社説:ロシアの混迷 これ以上暴挙重ねるな

  • 京都新聞
  • 更新日:2022/09/23

ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻で部分的な動員令を発動した。対象は軍務経験のある予備役に限定し、30万人規模を招集する。

ウクライナ軍の反攻による劣勢を打開するためとみられる。侵攻から7カ月。戦争は新たな局面に入ったといえるが、追い込まれたプーチン氏の焦りが浮き彫りになっている。悪あがきはやめ、直ちに停戦するべきだ。

30万人もの予備役招集はロシア軍の苦戦と兵力喪失の証左といえる。国民の総動員についてプーチン政権は反戦機運を高めかねないと慎重姿勢だったが、右派や強硬派から求める声が強まったことも影響しているとみられる。

ウクライナが奪還した東部イジュムでは民間人445人らの集団埋葬地が見つかり、キーウ近郊ブチャに続く戦争犯罪の可能性がある。これ以上、残酷な蛮行を重ねることは許されない。

東部や南部の計4州では親ロシア派が、ロシア編入を求める「住民投票」を23~27日に実施すると宣言した。「ロシア領」とする既成事実化を進める考えで、組み込んだ後はロシアそのものに対する攻撃と見なし、反撃には核の使用を改めてほのめかした。

一方的な住民投票は2014年のクリミア半島の強制編入でも行われた。主権と領土の一体性を尊重する国際法に違反しており、断じて容認できない。

ロシア国内でも動員反対のデモが広がっている。人権団体によると、38都市で約1400人が当局に拘束されたという。

侵攻後、若者らの国外脱出が続いていたが、増派を受けて出国の片道航空券が売り切れる事態も起きている。各国による経済制裁の影響も含め、国内の混迷は一層広がるのではないか。

米国防総省はロシア軍の死傷者は7万~8万人規模に上るとも見ている。ロシアの国防相は学生らは動員の対象外だとも説明したが、多くの人が逃げ出すのは当たり前だろう。

そもそも荒唐無稽な住民投票である。実施されても、ロシア側が票を操作してでも編入を実現する「出来レース」となるのは目に見えている。国際社会の反発を招き、ロシアの孤立を深めるだけだ。

中国やインドも情勢に懸念を表明している。心配されるのは、追い詰められたプーチン氏がさらに強権的になることだ。国際社会の結束が改めて問われる。

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