交通事故を起こしてしまったら?加害者の法的責任と取るべき対応

交通事故を起こしてしまったら?加害者の法的責任と取るべき対応

  • @DIME
  • 更新日:2022/01/16
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交通事故の加害者になった場合、被害者に対する損害賠償・刑事訴追・免許取り消しや免許停止など、様々な法的責任を負担します。

当然ながら安全運転を心がけることが第一ですが、万が一交通事故を起こしてしまった場合には、適切な善後策を講じなければなりません。

今回は、交通事故の加害者に生じる法的責任と、加害者が講ずべき事故後の対応についてまとめました。

1. 交通事故の加害者に生じる法的責任

交通事故の加害者には、大きく分けて民事上・刑事上・行政上の法的責任が発生します。

1-1. 民事上の責任|損害賠償

交通事故の加害者は、被害者に生じた損害を賠償しなければなりません(民法709条)。

損害の項目は、

・治療費
・通院交通費
・入通院慰謝料
・休業損害
・付添看護費
・将来介護費
・雑費

など、さらに後遺症が残った場合には、

・後遺障害慰謝料
・逸失利益

も加わり、非常に多岐にわたります。

特に、重い後遺症が残ったケースでは、損害賠償が数千万円に及ぶことも珍しくありません。

ただし、被害者に生じた損害は自賠責保険によって補償されるほか、加害者が任意保険に加入している場合には、任意保険からも保険金が支払われます。

したがって、加害者が被害者に対して負担する損害賠償責任は、実質的に、自賠責保険や任意保険ではカバーしきれない部分に限られます。

1-2. 刑事上の責任|過失運転致死傷罪など

交通事故の加害者には、主に以下の犯罪が成立する可能性があります。

①過失運転致死傷罪

過失による交通事故で、被害者を死傷させた場合に成立します(自動車運転処罰法5条)。

法定刑は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」です。

無免許運転の場合は「10年以下の懲役」に加重されます(同法6条4項)。

②過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪

アルコールまたは薬物の影響下での運転中に、過失による交通事故で被害者を死傷させたことに加えて、飲酒または薬物摂取の発覚を免れようとした場合に成立します(同法4条)。

法定刑は「12年以下の懲役」です。

無免許運転の場合は「15年以下の懲役」に加重されます(同法6条3項)。

③危険運転致死傷罪

あまりにも危険な方法・状態で自動車の運転を行い、他人を死傷させた場合に成立します(同法2条)。

法定刑は、他人を負傷させた場合は「15年以下の懲役」、死亡させた場合は「1年以上の有期懲役」です。

無免許運転の場合は、他人を負傷させた場合の法定刑が「6か月以上の有期懲役」に加重されます(同法6条1項。未熟運転の場合を除く)。

④準危険運転致死傷罪

アルコール・薬物・一定の病気の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車の運転を行った結果、過失により被害者を死傷させた場合に成立します(同法3条)。

法定刑は他人を負傷させた場合は「12年以下の懲役」、死亡させた場合は「15年以下の懲役」です。

無免許運転なら、他人を負傷させた場合は「15年以下の懲役」、死亡させた場合は「6か月以上の有期懲役」に加重されます(同法6条2項)。

⑤救護義務違反

交通事故によって被害者を死傷させた加害者には、被害者の救護等を行う義務が課されます(道路交通法72条1項前段)。

加害者が救護義務に違反した場合、「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処されます(同法117条2項)。

1-3. 行政上の責任|免許取り消し・免許停止など

交通事故を起こした場合、事故の態様によって、運転免許証の違反点数が付与されます。

過去に免許停止処分を受けたことがなくても、6点以上で免許停止、15点以上で免許取消しとなります。

特に人身事故の場合は、通常の違反点数に付加点数が加算されるため、免許停止以上の行政処分が行われる可能性が高いです。

2. 交通事故を起こした加害者が取るべき対応

万が一交通事故を起こしてしまった場合、加害者は以下のポイントに留意して、適切な事後対応を行いましょう。

2-1. 直ちに被害者を救護し、警察に連絡する

交通事故の加害者が被害者を救護することは、倫理的に当然であるだけでなく、法律上の義務でもあります(道路交通法72条1項前段)。

さらに加害者には、交通事故の事実および内容について警察に連絡することも義務付けられています(同項後段)。

被害者の救護や警察への連絡を怠ると、刑事上・行政上の法的責任が加重されますので、直ちに救護と警察への連絡を行いましょう。

2-2. 被害者との示談交渉は任意保険会社に任せる

加害者が任意保険に加入している場合、任意保険会社が被害者との示談交渉を代行してくれます。

加害者としては、示談交渉は任意保険会社に一任し、自分の判断で示談に応じることは避けましょう。

なお、加害者が任意保険に加入していない場合、加害者自身で示談交渉を行わなければなりません。

その場合も、事故現場で示談することは避け、弁護士を通じて後日示談交渉を行うことをお勧めいたします。

2-3. 刑事訴追されそうな場合は弁護士に相談を

交通事故の態様が重大な場合は、刑事訴追を視野に入れた捜査が行われることも想定されます。

刑事訴追の可能性がある場合には、捜査機関の取調べに臨むに当たって慎重な対応を要するため、お早めに弁護士までご相談ください。

相談できる弁護士に心当たりがない場合には、弁護士会や法テラスに相談するのも選択肢の一つです。

参考:日本弁護士連合会HP
参考:法テラスHP

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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