「契約者急増のコロナ保険はお金の無駄」FPがそう断言する3つの理由

「契約者急増のコロナ保険はお金の無駄」FPがそう断言する3つの理由

  • PRESIDENT Online
  • 更新日:2021/05/03

新型コロナウイルス感染に対応した「コロナ保険」の契約者数が増えている。本当に入るべき保険なのか。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「合理的に考えれば加入するのは無駄だ。その理由は3つある」という——。

No image

写真=iStock.com/flyparade※写真はイメージです - 写真=iStock.com/flyparade

その保険加入は本当に必要な出費か

新型コロナウイルスは、変異株の拡大で新たなフェーズに入ってきた模様です。収束が見通せない中、消費者の不安を背景に、新型コロナウイルス感染症を保障すると銘打った保険(以下コロナ保険)が売り上げを伸ばしています。

しかし、新たに保険加入するということは、新たに出費が増えるということです。本当にコロナ保険に加入する必要があるのか、冷静に考える必要があります。筆者は、合理的に考えれば、いわゆるコロナ保険に加入するのは無駄だと思っています。その理由は3つあります。

理由①:新型コロナの治療で医療費はかからない

新型コロナウイルス感染症は感染症法(※1)に基づき、診察や検査、入院などの費用は無料です。個室に入院したり、無症状や軽症等のため宿泊施設や自宅で療養をした場合も費用は掛かりません。

そもそも費用が発生しないのであれば、わざわざ保険料を払ってまで保障を買う必要はありません。

そうはいっても、新型コロナウイルスに感染することによって収入が減ったり、食料品を宅配してもらうなど、いろいろと物入りになるかもしれません。しかし、それは新型コロナウイルス感染症に限りません。

骨折などで入院が長引くこともあるでしょうし、元気で働ける状態にもかかわらず、仕事を失うこともあるでしょう。日常生活に潜むあらゆるリスクに保険で備えることは不可能です。

しかし、もう一つ落とし穴があります。あまりに「新型コロナウイルス感染症を保障」が強調されることにより、まるでそれ以外の保険では保障されないかのように思ってしまうことです。

理由②:通常の生命保険・医療保険でも保障される

実は、コロナ保険以外の保険でも新型コロナウイルス感染症は保障されます。

生命保険に医療特約を付けていたり、医療保険に加入している場合、治療目的の入院が保障されますから、たとえ医療費が掛からなくても入院給付金等を受け取ることができます。

また、新型コロナウイルスに感染したにもかかわらず、病床不足のため自宅もしくは宿泊施設等で療養することもあります。このようなケースも入院したものとみなして給付が受けられるのが一般的です。ただし、請求の際には、治療期間を確認できる医師の証明書が必要となります。

国立感染症研究所が公表したところによると(※2)、新型コロナウイルス感染症による入院期間の中央値(※3)は13.0日だそうです。もし、入院給付金日額5000円の医療保険に加入している場合、新型コロナウイルス感染症で13日間入院すると6万5000円の給付が受けられます。

No image

写真=iStock.com/AlenaPaulus※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AlenaPaulus

通院特約が付いている場合、電話やオンラインによる診療も「通院」とみなして通院給付金を給付する保険会社もあります。ただし、通院給付金とは、入院給付金の支給対象となる入院の前もしくは後に通院した場合に支払われるもので、通院のみでは支払対象とならないことに注意が必要です。

コロナによる死亡は保険金が上乗せされる場合が多い

また、死亡保障に付加する災害割増特約と傷害特約は、不慮の事故以外にも「約款所定の感染症により死亡したとき」という要件があります。新型コロナウイルス感染症もこれらの特約の給付対象とする会社がほとんどです。したがって、生命保険にこれらの特約を付加している人が新型コロナウイルス感染症で死亡した場合、死亡保険金に特約保険金を上乗せした金額が支払われます。

