溶岩流と火砕流の違い~関連動画をチェックして理解を深めよう

溶岩流と火砕流の違い~関連動画をチェックして理解を深めよう

  • 防災新聞
  • 更新日:2023/01/25
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日本は火山大国といわれるほど火山が多いとされ、気象庁もホームページで「各火山の活動状況」を発表しています。

ですが、火山の噴火は一般的な地震ほど多くないため、私たちが火山や噴火について知る機会は限られているのではないでしょうか。

そこで今回は、火山の噴火によってもたらされる「溶岩流」と「火砕流」を取りあげ、その違いを解説します。

より理解が深まるよう関連動画もあわせてご紹介するので、ぜひご覧ください。

溶岩流と火砕流の主な違いを成分と速度から解説

はじめに、簡単に溶岩流と火砕流の違いをお伝えします。

どちらも噴火によって火口から吹き出されるものであり、それが山肌にそって下方へ流れくだる現象です。

しかしその成分は異なり、溶岩流は溶岩ですが、火砕流は火山ガスおよび火砕物(かさいぶつ:軽石や火山灰など)です。

そして、溶岩流は人間が避難できるほどゆっくりしたスピードであるのに対して、火砕流は逃げるのは不可能なほど猛烈な速さとなります。

では、それぞれについて詳しく解説していきましょう。

溶岩流は溶けたマグマがゆっくりと流れ下っていく

はじめに、溶岩流(ようがんりゅう)についてみてみましょう。

溶岩流はオレンジ色の流れでているもの

溶岩流とは、火口から噴出した溶岩(=マグマが噴火によって地上にでたもの)が流れ下っているものです。

火山が噴火した映像で、オレンジ色をしたものが山肌にそって流れているのをみたことがあるかもしれませんね。

下の画像で確認してみましょう。

暗闇のなかオレンジ色のものが吹き出していますが、それが「溶岩」です。そして、オレンジ色のものが山肌にそって道のように流れでているのが「溶岩流」です。

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出典: 気象庁「主な火山災害」

気象庁では、溶岩流を次のように説明しています。

溶岩流とは(気象庁ホームページより)

溶けた岩石が地表を流れ下る現象です。流下速度は地形や溶岩の温度・組成によりますが、比較的ゆっくり流れるので歩行による避難が可能な場合もあります。

引用:気象庁「主な火山災害」※太字は筆者加筆

マグマの粘性によって溶岩流か溶岩ドームになる

この溶岩流は、粘り気が弱いサラサラした性質のマグマがもとになっています。

地中にあるマグマには、粘り気が弱い“サラサラ”したものもあれば、強い粘り気のために“ドロドロ”したものもあります。

このマグマが噴火で地上にあらわれた(溶岩となった)とき、“サラサラした溶岩”が溶岩流となって下方へ流れ出ていくのです。

一方、“ドロドロした溶岩”は下方には流れず、火口付近で溶岩ドームを形成するとされています。

溶岩流と溶岩ドームを動画でチェック

マグマの性質の違いによって、溶岩流か溶岩ドームになることを動画で確認できるサイトがあります。

それが、NHK for School「溶岩の違いで・・・」(約1分45秒)です。

サイトでは、伊豆大島火山の溶岩(サラサラ)と雲仙普賢岳の溶岩(ドロドロ)を用いて比較しています。

まず、それぞれを噴火時に近い1500度に熱して溶かし、その性質の違いを示しています。

そして、溶岩流が流れている様子と溶岩ドームの両方の映像を見ることができるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょう。

溶岩流の見学ツアーもある「キラウエア火山」

世界でもっとも活発な火山といわれるのが「キラウエア火山(ハワイ島)」です。

ここはハワイ火山国立公園内に位置しており、溶岩流の見学ツアーが観光のひとつになっています。

キラウエア火山は2018年(平成30年)5月から噴火活動が再開し、533戸(6月17日時点)の住宅が溶岩流によって破壊されたと言われています。

さらに、7月には海上から溶岩流を見学していた観光ボートに、突然発生した噴火による噴石が直撃し、乗客23名が負傷する事故がありました。

(参考:気象庁「2018年の世界の主な火山活動」

このように溶岩流の影響も怖いものですが、生命への危険性が高いとされているのが火砕流です。

火砕流は火山ガスをふくみ猛烈なスピードで迫ってくる

次は、火砕流(かさいりゅう)についてみてみましょう。

火砕流の特徴は有毒な火山ガスと速度

火砕流とは、噴火で吹き出した固形物(火砕物)が火山ガスとまざりながら一気に流れ下るものです。

その特徴は、火山ガスには有毒物質が含まれていること、そして時速100kmになることもあるほどの速さです。

このため、火砕流から逃げ切るのは不可能だとされています。

気象庁では、火砕流を次のように説明しています。

火砕流とは(気象庁ホームページより)

