松村北斗、大ヒット中の『すずめの戸締まり』で「新海監督に魔法をかけてもらい、自分の声が好きになれた」

松村北斗、大ヒット中の『すずめの戸締まり』で「新海監督に魔法をかけてもらい、自分の声が好きになれた」

  • MOVIE WALKER PRESS
  • 更新日:2022/11/25
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映画『すずめの戸締まり』で声優に初挑戦した松村北斗にインタビュー! 撮影/YOU ISHII

『君の名は。』(16)、『天気の子』(19)で知られる新海誠監督の3年ぶりの最新作『すずめの戸締まり』(公開中)は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉めていく少女、鈴芽(すずめ)の解放と成長を描く冒険物語だ。すずめと共に旅をする“閉じ師”の青年、宗像草太を演じるのは、オーディションで抜擢された松村北斗。初号を鑑賞したばかりでまだ興奮冷めやらず、「(感想を)言葉にするのは本当に難しいです」と戸惑いも見せていた彼に、本作に参加したことへの“想い”を語ってもらった。

【写真を見る】『すずめの戸締まり』で声優に初挑戦した松村北斗にインタビュー!“先輩”神木隆之介からのアドバイスとは?

「新海作品への評価の根源にあるのは、制作側の熱量」

松村の演じる草太は「旅の青年」として登場し、ひょんなことから「小さな椅子」に姿を変えられ、すずめと一緒に日本各地の廃墟を訪れることになる。完成した作品を観て、松村は「やっぱり冷静には観られませんでした。観ている間、ずっと肘掛けをつかみ、肩を力ませていたのですが、上映が終わったあとは感極まってしまって…。でも、なにに対して感極まっているのかまだ整理ができていない状態です」と正直な心情を吐露した。ただ、観終わったあとの会場内に熱気が満ちていたことを強く感じたという。「自分のなかから溢れるものと同じような熱を、作品を観ていた人たち全員から感じられて、目頭が熱くなりました。27歳にもなって、なに言ってるんだと笑われそうですが、部活の3年生みたいな気持ちになりました。僕、部活やってなかったんですけどね(笑)」。

本作について、映画館で観るべき作品としながらも「ストーリーを追うだけなら、小さい端末で観ても印象は変わらないのかもしれませんが、やっぱり映像と音響の差はあると思います。僕はテレビで観る映画も映画館で観る映画も好きなので、どっちがいいかと訊かれたら難しいですが、作品に注がれた熱や細部までのこだわりは、ぜひ映画館の大きなスクリーンで感じてほしいです。ただ、新海作品のストーリーや映像のすばらしさは、どんなかたちで観ても感動を与える物語になっているとも感じています。新海作品を観て『感動した』『おもしろかった』と表現される根源にあるものは、実は作品に注がれた制作側の熱量なのかもしれないと、完成した本作を観て感じました」と新海監督作品への評価についての持論を語った。

感想を言葉にするのが難しいと話した松村が、試写後に最初に口にしたのは「(作品のことが)すごく好き」という気持ちだった。「上映後に新海監督の挨拶があり、僕と原さんが前に呼ばれて挨拶することになって…。感想がまとまらない状態で、なにを言ったのかきちんと覚えてないけど、新海監督のこと、すずめを演じた原さんのこと、作品のこと、その場で一緒に初号を見てくれた人のことを『好きだな』という思いに溢れながらしゃべっていたことだけは覚えています。前に立って挨拶していることに違和感を覚えながらも、プロモーションを任されている立場でもあるので『すべての魅力が伝わるようにがんばります!』というような宣言をしました」と初号試写直後の心境を丁寧に教えてくれた。

「神木くんのお芝居はちょっと衝撃的でした」

オーディション前には、『ホリック xxxHOLiC』(22)で共演した神木隆之介にアドバイスを求めたという。神木といえば、『君の名は。』、『天気の子』に続き、今作が3度目の新海監督作の参加となる“先輩”。本作では草太の友人である芹澤朋也役を演じている。「オーディション前には『声の仕事ってどうなの?』といった入門編のような話を聞き、出演が決まってからは具体的なアドバイスももらいました。大事にしているのは息の使い方だと教えてくれたのですが、そのアドバイスがなかったら、草太の演じ方は全然違っていたと思います。それを参考に、息の量や圧など、様々な工夫をしました。例えば、一言のセリフのなかでの息の配分、語尾まで言った後に息を抜くのか、スパッと止めるのか…といったことは何度も練習して経験しながら身につけていきました」と神木のアドバイスをもとにした声の芝居のポイントを明かした。