ちなみにフコク生命では、「医療大臣プレミアエイト」という商品に加入している人が新型コロナウイルス感染症等で入院した場合、入院見舞金を従来の2倍にして支払う「感染症サポートプラス」の取り扱いを、追加の保険料なしで行っています。入院見舞金を付けていれば既加入者も適用になります。

入院見舞金とは、病気やケガで入院したときに、入院給付金日額の10倍の一時金を支払うものです。例えば、入院給付金日額1万円で契約している場合、通常であれば1万円×10=10万円の入院見舞金が支払われるところ、2倍の20万円が支払われるというわけです。ただし、倍額給付は2022年1月31日までの期間限定です。

この背景には、新型コロナウイルス拡大の影響により、外出自粛で不慮の事故による入院給付金請求が大幅に減少したことがあります。入院給付金支払いの減少によって発生した収益を、新型コロナウイルス感染症で入院した人への給付に還元するという理屈です。だからこそ期間限定で倍額給付を行うというのも納得できます。

理由③:新型コロナの後遺症は保障対象外である

新型コロナウイルスに関してはまだ分かっていないことが多く、そのことが不安を大きくさせるのかもしれません。退院後も長期間にわたって咳(せき)や呼吸困難、倦怠(けんたい)感、脱毛などの後遺症に悩む人が多いとも言われています。

現在販売されているコロナ保険と称されるものには、通常の医療保障に特約として新型コロナウイルス感染症等の保障を付加するタイプと、入院を要件とせず、新型コロナウイルス感染症等にかかったと医師に診断されたときに一時金を支払うタイプがあります。

医療特約や医療保険は入院することが給付の要件ですから、新型コロナウイルス感染症であろうとそれ以外の病気やケガであろうと、治療のために入院をすれば給付対象となるのは前述したとおりです。

しかし、新型コロナウイルス感染症の後遺症は、日常生活に支障が出るほどのつらさを抱える状態でありながら、入院をしないケースがほとんどです。仕事をやめざるを得ないケースもあり、周囲の無理解に悩む人が多いようです。

そのような場合、コロナ保険でも従来の医療保険でもカバーできません。たとえ入院を要件としないタイプのコロナ保険であっても、新型コロナウイルス感染症に罹患(りかん)していない状態なので給付は受けられません。

また、新型コロナウイルス感染をきっかけに、別の疾患を発症する可能性もあると言われています。そのような場合、入院治療であれば通常の医療保険等から保障されますが、コロナ保険(特約)からの給付はありません。

保険でカバーするべき経済的リスクとは

経済的リスクへの備え方には、貯蓄と保険加入の二つの方法があります。発生確率は低いけれど、ひとたび起こってしまうと多大な経済的損失を被る可能性があり、自前の貯蓄ではカバーできないリスクに対処するには、保険料というコストを払って保険に加入するのが合理的です。

例えば、地震や土砂崩れ、火災などによって住まいを失うと、新たな住まいを確保するには高額の費用が掛かります。そのようなリスクに備えて、火災保険や地震保険に加入するというのが分かりやすいでしょう。

これまで述べてきたように、新型コロナウイルス感染症の経済的リスクをカバーする手段として、保険に加入するという選択は合理的とはいえません。コロナ保険に加入したからといって、新型コロナウイルス感染症を予防することはできません。

コロナ保険の加入を考えている人は、どのような不安を解消するためにコロナ保険に加入しようとしているのか、その不安はコロナ保険に加入することで実際に解消できるのか、費用対効果はどうなのか、すでに加入している保険でカバーできないのかといったことを多角的に検討してみてください。

(※1)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
(※2)国立感染症研究所新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(第2回)(2020年10月5日時点:暫定)
(※3)データを小さい順に並べたときにちょうど真ん中に来る値

----------
内藤 眞弓(ないとう・まゆみ)
生活設計塾クルー取締役
ファイナンシャルプランナー。大手生命保険会社に13年間勤務後、独立。『医療保険は入ってはいけない![新版]』など著書多数。
----------

内藤 眞弓

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加