噴火により放出された破片状の固体物質と火山ガス等が混合状態で、地表に沿って流れる現象です。火砕流の速度は時速百km以上、温度は数百℃に達することもあり、破壊力が大きく、重要な災害要因となりえるため、噴火警報等を活用した事前の避難が必要です。

引用:気象庁「主な火山災害」※太字は筆者加筆

火砕流からは逃げ切れないからこそ、事前に火山情報を入手し行動することが、命を守るためには重要だと言えるでしょう。

火砕流の発生には溶岩ドームが関係

火砕流が発生する要因のひとつに、溶岩ドームが関係していると言われています。

さきほど溶岩ドームについてはお伝えしましたが、ここでは「溶岩ドーム形成から火砕流発生までのながれ」をまとめてみます。

◆火砕流が発生するメカニズム

粘り気の強いマグマが噴火によって噴き出す

火口付近に溶岩ドームを形成

噴火活動がつづき、次第に溶岩ドームが崩れだす

吹き出した高温の火山ガスと多量の火砕物が、一気に流れ下っていく(火砕流の発生)

火砕流が発生するメカニズムを動画でチェック

NHK for school「溶岩ドームと火砕流のしくみー中学」(3分)では、このメカニズムを実際の雲仙普賢岳の映像とともに解説しています。

もくもく湧き出る灰色の煙のような火砕流が次々と下方へ流れ下る様子は、ゆっくりした速度の溶岩流とは全く比べものにならないほどです。ぜひご覧になってみてはいかがでしょう。

雲仙普賢岳では5年間で9432回の火砕流が発生

雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ:長崎県)は、1990年(平成2年)から1995(平成7年)年にかけて噴火活動をくり返しました。

この5年間のなかで、溶岩ドームは成長と崩壊をくりかえし、『合計9432回(東京ドーム190回分)』もの火砕流が発生、死者・行方不明者は44名にのぼったとされています。(参考/島原市 ジオパーク:雲仙普賢岳噴火災害「火砕流」

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出典: 気象庁「主な火山災害」

このときの火砕流は、もっとも長いところで『5.5km』にもおよび、その速さは『時速200km(1991年9月15日)』だとされています。(参考:がまだすドーム(雲仙岳災害記念館)「平成大噴火」

まとめ(日本の災害を知る)

今回は、溶岩流と火砕流の違いについてお伝えしました。

過去、日本では溶岩流による被害があったものの、近年では火砕流によるものが大きくなっています。

今回ご紹介した雲仙普賢岳の大噴火もその1つであり、現在でも溶岩ドーム崩壊の危険があるとされているのです。

頻繁におこるものではない噴火活動だからこそ、私たちは発生した事実から学ぶことが大切ではないでしょうか。

下記に「雲仙普賢岳の大噴火」の概要をまとめます。

●日本の災害を知る『雲仙普賢岳の大噴火』
○発生日時:1990年(平成2年)11月17日~
○死者41人・行方不明者3人
○建物被害:2,511棟(うち住家1,399棟)
○火砕流発生回数:9,432回(平成3年5月~平成8年5月)
(参考/国土交通省 九州地方整備局:防災の取組みと過去の災害「雲仙・普賢岳噴火活動による災害」

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気象庁「雲仙岳(うんぜんだけ)」

※雲仙岳・・長崎県島原半島の中央部にある火山の総称(参考:コトバンク 「雲仙岳」
※普賢岳・・島原半島中央部にある山(参考:コトバンク 「普賢岳」

【参考サイト】
コトバンク「火砕流」
気象庁「過去に発生した火山災害」
在ホノルル日本国総領事館「ハワイ島キラウエア火山見学観光船の噴石被害事案の発生について」
テレビ長崎「溶岩ドーム崩壊の危険は今も…地域連携で防災力向上へ<普賢岳噴火災害30年>

https://bousai.nishinippon.co.jp/9626/

(以上)

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