親友役ながら神木と一緒のシーンはほとんどなかったが、アフレコは見学に行ったそう。神木が歌うシーンをモノマネしながら「気持ちよさそうに歌っていました(笑)。神木くんのお芝居は、ちょっと衝撃的でしたね。新海監督も音響監督の山田(陽)さんも『神木くんは声優さんだから』とおっしゃっていましたが、本当に『ホリック xxxHOLiC』の神木くんとはまったく違う存在でした。すごさを目の当たりにして、あれだけのことができたら、芸能活動が楽しくてしょうがないだろうなって思いました(笑)」と、アフレコ見学時の衝撃を振り返った。

松村が草太の役作りで意識したのは「重心」だという。「聞かれてみて初めて、普段の芝居でも意識しているかもしれないと気づきましたが、今回は声の演技なので特別意識したと思います。僕はとても緊張するタイプなので、普段から心臓の位置をよく考えるようにしていて。落ち着いている時、心臓は下っ腹あたりにある気がするんですが、緊張してくるとそれがどんどん上のほうに上がってくる感じなんです。よく『口から心臓が出る』と言いますが、本当にそうだなって。草太はすごく落ち着きのあるタイプなので、重心を下に持っていき、腰が入った状態を意識していました。僕の勝手な解釈ですが、草太は声が口から聞こえるのではなく、どこからともなく聞こえる感じなんです。なので重心を低めにして、つま先から頭まで音が響くように心がけていました。そんな僕のアプローチでの草太が、新海監督によってさらに洗練されて進化していったのだと思います」と役作りの経緯を説明してくれた。

「この声が武器になることもあるんだ、と自信につながりました」

自分の声は「性格と合わないと思っています」と苦笑い。「本当はもっとひ弱で、なよなよ喋っていたい性格で (笑)。実際、自分の声が低めでちょっと引っかかりのある声というのは自覚しているのですが、それがいいと感じたことや、武器になると感じたこともなく…。言い方が難しいのですが、これまではこの声のせいで、自分が役として作りたいものの邪魔になると感じたことはありました。なので今回、新海監督から声を褒めていただいたことで、この声が武器になることもあるんだと思えたのは素直にうれしかったです。ただ、この武器(声)をいまどこかで使えと言われても、僕にはムリ。僕はこの音を所持しているだけで、新海監督や音響監督の山田さんたちがいないとうまく演奏することができないというか。そういう意味では、アフレコはテーマパークのようでした。魔法をかけられて、自分の声に自信が持てるようになりました。本音はまだ素の自分の声には自信ないけど、『すずめの戸締まり』での声に関しては自信があります!と言いたいです」と胸を張った。

本作で声優に初挑戦した松村。新しいことへの挑戦には期待と不安、どちらが大きくなるタイプなのだろうか。「期待から入って、最後不安だけになっていくタイプです(笑)。今回もオーディションを受けることにものすごくワクワクしました。オーディションってめったに受ける機会はないけど、実はものすごく好きなんです。ダメだったら世に出ないだけで、何の責任もなく自分が思ったように演じることができる、練習試合みたいなものなんですよね。もちろん緊張もするけど、すごく楽しい時間です。でも実際に合格して役が決まると、その期待がどんどん不安に喰われていきます。どの作品でも毎回こんな感じで、お話をいただいて台本を読んだ時はワクワクするけど、撮影が近づくにつれて不安が大きくなり、気づけば不安しか残っていない…これが僕の定番ルートです(笑)。

ただ、どれだけ挫折しても撮影日はやってくるんですよね。これまで『よし、これで行こう!』と自信を持って挑めたことは一回もなくて、でもその日がきたらもう行くしかない。やるだけのことをやったらあとは時に身を任せる…と、いつもこんな感じです」。初挑戦のなかで様々な試行錯誤を繰り返したという、今回の声優業。松村の凛とした雰囲気がそのまま体現されたような草太が、物語をどのように生きているのか、ぜひ見届けてほしい。

取材・文/タナカシノブ

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