きっと焼き足りなかった厚焼き玉子。彼は「美味しいよ」って言ってくれた

きっと焼き足りなかった厚焼き玉子。彼は「美味しいよ」って言ってくれた

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/02/21
No image

令和3年1月30日、いつも通りの朝。ベッドから出て私は、台所で自分の朝食を用意していました。こういう寒い日は暖かい朝食を食べたいと思い、私は味噌汁と厚焼き玉子を作っていました。

厚焼き玉子の焼き加減には少しこだわりがあります。”焼いた表面、ごくわずかに色が着くくらい”が私にとって一番美味しいと感じる焼き加減。今日はいい出来だと感心しながら、卵液を足して、どんどん巻いていきました。

卵2つ分の卵液を流し込み、巻き終えると、黒いお皿に映えた綺麗な黄色の厚焼き玉子が完成。そんな、自己満足でできた玉子焼きをみて、ふと、5年前の学生時代に付き合っていた一つ年下の彼を思い出したのです。

「可愛いお嫁さん」を目指す私に夫が言った「家政婦と結婚したわけじゃない」

彼にとっては焼き足りなくても、「美味しいよ」って言ってくれた

彼との出会いは共通の友人からの紹介でした。友人の仕事場の後輩が、彼でLINEで連絡とったり、何回かご飯を重ね、最終には彼と彼の職場の方々とご飯をしたり。そのご飯会をきっかけに付き合うことに……。

付き合って3ヶ月。彼のことを全て知っているわけでは無かったですが、食事の好みくらい知っているつもりでした。私より落ち着いていて、優しい彼の苦手な食べ物はトマトとキュウリとマヨネーズ。あと、しっかりと火の通っていないたまご料理。

当時、彼は寮に住んでいて私は一人暮らし。ある日、彼が自分の家に泊まりに来ました。20歳にして、私にとって初めて"彼氏"という存在が泊まりに来た日です。そして、お泊まりから翌日、私は"一般的な普通の朝ごはん"を振る舞うことにしました。

味噌汁を作ってご飯をよそり、ソーセージを焼いてレタスを添えて。目玉焼きは好まないから、厚焼き玉子を焼きはじめたのです。

私はそこで、「目玉焼きではなく厚焼き玉子に変えたから、彼も食べれるかな」とそれで頭がいっぱいになり、いつも通り自分の好みの固さの厚焼き玉子を作っていました。焼き色がほんのり着く程度の、私にとってのいい焼き加減。でも、彼にとっては焼き足りない焼き加減。

それでも彼はちゃんと食べてくれていました。残さず「美味しいよ」って。美味しいと言葉にして伝えてくれたことが、とても嬉しかった。

彼の優しさに、私は言葉や態度で表せなかったし、返せていなかった

当時は彼の優しさを感じていながらも、その優しさに私は言葉や態度で、表せなかったし、返せていませんでした。もともと言葉に表すのが苦手な私にとって、照れ臭くて。でもそれは彼と自分自身を不安にさせていました。

少しずつ、お互いが伝えれなくなっていき、言葉にしない積み重ねが膨んでいきました。結果、別れることに……。

別れるときも、彼の気持ちをちゃんと聞けていなかった。別れの場をいかに丸く収めるかが先行していて、わたし自身を“守る”に徹底していました。

今だから伝えたい。「ごめんね」の言葉

あれから、5年。自分を過度に守るのを辞め、少しずつ伝えれるようになってきている今だからこそ言いたい、伝えたい。でも連絡先はもう分からず。

それでも「ごめんね。あのとき、貴方の好みを知っていたはずなのに。美味しいって言ってくれてありがとう。嬉しかった」っていつか伝えたい。

これからも彼との思い出を大切にして、厚焼き玉子を作っていきます。

【厳選】母の浮気が原因で父が暴力、「家族ごっこ」はいつまで?両親の不和から結婚を考えるエッセイ5選

おゆ社員

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加