「一生に1羽の伴侶を大事にする」というペンギンは本当に一夫一妻制なのか?

「一生に1羽の伴侶を大事にする」というペンギンは本当に一夫一妻制なのか?

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  • 更新日:2022/09/23
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ペンギンは繁殖期になると1箇所に集まり、「コロニー」と呼ばれる集団繁殖地を形成します。このコロニーでオスは巣作りを行って自分のつがいと交尾し、メスは卵を産みます。オスとメスは、繁殖期になると必ず自分のつがいと合流し、決まった1匹の相手のみとペアを組むといわれています。このペンギンの一夫一妻制について、科学系ニュースサイトのLive Scienceが解説しています。
Are penguins really monogamous? | Live Science
https://www.livescience.com/are-penguins-really-monogamous
ペンギンが社会的に一夫一妻制を採用しているのは、南極のような過酷な環境で巣の維持や卵のふ化、狩りなどを効率的に分担するため、献身的なパートナーが必要になるからだそうです。
オークランド大学の行動生態学者であるエマ・マークス氏は「社会的一夫一妻制は必須条件です。ヒナを育てるには2羽で力を合わせることが重要で、それが崩れてしまうとそのシーズンの繁殖は失敗に終わってしまいます」と述べています。

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しかし、LiveScienceによれば、貞操観念の強さは種によって大きく異なり、多くの種は繁殖期になると1匹の相手としかペアを組みませんが、一部には巣作りをする前に複数のペンギンと交尾することがあるそうです。2013年に発表された研究によると、ガラパゴスペンギンは89%が繁殖期に特定のパートナーと一緒にいることがわかっており、他の種のペンギンでも59%~89%が特定のパートナーと合流するとのこと。一方で、1999年の研究では、コウテイペンギンで繁殖期に特定のパートナーを探しているのは全体の15%にとどまったことが報告されています。マークス氏は「ペンギンのようなコロニー性の鳥類は一夫一妻制かもしれません。しかし、それは『課外活動』が行われていないという意味ではありません」と述べています。
マークス氏によると、ペンギンは社会的に一夫一妻制ではあるものの、性的には一夫一妻制ではないとのこと。すでにペアが存在している他のペンギンと交尾をしたことが本来のパートナーにばれて、ドロドロの愛憎劇を繰り広げるという人間と同じような展開もあるそうです。
例えば、メスが繁殖期にコロニーへ返ってきても、つがいの相手となるオスがシャチに食べられてしまったり病気で死んでしまったりして返ってこないケースもあります。伴侶と死別したメスのペンギンは、別のオスがいる巣に入り込んで勝手に同棲することもあるそうですが、そのオスの本来のパートナーであるメスが巣に帰ってくると争奪戦が始まるとのこと。そして、大抵は本来のパートナーだったメスが勝つそうです。

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また、オスの場合も自分が育てているヒナが果たして本当にそのオスの子なのかどうかは明らかではないそうです。2018年に発表された研究では、ユタ州の水族館で飼育されていた1羽のジェンツーペンギンのオスを観察しています。この研究では、パートナーが仲間と乱交したことにより、観察対象となったペンギンがそれぞれ別のオスの子孫である2羽のヒナを育てることになったと報告されています。
マークス氏によれば、ペンギンのカップルが長期的に一緒にいるかどうかは、前シーズンの繁殖の成功も関係していると述べています。ヒナを無事に成鳥にまで育てることができ、なおかつオスが良い場所に高品質の巣を維持できていれば、メスが前のパートナーの下に戻る確率は高くなるそうです。ただし、繁殖に失敗すると、次のシーズンに離婚してしまうケースもあるそうです。

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もちろん死別やヒナの育成失敗だけではなく、食糧問題もペンギンの繁殖に大きな影響を与えます。例えば、気候変動や人間の漁業活動によってコロニー周辺のオキアミの数が減少すると、ペンギンは繁殖に使うコロニーを失ってしまいます。また、気候変動によって海氷と海流が変化すると、ペンギンがコロニーにたどり着けなくなってしまうケースもあるそうです。かつては2万5000組ものコウテイペンギンのペアが集まった南極・ハレー湾のコロニーは、2016年以降不毛の地になっているそうです。
マークス氏は「気候変動が繁殖コロニーの成功率を下げている可能性があります。そして、繁殖の失敗率が高くなると、必ずペンギンの夫婦の離婚率も高くなると予想されます」と述べています。

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