薄毛の克服には植毛とAGAどちらが効果的?それぞれにリスクと制約も

薄毛の克服には植毛とAGAどちらが効果的?それぞれにリスクと制約も

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2022/06/23

今、海外で植毛する日本人が増えている。その魅力は日本の半値以下でできる安さ。100万円足らずで植毛し、コンプレックスを克服した“元”薄毛者も。しかしながら、悪質な植毛クリニックも存在するようだ。専門家に話を聞いた。

◆悪質な植毛クリニックに要注意。AGA治療効果には個人差あり

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悪質な植毛クリニックの被害例としてISHRSが紹介している事例。ドナー株を採取しすぎて後頭部・側頭部まで薄毛が目立つように……。植毛した頭頂部にも定着せず

「海外植毛は、クリニックの選択を誤ると取り返しがつかない」

こう話すのは、世界の著名な植毛医が所属する国際毛髪外科学会(ISHRS)でアジア人初の会長を務めた柳生邦良医師。実は、以前から悪質な植毛クリニックの存在が問題視されているという。

「ISHRSは’10年頃から『Fight the Fight』という活動を行っています。悪質なクリニックの廃絶と患者の保護を目的に、さまざまな啓蒙活動を続けているのです。

FUE法でドナー毛根の向きを考慮せずに採取すれば毛根が切断されます。切断されたものを移植しても太い髪は生えません。また、機械式植毛ではドナー株が多量に切断される場合があり、移植部にほとんど髪が生えてこないケースが報告されている。

コンプレックスを抱え、被害者が名乗り出てこないことをいいことに、海外の悪質なクリニックは航空券代や空港からのリムジン送迎、ホテル代込みの格安植毛プランで世界中から患者を集めているケースがあるのです」

FUT法では後頭部の頭皮を帯状に切除して毛を蓄えたドナー株を採取して頭頂部などに植えるが、切除箇所の縫合が適切に行われないと幅広い傷跡が残るという。「皮膚は元いた箇所に戻りたがるので、縫合した傷痕の幅が広がる」のだ。植毛に失敗すると取り返しがつかなくなる点には注意が必要だ。

◆AGA治療には“向き不向き”が

一方、日本で急速に広まったAGA治療には“向き不向き”がある。

「AGA治療の現場ではだいたい、ミノキシジルとフィナステリドのどちらかを主成分とした薬が処方されていますが、その人の体質によって効果に差が生じることが明らかになってきています。

ミノキシジルは人が持つ酵素と反応して初めて育毛効果を生むのですが、その酵素の活性の強弱によって効果の度合いが変わってくる。だいたい4割の人には効果的で、2割の人には効きづらいとされています。フィナステリドも同様。

だから、両方使用すればかなりの確率で発毛効果が得られる。その効果のデータ結果は公表されている。アジア人がフィナステリドを服用した場合、毛髪の直径が平均約10%太くなると報告されています。若く健康な髪なら密度やボリューム感の増大効果を実感できますが、30μm以下の産毛が10%太くなったところでたかが知れている。だから、年を取って薄毛が進行してしまった人ほど、髪が生えても求める毛量に届きづらい」

◆狙った箇所の発毛促進はできない点にも課題

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AGAスキンクリニック特別顧問・柳生邦良医学博士

この2種類のAGA治療薬は使用している間だけ効果がある、という制約もある。

「どちらの効果も服用し始めて1、2年でピークを迎えて、それ以降は多少効果が弱まる。服用をやめると徐々に髪は抜けてくる。1~2週間なら問題ありませんが、3~4か月やめたら薬の効果が切れてしまうでしょう」

AGA治療薬を使用すれば髪は高確率で増えるが、狙った箇所の発毛促進はできないという点にも課題が。そのため、徹底的に薄毛を克服するには、自毛植毛で希望の部位に髪を増やしながら、AGA治療薬で全体的に毛髪を太く育てるという二刀流が効果的とか。

ただ、どちらにもリスクと制約があることは覚えておきたい。

◆美容整形や植毛だけじゃない!高まる海外の性別適合手術需要

海外での施術ニーズが高まっているのは植毛だけではない。実は、性別適合手術を海外で受ける日本人も増えている。アメリカやブラジル、韓国などでも施術できるが、なかでも価格や技術面で抜きんでているのはタイだ。タイSRSガイドセンターで、日本人担当責任者を務める加地茜氏が話す。

「MTF(男→女)だと現地での生活サポートや手術費用(陰嚢皮膚移植法)、ホテル、渡航費など含めて費用は160万円ほどがかかります。現在はPCR検査や海外旅行傷害保険の加入が必須になるので、通常より少し高いですが、コロナ前と変わらず年間30~40人のアテンドをしています」

日本からの利用者は、大きく2つに分かれる。

「会社で働きながら貯金して、手術費用が貯まった30代。あとは、社会との関わりが一段落するタイミングで手術する60代も増えています。タイでは安全面や体の負担を考慮して、性別適合手術が受けられる年齢制限を60代にしている病院が多いのも理由でしょう」

◆悪徳なアテンド業者も

そんななか、’15年ごろから悪徳なアテンド業者が跋扈している点には気をつけたい。

「本来は、タイ法人をつくらないとアテンド行為は違法です。それに医療知識もないので希望とは違う内容の手術をされたり、手術後のサポートが一切ないなどのトラブルをよく聞きます。彼らは相場よりも少し安く設定しているので、価格だけで選ぶと思わぬ危険に巻き込まることが多いです」

コストの安さは海外で行う1つのメリットだが、国が違うからこそ慎重に選びたい。

【AGAスキンクリニック特別顧問・柳生邦良医学博士】

東大医学部を卒業後、外科医となり、胸部外科の専門医として活躍。20年前から植毛手術を手掛けるようになり、計3000人を担当。国際毛髪外科学会元会長

取材・文/吉岡 俊 池垣 完(本誌)

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