日報問題審査 「主役不在」で幕引きとは

  • 西日本新聞
  • 更新日:2017/08/11

政府や与党は真相解明に背を向けて一体、何を守ろうとしているのだろう。国民の信頼回復も自衛隊員の安全も軽く考えているのではないか。

衆院の安全保障委員会と参院の外交防衛委員会できのう、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(いんぺい)問題を巡る閉会中審査があった。

稲田朋美元防衛相の関与が最大の焦点だが、与党の反対で稲田氏は参考人招致されなかった。「辞任した大臣を国会に呼んではいけない」など理解不能の理由だ。

予想されたこととはいえ、「主役不在」の審査は隔靴掻痒(そうよう)で真相に迫れなかった。後任の小野寺五典防衛相は「国民に申し訳ない」と陳謝したが、詳細な経緯を代弁できるはずもなかった。

稲田氏に代わって野党の集中砲火を浴びたのが、防衛相直轄の防衛監察本部だ。

特別防衛監察をしたのは、南スーダンの治安状況を「戦闘」と記載した派遣部隊の日報を陸上自衛隊が電子データで保管しながら「廃棄済み」と隠蔽した問題だ。

隠蔽に稲田氏が関与したとの政府関係者の証言も明らかになったのに、特別監察は「陸自から稲田氏に日報データ存在の報告があった可能性は否定できないが、稲田氏が非公表を了承した事実はない」と疑問が残る結果に終わった。

審査で何を聞かれても監察本部の職員は「答弁を差し控えたい」と繰り返した。監察対象の防衛省幹部も同様である。監察本部は関係資料の国会提出も拒んだ。小野寺氏も第三者機関などの再調査を否定した。これで幕引きを図るつもりなのだろう。その意図は単に稲田氏擁護だけではあるまい。

「戦闘」の事実が当事者間の停戦合意など派遣条件を規定した「PKO参加5原則」に抵触し、隊員の生命を危険にさらす可能性がありながら派遣を続けた安倍晋三政権の責任が問われかねないからではないのか。国会の国政調査権まで軽んじる姿勢では、国民の信頼回復はますます遠ざかることに政府も与党も早く気付くべきだ。

=2017/08/11付 西日本新聞朝刊=

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

政治カテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
議会を夜間・休日に開催、議員のなり手不足解消へ 長野県喬木村
豊田真由子よりもひどい!? “暴言女王”佐藤ゆかりの恋多き議員人生と永田町の評判
加計学園の獣医学部新設“白紙撤回”の公算
稲田防衛相辞任:日報問題の本質は「廃棄」なのか?
菅主導で保守王国大分裂 茨城県知事選苦戦の理由
  • このエントリーをはてなブックマークに追加