YONA YONA WEEKENDERS、自由な楽しみ方を肯定する心地よいグルーヴ ツアー完走を祝した打ち上げのような一夜に

YONA YONA WEEKENDERS、自由な楽しみ方を肯定する心地よいグルーヴ ツアー完走を祝した打ち上げのような一夜に

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  • 更新日:2023/09/20
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YONA YONA WEEKENDERS(写真=Isamu Honma)

「今日はお客さんを巻き込んだ大打ち上げです!」

最新EP『into the wind』を携えて全国4都市を回った、YONA YONA WEEKENDERSのツアー『YONA YONA WEEKENDERS “into the wind” Release Tour』。追加公演の位置づけである9月3日の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演を、磯野くん(Vo/Gt)は冒頭のように称した。まさに“打ち上げ”という言葉が相応しい一夜だった。

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定刻を10分ほど過ぎた頃、ステージに磯野くん、キイチ(Gt)、スズキシンゴ(Ba)、小原“Beatsoldier”壮史(Dr)と、サポートメンバーの高橋遼(Key)、西恵利香(Cho)が登場。同時に「シラフ」の冒頭のコーラスが聴こえてくる。1曲目は「シラフ」――と思ったところだが、どうやらフェイントで、続けて聴こえてきたのは「into the wind」のイントロのギターリフだった。

「渋谷ー! 楽しんでいってください!」と磯野くんが叫ぶと、フロアではすでにほろ酔い気分な観客たちのクラップやハンズアップが繰り広げられる。そこから小原の4つ打ちビートが響き、スズキが奏でるベースリフを合図に「いい夢」へ突入。爽やかな楽曲が続いたことで、会場は海風を感じるような夏の雰囲気に包まれた。

本ツアーは、初日の公演も渋谷CLUB QUATTROで開催されていた。MCでメンバーは「渋谷に帰ってきましたー!」とツアーの完走を喜びつつ、ステージ上に置かれた冷蔵庫からお酒を取り出し、オーディエンスとともに乾杯タイムへ。YONA YONA WEEKENDERSは“ツマミになるグッドミュージック”をコンセプトとして活動しているため、ライブはお酒を片手に楽しんでいる人が多い。この日も開演前のバーカウンターには長蛇の列ができていたが、初日公演はドリンク交換に時間を要してしまい、開演が15分遅れてしまったという。対策として、今回は特別にバーカウンターを2つ設置してもらったそうだが、それでも1つは早々に完売してしまったらしい。

だが、開演前にお酒を調達しておきたい気持ちはよく分かる。YONA YONA WEEKENDERSの音楽は、ほどよくアルコールに満たされた状態の体を委ねるのにぴったりだからだ。初回のMC後は「遊泳」「東京ミッドナイトクルージングクラブ」「考え中」とミドルテンポの楽曲が続き、メロウでゆったりとしたグルーヴが会場を包んでいた。

こう書くと、お酒が飲めないと楽しめないようにも思えてしまいそうなので、決してそうではないことにも触れておきたい。中盤では今度こそ「シラフ」が披露されたが、サビで繰り返される〈シラフでいこう〉には“お酒が飲めなくてもライブに来て大丈夫”というメッセージも込められているのだろう。また、フロアには手を高く挙げたり一緒に口ずさんだりしている人もいれば、静かに体を揺らしている人も見られる。筆者もお酒を飲まずにライブを観ていたが、誰もが自由に音楽を楽しむ空間に終始心地よさを感じた。

後半は「眠らないでよ」「リルバズ」「Good bye」を立て続けに披露し、観客と一体となって盛り上がるパートへ。「BUREIKO」をサビのみ演奏した後、「R.M.T.T(BUREIKO)」が投下されると大きな歓声が上がった。磯野くんは歌詞の〈HARD 目にやってこう〉を〈渋谷でやってこう〉とアレンジして歌い、後半はマイクをフロアに向けてシンガロングを促す。続けて「Open your eyes」が披露されると、熱気はさらにヒートアップ。観客の歌声は一段と大きくなり、力強いクラップが鳴り響いていた。

「各地を旅して来たんですけど、旅っていいですよね」とツアーを振り返って語った磯野くん。今年の年末には初ライブから7年経つことにも触れ、「僕らが音楽を届けられるのは皆さんがいるからなので、良い歌を、良い演奏をさせてくれてありがとうございます!」と感謝を告げた。「進み続けていれば、気づいたら遠くに進めていることもあると思うから、みんな旅しようぜ!」と優しくエールを送り、いよいよライブは終盤へ。「よしなに」「君とdrive」と続いた後、ラストは軽快な「SUI SUI」でフロアを揺らした。

再び乾杯から始まったアンコールでは、東京・笹塚ボウルでの自主企画イベントと、新たな全国ライブハウスツアーの開催を発表。その後は「唄が歩く時」「SUNRISE」の2曲を届けた。さらに、ダブルアンコールでは観客のリクエストに応えて「光の中」と「明るい未来」を披露。鳴りやまない拍手の中、演奏後にキイチがフロアにダイブするなど、最後までお祭りムード漂う光景が広がっていた。

この日は日曜日で、明日は月曜日。明日からまた頑張っていくために、YONA YONA WEEKENDERSのライブを訪れる人も多いのだろうと、お酒とグッドミュージックで充実した様子の観客たちを見て思った。彼らのライブは、憂鬱な気分を忘れさせてくれる上に、頑張った先にはまた今日のような楽しい日が待っていると思わせてくれる。最後は会場に集まった全員の一本締めによって、ツアーの“大打ち上げ”は終宴となった。

(文=かなざわまゆ)

かなざわまゆ

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