再びの「ウエルカム」へ、ふくらむ期待と戸惑い 6月にも入国制限緩和

再びの「ウエルカム」へ、ふくらむ期待と戸惑い 6月にも入国制限緩和

  • 産経ニュース
  • 更新日:2022/05/14

新型コロナウイルスの水際対策が6月から緩和され、訪日外国人観光客(インバウンド)の受け入れが再開される可能性が高まってきた。「海外のリピーターと再び会えるのが楽しみ」。コロナ禍で疲弊する飲食店や商店街関係者からは歓迎の声が上がり、外国語での接客対応などの受け入れ準備も進む。ただ、具体的な水際対策緩和の先行きが見通せず、気をもむ関係者も。専門家は「レジャー需要は間違いなく戻ってくるだろう」と指摘し、新たな魅力の創出や感染対策の指針作りを求めている。

英語レッスンを増加

「久しぶりにいいニュースが飛び込んできた」。5月上旬、大阪府内で焼き肉店など10店舗を展開するライトハウス(大阪市西区)の社員らは、政府による水際対策の緩和方針に喜びの声を上げた。

コロナ拡大前は、当時運営していた飲食店6店舗に年間延べ約15万人の外国人が訪れていた。中でも大阪・ミナミにある焼き肉店は、旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で、外国人に人気の日本のレストランとして1位に輝いたこともある。英語での接客や丁寧な道案内などの心遣いが評価され、世界各国のインバウンドでにぎわっていた。

だが、その光景もコロナ禍で一変。インバウンドは姿を消し、経営にも大きな影響が出た。

そんな中でも熱心な海外のリピーターからは、交流サイト(SNS)を通じメッセージが届いた。《日本はどんな状況か》《いつ再開するのか》。インバウンド戦略担当の岡本邦美さん(46)は「毎週のように連絡をくれる人もいた」と振り返る。

現在はインバウンドの受け入れ再開に向け、着々と準備を進める。コロナ禍以降に採用されたアルバイトの中には語学力に課題がある人もいるため、インバウンドの来店を想定した英語のレッスン回数を増加。コロナ禍でどのようなおもてなしが期待されているのか、スタッフ間の議論も活発化している。

受け入れ条件「早く示して」

同社管理部長の神取薫さん(56)は「外国人の方たちとまた会えるのを楽しみに、感染対策にも力を入れている。水際対策を緩和してもらえれば、街も活性化する」と意気込む。

実際、かつてインバウンドでごった返していた商店街にも期待感が広がる。

大阪・ミナミの黒門市場にある西川鮮魚店を営む西川学さん(59)は「外国人観光客が来るようになれば、商店街ににぎわいが戻る」と笑顔を見せた。

コロナ禍前はアジア系観光客の定番スポットで、てっさ(フグの刺し身)などの高価な商品でもすぐ売れた。しかし感染拡大は経営を直撃。今年の大型連休には国内の観光客が増えたが、以前のにぎわいにはほど遠い。西川さんは「コロナと付き合っていくしかない。感染対策をしつつ、海外からのお客さんを迎えたい」と話した。

政府は6月からインバウンドの受け入れを再開し、1日当たりの入国者数の上限を現行の1万人から2万人に引き上げる方向とみられる。小規模な訪日ツアーは早ければ5月中にも試行するとされているものの、入国後の検査体制の変更などの全貌はまだ見えない。

No image

帆船などを活用した人材育成を手掛ける認定NPO法人「ISPA Japan」(東京)の友真(ともざね)衛理事長は「このまま準備を進めて大丈夫だろうか」と気をもむ。同法人はカナダの団体とともに、石川県で7月に交流プログラムを計画中。カナダからの参加者が航空券を手配する期限が迫っており、友真理事長は「いつから何人を受け入れるのか、条件を早急に示してほしい」と訴えた。

「需要、間違いなく戻る」

インバウンドの受け入れ再開に向けて、何が求められるのか。近畿大経営学部の高橋一夫教授(観光マーケティング)は「レジャー需要は間違いなく戻ってくるだろう。日本に来たいと思っている人に向け、魅力的なコンテンツを再整備する必要がある」と指摘する。

例えば、インバウンドの多くが日本食に関心があるとして、デジタル技術を活用し、インバウンドがストレスなく飲食を楽しめるようにするなどの改善策を提案。一方、多くのインバウンドがコロナ禍の中で安心安全には敏感になっているとの調査結果もあるとして、「受け入れ再開に伴い、業界ごとにインバウンド向けの(感染対策の)ガイドラインを作成することになるだろう」と予想。「そのためにも感染状況に応じた対策の指針を、国が示してほしい」と求めた。(前原彩希、吉田智香)

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