国にのみ生息しているため、個体数の減少を防ぎ、生息地の劣化や捕食性の外来種などの脅威を最小限に抑えるための保護戦略が大いに必要であると、報告書は指摘している。

「淡水生態系が広範囲にわたって悪化しているのを目の当たりにしている。こうした生態系の保全に携われる機会を得たことが、私を突き動かしている」とシェルトン氏は述べた。

同氏は、クランウィリアム・サンドフィッシュやバリーデール・レッドフィンといった絶滅危惧種の保護に取り組む「ケープ・クリティカル・リバーズ・プロジェクト」や、若者と河川生態系をつなぐことを目的とした野外学習プロジェクトなど、多くの淡水保護プロジェクトに携わっている。

だがシェルトン氏は、写真には国境を越えて、自然の美しさや生物多様性の危機を地球規模で伝える力があると信じている。

「写真とそれに伴う科学を通して、河川・湿地帯の水面下にある生命の美しさやはかなさを、人々に受け入れてもらいたい」「これまで見えなかった世界とつながることによって、人々がもっと思いやりを持ってこれらの生態系に接し、自分たちの生き方や自然生態系との関わり方について、もう少し思慮深くなることを願っている」(シェルトン氏)

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